文字列の死者たち
掲載日:2018/06/20
「文字列の死者たち」
文字列の海で死んだ者の、
墓は何処にあるだろう。
肉の体を持たない彼等は、
虚構に生きる者たちだ。
読まれる度に息吹き返し、
行の間で死ぬ者たちだ。
文字列の海で
生と死を繰り返す彼等も、
死ぬと等しく、
墓へと入る。
大勢でこの世からオサラバしようと、
二人で生命の鼓動を止めようと、
一人孤独に息絶えようと、
みんな等しく、
墓へと入る。
その墓は、
読む者全ての胸のうち、
寂しき虚に建てられる。
そうして建った墓の中へと、
読後に彼等は入るのだ。
本を閉じ、
また読む日までの間、
虚構に生きた者たちの
安らかな死を祈ろう。
たとえ彼等が、
罪深い業を背負っていても。
どんな者であったとしても。
だって彼等は、
虚構に生きる者たちだから。




