【77】知識解剖②
100話目だーっ!
特にこれと言って何もないけどー(笑)!
ここ、南方都市フレドリーは『知識の都』で
あると同時に東西南北で有数のリゾート地だ。
サンサンと輝く広大なビーチサイド。
肌色に近い真白の砂粒に植わるヤシの実、
それを彩るのは宇宙を透かしたように
たたずむ蒼い群青の大空だ。
――さっき『泥人形』の襲撃があったはずなのに、
この落ち着きようだ。観光客や現地の人々も、
何事もなかったように外を出入りしている。
ひとえにノイリーたちの手腕か、
それとも洗脳か何かの類なのか。
まあ、流石にそれはないだろう。
それよりも……。
『――会議室の準備をしますから、
皆々様は備え付けの客間でしばし
ご休憩を』というショウコさんの
お言葉に甘えた私はというと?
「……をっふぅ」
こんなフカフカなベッドは
何日ぶりだろうかー……。
この数週間――ごつごつの岩場に雑魚寝し、
レイの膝枕で夜を明かし、太陽が顔を出すと
ともに起床という悪質的な生活水準の毎日を
送っていたのだ。
そりゃもう、ベッドが私に「おいでおいで」してたね。
逆らったらいけない類の誘惑だったね、アレは。
やっぱり人間、寝たいときに寝るのが
一番の幸せだと私は思うんだよね。
「あー……。至福だー……」
瞼が重くなっていって、
頭の中がグワングワンしてくる。
いっきに脳が睡眠モードへ
ダイブしてきているのだ。
そしてこのまま微睡みの中へ―……。
『――殿下!』
「はぁいスミマセン起きますッ!」
やっぱり人間たる者、生きてるうちは働かないとね!
さあお仕事お仕事!
……って、私は誰に呼ばれたんだ?
キョロキョロ周囲を見回しても
誰もいないし、窓辺にも
誰かがいる気配はない。
『殿下、僕です。イルガスです』
「え、イルガス? ……ああ、
これ――レイの思念電波かぁ」
『はい。レイに僕と殿下の周波数を
コネクトしてもらいました』
そりゃ、誰もいないはずだ。
この声は、直接頭に届いて
いるのだから。
イルガスは負傷者であるレイと
ジヲォンの介助をさせるため、
森に待機してもらっていた。
わざわざ連絡を寄こしてくると
言うことは……。
「2人の様態、よくなったんだね」
『はい。僕が治癒魔法をかけ続けた
おかげで、何とか復帰に至りました』
『この老骨、若返った気さえしますぞ殿下!』
『ジヲォン、勝手に動くな。傷が開いたら
どうする……って、言ったそばから武器を
持つな! いくら治癒しても年は若返らないぞ!』
なんだか次第に騒がしくなっていく
思念の向こう側。すると、
通話者がレイに変わった。
『……復帰そうそうお騒がせして
申し訳ありません、殿下……ッ』
「いいっていいって。勿論レイもだけど、
一番重症だったジヲォンもそれだけ
元気があれば問題ないでしょ」
『ええ。そりゃあもう。野郎の連中、元気だけは
有り余っている感じですからね。あははっ』
なんだか、友だちと携帯で会話するみたいな
感覚だ。レイとは唯一の女仲間だから、
こういう時に話を合わせやすくていい。
『我々も準備が整い次第、フレドリーに
向かいます。それまで殿下、どうか
『不快』にお気をつけて。――奴は、
やはり何を考えているのか不明です』
もちろん、と私は真剣な口調で答える。
少し共闘したからといえど、
私は家臣を傷つけた人を
許すつもりはない。
それに、ショウコさんが
登場する前に言った言葉。
『俺の泥人形が、泣いているッ!』
――あの言葉の真意と、ショウコさんたちとの
確執をはっきりさせるまで油断のしようがない。
思念電波での会話が終了すると、
「プツッ」とイヤホンを
唐突に抜いたような音が
して通話が途絶えた。
さーてと……。
レイたちが到着するまで、
今度こそ寝よう寝よう…
「――イズミさん、ちょっと
いいかしら。キサラギです」
「…………はーい。どーぞ」
どうやら運命の女神サマも
南の賢者サマも、魔王たる私を
眠らせてくれる気はないらしい。
扉が開いて、ショウコさんが
入ってくる。
「眠たいところ、ごめんねイズミさん。
でも、全体の会議の前に、どうしても
確認したいことがあって」
ベッドのとなりにあったシックな
雰囲気のイスに座って、
ショウコさんは言った。
「――私たちの、故郷に関するお話。
ねえイズミさん。あなた――彼氏は
いた事ある? 処女、で合ってる?」
「なろう」を初めておおよそ半年になりました〜……。
正直、めっちゃ長かった。
これからは説明的なお話が多くなって
しまいますが、それさえ終われば、
ついにイズミが『異世界人類ニート化計画』へ
向けての大きな一歩を踏み出します。
やっとですね。やっと^^;
100話まで読んでくださった
読者さまたちへ。
どうぞこれからも完結まで
お付き合いのほど、よろしく
お願いします(^^)
そういえば先日、誤字報告をいただきました。
ありがとうございます。いやあ、
便利ですねあの機能☆彡




