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【97】かつて見た怒り

はい前回の投稿から余裕で一週間が経ちましたもうしわけございましぇん。

……噛みまみた♪


ルビが多い定期


がなる黒雲に雷槍を翳しながら、鬼神――ジヲォン・フォンガルシアス――は、死してなお奇異な躍動を続けるドラゴンゾンビを眺めて、ふと苦々しい思い出を頭に浮かべていた。


生きる意味を失って、

心身を毒に侵されて、

魔女に玩具のように使役され、

それでもこの者たちは……。


その滅びを受け入れない、呪いのような執着。

それは西北で争ったあの戦争で出会った――

少年の勇者セイタに似ていると感じた。


「……あれは儂の戦歴の中でも、

五本指に入る失態だったのおぅ」


ジヲォンは、あの少年を見逃したあの日から

どうも悪夢を見る回数が増えてしまった。


いつか、あの場所で見逃した少年が涙をぬぐい、

――ゴブリンの強大な敵になるのではないかと。


あの少年には、それだけの力が――戦争あらそいに対する怒りが、

大切な人を傷つけた戦争に対する怒りが、

その双眸いっぱいに籠もっていた。


倒れた少女ソフィアを抱きかかえながら、

ドラゴンゾンビのように生きる力を見失いながら、

亡霊のように力の抜けた膝を地面につきながら、

それでも尽きることのない――


怒り。憤り。

憎しみ。怒り。

怒り。怒り。

怒り。


歴戦の戦士ですら旋律させる、

圧倒的なまでの――

怒りの双眸が。


ずっと、鬼神の頭から離れなかった。


――…あの少年はいつか、必ず殿下の

大きな弊害として立ちはだかるだろう。


その暫時は、この鬼神。

この老いぼれの命を賭して。


「今度こそ、息の根を刈り取ってみせましょう」


だから殿下、どうかご安心を。


だから龍共よ、安らかに眠れ。


戦争あらそいを続ける愚かな人類と種族に、平等の死を。


それこそがわしの――俺の、

戦場に立ち続ける意味なのだから。



刹那。



透明なイカヅチの暴力が、

数多の邪竜を撃ち抜いた。


ジヲォン・フォン・ガルシアス――権能スキル――『飛竜超雷槍ひりゅうえつらいそう


その力は――…語るまでもない。




「うっひゃあああああ!」


とてつもない落雷が、私の頭上で光って散った。


なんじゃありゃ!?


頭上ではなんかいきなり黒い雲が集まって、

ジヲォン槍に収束しているではないか。


ねーちょっと待って!?


私ああいう黒い雲、

苦手なんですけど!


「落ち着いてくださいイズミさん。

ジヲォンさんがあなたに危害を

加えることはありえませんよ?」


賢者ショウコさんの落ち着いた声音と柔らかい微笑み。

大人の色気っていうのはきっとこういう

静かな雰囲気をなぞらえた言葉なんだろうなあ。


「見てください。あのイカヅチは全て、宙に落ちています。

私たちに落ちることは、まず考えられませんからね」


さすが、ブレーンがいう言葉には重みがあるなあ。


確かによく見れば、どんな原理かは知らないけど

ジヲォンが操る雷槌はぜんぶ私たちより

上の座標に落ちている。


私たちがいる座標に落ちてくる閃光は、

まるでなかった。

落ちてくるのは、

無残にも焼け焦げた龍の焼死体だけである。


……す、すげえ。


うちの特攻部隊は精鋭だと思ってたけど、

本当に三人で龍を蹂躙してるよ……。


さ、さすがうちの家臣!


「さあ、今のうちです。ジヲォンさんがドラゴンゾンビを

惹きつけているうちに、私たちはこの結界を破りましょう」


あ、そうだった。


(あんまり執筆が遅いもんで)忘れがちになるけど、

今、私たちも『東の魔女』がしかけた結界によって

宙に浮いているのだ。


――ショウコさんの周りに、妖艶な紫色の光がほとばしる。


イルガスに教わった魔法陣に似たものがある。

うーんと確か、阻害魔法の一種のハズだ。


……ってことは。


「正面突破です。魔女のイタズラには、屈しませんよ」



はい死亡フラグ建設完了っと♪

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