【14】妄想は、日々を彩るスパイスだった
「――私が、皆の王になります。
私は二代目ゴブリンロード、タドコロ・イズミ。
大陸の国王と先代に代わって、この土地を統治し。栄えある村にさせてみせます」
これが、私の答えだ。
依存で共存でもない。
ブラッドの兄を殺したいという願いを叶えるでもない。
――今の私は悪逆の主、ゴブリンロードのイズミちゃんなのだ。
この世界の私の設定は、女子高生でなく魔物を引き連れる悪役なのだから。
多少自分の欲望のままに動いても、職権乱用にはならないだろう。
……こんな生き方をしてたら、いつか勇者に殺されるかもだけど。
それでも私は、やりたいことをやりたい。
「統治って……魔物であるアンタに、人間の何が分かる!」
「貴様、黙って聞いていれば……ッ!」
つっかかろうとするイルガスを、片手で制してから答える。
「分かりますとも。私だって、元人間ですから。――だから、貴方たちが私を恐れる理由も、私たちを憎む理由もよく分かっているつもりです」
「知ったような口を聞くな! お、俺の家族はなあ。お前たち魔物に殺されているんだぞ!?」
武器を構え、殺意を瞳に宿した村人が、私を睨んでそう叫ぶ。
それを皮切りに、後ろにいた人々が次々に抗議と反発の声をあげ始めた。
「そうだ! 人殺しの魔物の話なんか、誰が信じるものか!」
「私の子供たちは、アンタらのせいで飢え死にしそうになっているのに!」
「綺麗事ばっかり抜かすんじゃねえよ、この化物があ!」
次第に、村人は石を投げ始めた。
ブラッドがどれだけ説得しようとしても、応じようとはしてくれない。
それでも、私は――――。
「ひっ! くっ、来るな化物ォ!」
カンスト補正がかかってる私にとって、これくらいの投石なんともない。
一歩ずつ、村人たちの元へ近づいていく。
部下から静止の声はかからなかった。
腰が抜けたのか座り込む村人に向かって、私は手を差し出しすと。
「だいじょうぶ、私は化物なんかじゃない。――ただの、元人間だから」
そう言って、村人を起こしあげた。
そして思念でレイに問いかける。
「ねえ、レイ。イルガスから聞いたんだけどさあ。――自身の権威を示すレベルが高いほど――権能である『スキル』は、上位のモノとなる……って理解でいいんだよね?」
思念を通じて、応答が直接脳に囁かれる。答えはYESだった。
「そっか、ありがとう」
レイの返答で、私は思いついた。
この村人たちを救い、私たちゴブリンとの共存を両立させる珠玉の一手を。
◇
突然だが――私が日本で、ありあまる時間を消費するためにしていたのは、決してゲームだけではないの。
ブルーライトに焼かれた目は、なかなか私を眠りに誘ってくれないこともシバシバだった。
だから私は、長い夜を過ごすために、暖かいベッドに包まれながら様々な『妄想』をした。
たとえば遅刻しそうな日、食パン銜えてダッシュして典型的な出会いをする。
そして修学旅行の夜、その男子とドギマギしながら一夜をともに過ごすのだよ。
あと、他愛ない会話のシュミレーションとか、会話の繋ぎ方とかもメッチャ考えた。
もう想像し始めたら止まんなくて、逆に目が冴えちゃったりもしたけど。
でもやっぱり、一番妄想してて面白かったのは、異世界での冒険譚だった。
まさかそれが現実になって、あろうことかゴブリンに転生するだなんて、夢にも思わなかったけど……。
今の私はゴブリンロードになったことに、何の不満もない。
いい部下に恵まれ、日本でやりきれなかった事をやる為のチャンスをくれた職業。
それは勇者だとか冒険者だとか、神々しくミーハーな職業より。
引きこもりだった私にはずっと相応しく、天職だったと思う。
なぜなら、私は天下のLevelカンストゴブリン――英雄譚なんて、これから幾らでも作れる。
「そんな私の特殊チートスキル、特とご覧あれ」
異世界転生者用チートスキル
《想像の天才》発動!
「――うおらぁ!」
乙女にあるまじき叫び声だが、今だけは勘弁してくれ! いいところだから!
衝動的に、私は地面に拳を叩きつける。
すると叩きつけた地面が淡く光る。そして――淀んだ球体が、私の手に収まっていた。
変なところで切っちゃってごめんなさい……(´;ω;`)
でもあれです。
次か、その次の回くらいで一章完結させますので、どうかご容赦を(土下座)。
それはさておき……ついに覚醒したヒロイン兼主人公のイズミさん。
レベルがカンストしている彼女が持つ権限は、一体どれほどの力を秘めているのでしょう。
投稿は明日……にはしておきたいですねえ、はい(これは無理そう)。
ところで皆さんは、彼女みたいな妄想はよくしますか?
最近の私は、寝る前に妄想しようとしても眠気が勝って即リタイアしちゃいます(^_^;)




