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短編詩

文字列の死者たち

作者: 半信半疑

「文字列の死者たち」


 文字列の海で死んだ者の、

 墓は何処にあるだろう。

 肉の体を持たない彼等は、

 虚構に生きる者たちだ。

 読まれる度に息吹き返し、

 行のはざまで死ぬ者たちだ。


 文字列の海で

 生と死を繰り返す彼等も、

 死ぬと等しく、

 墓へと入る。

 大勢でこの世からオサラバしようと、

 二人で生命の鼓動を止めようと、

 一人孤独に息絶えようと、

 みんな等しく、

 墓へと入る。


 その墓は、

 読む者全ての胸のうち、

 寂しきうろに建てられる。

 そうして建った墓の中へと、

 読後に彼等は入るのだ。


 本を閉じ、

 また読む日までの間、

 虚構に生きた者たちの

 安らかな死を祈ろう。

 たとえ彼等が、

 罪深い業を背負っていても。

 どんな者であったとしても。

 だって彼等は、

 虚構に生きる者たちだから。


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私にも見えたことがありました。 私の胸の内には、ひょっとすると彼らの人形劇場があるかもしれません。
[良い点] 寄る辺なく海に漂う文字列が浮かびました。虚ろに見えて最後に安らぎを感じました。
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