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【98】オモチャノクニ

せっかくのハロウィンなんでホラー風にしてみました。

少しでもゾクリとしていただけたら幸いですm(_ _)m


今回は①『南の賢者』ことショウコさんの回想

   ②第三者視点での現状

   ③東の国の雰囲気


みたいな文章の構成になっています




転生したとき、私は『お人形』になっていた。


手足の動かし方もわからずに、ただただ己が

どこにいるのか、己が何物であるのかを探し、

求めて――この『オノマトペ』を手に入れた。


祖国にほんを離れ、恋人セイタと離れ離れになり、

辛いことも苦しいこともあったけれど、


一番つらかったのは、いっとき東の国に監禁されていたこと。


道端に落ちて雨に濡れて、ぼろぼろになった人形の私を、

拾った女の子がいたのだ。


その女の子は自らを、『東の魔女』と称した。


彼女は私を人間のすがたに変え、私に自由を与えた。


そして転生チート能力に目覚めた私は知恵を集め、

書庫を作り、精霊を使役し、いつしか『南の賢者』と

呼ばれるようにまでなっていた。


与えられたその自由が、仮初の自由だと気づかずに……。



「魔女のいたずらごときに、屈する賢者わたしではありません」


賢者ショウコさんは紫色の光を周囲に展開し、

例の『オノマトペ』をささやく。


「ぱら、ぱら」


すると、彼女の展開した魔法陣がガラスのように砕け散る。

散った破片が宙にとどまり、それが一段と強い光を発する。


「さあ、破ってください。魔女の結界を!」


以前、ゴーディの泥人形を葬った殺戮のオノマトペ。

今度はそれを、結界を破るのに使用するというのか。


イズミが感嘆すると同時に――ピカッと鋭い光が

辺りを包み込む。地上から見たら、きっと大きな

線香花火が発射されたのだと幻視するだろう。


事実、それほどまでに。

賢者が放った紫色の閃光は、

芸術品のようにきらびやかだった。


その次の瞬間。


「……戻った」


イズミはぱちくりと瞬きをする。

そこには地上が、硬そうで鋭い岩肌の

洞窟が、目の前に広がっていた。


「……はあ、はあ……。さすが神崎さん、

なかなか高度な術式でしたよ」


賢者は、珍しく息を切らしながらその仕事ぶりを賞賛した。


神崎。

それが、このイタズラの術式を貼った

犯人の――『東の魔女』の名前である。


四方偉人オールトロスト最後の一人にして、イズミやショウコと同じ異世界人。もと、日本人である。


果たしてその者は、敵か、味方か。


『紫の傷跡』を奪還する上での鍵となるのか、はたまた、

『西の勇者』ホカリ・セイタの打開につながるかどうか。


すべては魔性の女の名を冠する、その女に託された。


魔王イズミよ、進みましょう。東の城塞は、すぐそこです」





そこは、おそらく『簡素』という言葉から最もかけ離れたクニだった。


パーパラリラー……パーパパーリラリラ……と、

年中休む間もなくクニに流れ続ける陽気な音楽。


その発信源は、そこかしこに建てられている

大きな時計塔。

円盤の奥にうごめいているのは、どこか無機質な

微笑みを浮かべる無数の人形たちだ。

ある人形は手元にタンバリンを持ち、

またある人形は笛を構えていた。


そのすべての人形の目は、

死んでいる。


されど、回り続ける。


時計の秒針が動く毎秒、

それらは楽器を鳴らしながら回り続ける。


シャンシャンと、パーパララ〜……と。


その中の一体。


女の子のお人形だろうか。


腕に文字のタトゥーが刻まれている。

ローマ字で、キサラギショウコ、と。


――ギョロリ。


『ショウコ』の目玉が、動いた。


そして、喋る。







「ああ、愛しの愛しのキサラギちゃん……。

早く戻っていらっしゃいなあ♫。また私が、

私だけの『お人形』に変えてあげるるるるるるるr」







カチリ。


また秒針が動く。


無数の人形たちの命を、

削っていくように。



ぜってぇ敵だろこんなやつ……。


さて、やっと『東の魔女』が出てきましたね。

これでようやく終章付近……。とはいいつつ、

本当に年内に終わるでしょうか。終わらんな、

きっと^^;

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