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【93】参謀

けっきょく次の投稿までに一週間以上かかってしまった……^^;



「ひゃっほーい! 魔王軍のお通りだー!」


……今日も今日とて、

うちの大将はお元気だ。

まったく手のかかる主である。


――僕ら、ゴブリンと人間の連合部隊は、

現在、目的地の『東』へ向けて前進中だ。


北から南へ向かうときのような山岳は

道中になく、寧ろ、なんというか……。


「……妙にアスレチックだなあ、オイ」


僕の考えを代弁してくれたのは、ゲイブだ。


「ギィアーーーー!」


僕らが現在通ってるのは幅の狭い洞窟。

一隊ずつ進んでいるさなか、理性のない

魔物たちに襲われるくらいならば、まあ、

予想はしていたのだが……。


「こんな仕掛けがあるなんて聞いてないぞッ」


と、ブラッド。


限界があるであろう人間の体躯を駆使して、

なんとかブラッドは――天井から迫りくる

鎌や――そこかしこに空いている穴から

放出されるマナの塊を避けたりしていた。


「ふん、このような古風な罠。儂には通じんぞ」


と、ジヲォン。


さすがは歴戦の戦士といったところか、

洞窟に設置されているあらゆる罠という罠を、

余裕の吐息を零しながら撃墜していっている。


「しかし、誰がこのような小細工を……」


と、レイ。


僕も同じことを言おうとしていたところだ。


おっと、投石だ。


目の前の石像の目から、

大きな石が射出される。


……パカァ――ン!


「恐らく、『東の魔女』の仕業でしょう」


と、『南の賢者』ことキサラギ・ショウコ。


何事もなかったかのように、

右手を傾けて「ばん、ばん」

とオノマトペを唱えただけで

岩を粉砕してしまえる女性。


……権能のことといい、

一体何者なのだろうか、あの人。


ショウコ殿が続ける。


「東の魔女はいたずら好きで、

四方偉人の座についたその時

から、自国の近隣の地域に自らの

手を施しました。そうして、今や、

その『いたずら』は完成している

と言われています」


「……つまり、東へ通じる道は

『東の魔女』が仕掛けた殺人罠

の宝庫……というわけですか」


「そのとおりです。みなさん、

十分お気をつけて前へお進み

ください」


「……了解した」


僕は答えながら迫りくる鎌を剣でいなし、

無傷のまま隊を先導していく。いちおう、

参謀だからな。


「殿下、とにかく地上に出ましょう。ここは危険です」


「分かってるよ。みんな、聞こえたね?

とにかく最優先でこの洞窟を抜けるよ」


「殿下。私の権能があれば、後続にそれを

伝達することも可能ですが」と、レイ。


彼女の『時空の歌姫マリアコール』があれば、

まだ殿下の声が届かない後ろにいる兵士たちに

指示を通すことができる。彼女の権能の本懐は、

こうした参謀に必要不可欠な伝達力にあるのだ。


「……いい参謀ふたりを持ちましたね、殿下」


と、ちょっと出過ぎたことを殿下に言ってみる。


すると、彼女は。


「――なにを今さら」


魔族の長に相応しい……とは言えないような、

太陽のように輝かしい笑顔を――僕に向けた。


……やれやれ。そういうところですよ、殿下。


だから、付いて行きたくなってしまうんです。


どこまでも。


「――そろそろ抜けますぞ、殿下!」


叫んだのはジヲォン。

真正面には確かにかすかな光の筋が見える。


出口だ。


「よし、もう少しだよみんな! 全力で馬を走らせて!」


「「「「「はっ!」」」」


洞窟を、抜けた。


その先に広がっていたのは――


「……そ、ら?」


地面に広がるのは、空色だった。


どこまでも深く突き抜けていきそうで、

まるで本物の空の上にいるような錯覚。


……ばかな、地面じゃないのか。


「転送術式ですね」


その疑問に刹那の逡巡の末に答えたのは、

やはりショウコ殿だ。


「洞窟の出口に、空への転送術式が敷かれていたのでしょう。

まったく……カンザキさんは。久しぶりにあったらどうして

くれましょうかね本当に……!」


彼女の見解によると、やはりここは空の上のようだ。


しかし、雲に立っているというわけではない。

青い空の上に、馬に乗ったまま浮いている感じだ。


「キシャアァァァァァ――」


しかし、呆然としていられるのもつかの間だった。


なぜなら――。


「今度はなに!?」


叫ぶ殿下。その声をかきけす、モンスターの声。


僕らの頭上にいたのは、肌の廃れた

ドラゴンの群れだった。




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