勝負の前の交流会
ついに、この日が訪れた。
毎日のように泥水を啜る様な地獄の修練。何度も根を上げそうになりながらも、お互いがお互いを支え合うことで、今日という日まで俺達は力を培ってきた。
最早俺達に負ける要素は無し。いざ、決戦の舞台へ赴こうぞ!
――と、意気込んでいる時期がありました。
「ねぇ、もう止めないこの勝負? 身体が痛くて仕方無いんだけど」
向こうチームが滞在していた妖狐屋敷の方へと赴いたところで、そんな第一声を皆に向かって吐き捨てる。
「もうね、やることやったんだよ俺達。勝負なんてものはもうどうでも良くて、今までにない達成感を得られたんだよ。だからもう勝とうが負けようがどうでもいいっていうか……怠い」
「何もかも自業自得でしょうが!」
目を三角にした雪羅から頰に張り手を喰らう。仰向けに倒れると、ズキズキと全身の筋肉痛が悲鳴を上げた。
「うがぁぁぁ……やっぱ駄目だぁ……今回は勝負が成立しないってことで、それじゃ失礼します」
「御託はいいからこっちに来なさい」
「いやん、彼氏は丁寧に扱って、愛するハニー」
「誰がハニーだ」
問答無用で両足を掴まれて引き摺られていき、向こうチームが円になって座って集まっている中心に置かれた。まるでこれから儀式が始まるかの様なポジションだ。
「皆、向こうの大将が命乞いしたいみたい。最後の言葉だから、一応聞いてあげて」
いつの間にこれから埋葬されるご予定に? 洒落にならない冗談はご勘弁よ。
「寝不足は取れたみたいだけど、まだ身体がボロボロみたいね……。一体今までどんにゃ練習してたのよ?」
「基本的に一日中野球して、残った時間は食事する時間に当ててた。だからほぼ睡眠時間を割いてなくて、最終的に全員が身体を壊しました」
「にゃっはは〜、本末転倒だねぇ〜。必死になるのは白君らしいけどね〜」
倒れたまま放置される俺の身体を抱え起こして、その身で抱いてよしよしと頭を撫でてくれる九お姉様。色んな意味での柔らかさが俺の癒しとなってくれる。
「あぁぁ……そこは昔まで私のポジションでしたのに……」
久し振りに顔を合わせた厠姉さんが、涙を流しながら九ちゃんに嫉妬する。時代は流れるものなのだよ姉さん。
「それで、結局どうするんですか皆さん? 弥白様や向こうチームの皆さんがこの状態では、実際勝負どころではないと思うんですが……」
「けっ、知ったことかよ。雪ん子が言ってた通り、こいつらがこうなったのは自業自得だろ。約束通りこのままの状態で試合を――」
「シャラップ!!」
辛辣なことを言う温羅兄の顔に、何本もの狐の尻尾が叩き込まれた。壁まで吹き飛んで頭から衝突し、壁に頭が埋もれていた。
「クソゲスは黙っていなさい! 私の大事な息子――もとい、いずれ愛する息子の弥白ちゃんを痛め付けようものなら、この私が直々に鉄槌を下すわよ!」
自称母親の三大妖怪マザーが九ちゃんから俺を奪い取り、尻尾で身体をぐるぐる巻きにしてから抱き締めてきた。モフモフとした感触がこれまた心地良い。
「そ、そうですよね。やっぱりこのまま勝負というわけにはいきませんよね。お母さんもたまには言うこと言うじゃないですか」
「フフフッ、当たり前よ。それじゃそういうわけなので、私はこれから弥白ちゃんを付きっ切りで介護するから、しばらくは私の部屋に入って来ないように――」
「私情を挟むな阿呆」
馬鹿でかい握り拳が玉さんの頭上から降り懸かり、床に叩きつけられてうつ伏せに倒れたまま動かなくなった。
すっかり己の妻の暴走を止められるようになるまでに回復したようで、酒呑童子の親分の姿は前に会った時よりも逞しく見えた。
「お前達の言い分ももっともじゃが、このまま野球をしたところで勝負にならんのも明白じゃ。じゃからこういう時は、その間の案を代用すれば良いんじゃないかのう?」
「間の案……?」
「そうじゃ。取り敢えず、小僧にこれを飲ませておけ」
そう言うと親分は、錠剤のような物が入った小瓶を桜華に手渡した。
「お薬ですか……でしたらお水を用意した方が良いですね」
「しょうがにゃいわね……私が用意してくるわ桜華ちゃん」
「お願いしますにゃーちゃん」
「うん。……って、桜華ちゃんまでにゃーちゃん呼び?」
すっかり雪羅が付けたあだ名が定着した猫さんは、キッチンの方へと向かってコップ一杯の水を持って来てくれた。
「ほら、早く飲みなさい」
「サンキューおかん」
「誰がおかんよ!」
二人からそれぞれ薬と水を受け取ると、一粒だけ錠剤を出して口の中に含み、一気に水を飲み干した。
「どう弥白? 何か変化ある?」
「おぉ……おぉぉぉぉ……?」
薬を飲み込んで少し経つと、すぅっと全身の痛みが消え去った。むしろ身体中から力が漲ってくるかのようだ。
「鬼妖怪直伝の秘薬じゃ。数がそれだけしかないから取っておいたんじゃが、それはお前が持っとけ小僧。その方が何かと便利じゃろう」
「あらまぁ、見た目通り太っ腹じゃないですかぁ親分。体重何キロあるの?」
「喧しいわ。ほれ、それ持ってとっととお前のメンバー達のところに行ってやれ。野球の舞台はこっちで案内するから、早く戻って来るんじゃぞ」
「へーい」
親分のご助力を得て、俺は単独で妖界の方へと戻って行くのだった。
〜※〜
「というわけで、お待たせしました奴共。こっちのメンバー総集結なり」
無事全員回復を果たしたところで、今度はメンバー全員で向こうチームがいる部屋へと再びやって来た。
こうして全員集結するのは初めてだし、皆がどんな反応をするのかひとまず見てみよう。新たな発見があったりするかもしれないし。
「んだよ、見たことのねぇ奴らが多いな。まぁ相手が誰だろうがぶっ潰して――げぇっ!?」
いきなり向こうチームの温羅兄が妙な反応を示した。どうやらこっちチームの誰かを見て青ざめているようだけど……。
「あ、あれ? 山ちゃん!? 山ちゃんですか!?」
「カカカッ、久し振りに会ったな桜華。それと、元舎弟もなぁ?」
元舎弟――温羅兄の顔を見ながら姉御がそんなことを言うってことは、つまりはそういうことだと? これはまた面白そうなネタを見つけてしまったようだ。
「へぇ、二人共姉御のこと知ってたんだね」
「姉御!? おい坊! テメェまさかとは思うが、そのクソ外道の子分になったんじゃねぇだろうな!?」
「アタシをクソ外道呼ばわりたぁ、良い度胸してるじゃねぇか温羅? ちなみに弥白はアタシの舎弟だ。お前さんと違って従順で可愛い奴だぞこいつは」
肩に手を回されて、滅茶苦茶に頭を撫で回される。
「テメェこの野郎! ついに俺の弟分にまで手を出しに来るたぁ、テメェこそ良い度胸してんじゃねぇか!」
「失礼な奴だな。舎弟になりたいと言ってきたのは弥白の方だぞ」
「おいコラ坊! テメェは俺の舎弟だろうが!?」
そっぽ向いて下手くそな口笛を吹く。昔のことなんて忘れたぜよ。
「まさか弥白様と山ちゃんが友達関係だったなんて……。でもどうしてですか? 山ちゃんは妖界の方で暮らしているはずなのに……」
「それは追い追い話してやるよ。とにかく、今回アタシは弥白のメンバーの一人だ。本気で相手してやっから覚悟しろよ?」
「すいません、相手に山ちゃんがいる時点で既に勝てる気がしないんですけど……」
「勝負の前から弱気になってんじゃねぇ脳筋! 今回ばかりは俺達も力合わせんぞ!」
「そ、そうね。仕方無いけど、今回だけはあんたと休戦協定を結ぶわ」
一体過去に何があったのか、あの二人が喧嘩を止めるに至る程に誰かを恐れるなんて……。流石は姉御、生ける伝説とはまさにこの人よ。
さてさて、他にも思わぬ面会に驚いている人達がちらほらと。今度はそっちを伺ってみよう。
「元気そうですね雪羅ちゃん。弥白君とは仲良くしていましたか?」
「お母さん!? それにお父さんまで!?」
まさかの両親の登場に目を皿にする雪羅。俺でさえ出会った時は驚いたし、そりゃ雪羅でも驚くよね。
「二人共今まで一体何処で何をしてたの? 私の記憶だと、二人で世界中を旅して回ってたはずなのに」
「今は妖界の方で静かに暮らしていてな。それより私達のことはともかくとして、我が愛娘よ」
「な、何?」
「近い未来には、私達は孫の顔を見ることができるのだろうか?」
勢い良く吹き出す雪羅。絶対その話してくると思った。
「な、な、何を急に言い出すのお父さん! 孫ってそんな……」
「実際のところどうなんですか雪羅ちゃん? 孫はまだ大袈裟かも知れませんが、弥白君に会いに行く前に言ってたように、ちゃんと気持ちを告白して――」
「わー! わー! わー! そういう話は聞かなくて良いからぁ!」
……これは近付かない方が賢明かもしれん。ここは違う集まりの方に――
「一人だけ逃げられるとでも思った?」
こっそり離れようとしたところで、蛇が手首に噛み付いて来たと勘違いしてしまうような、悍ましいオーラが纏われた手に掴まれた。
そのまま雪羅に引っ張られてしまい、俺も子馬鹿ウェーブに巻き込まれることになってしまう。
「今まで忙しないことばかりで全く聞けませんでしたが、今日くらいは良いですよね? それで、結局のところどうなんですか弥白君?」
「お待ちになって愛しのマザー。息子と娘にそういうことを聞くのは無粋だと思うのですが、そこのところ逆にどう――」
「愛しのマザー……?」
「……おぉう」
口に出してしまったことで気付く。この場にて俺が誰かを「母親」と呼ぶことは、絶対厳守の禁句であったことに。
底知れない威圧感を背後に感じてゆっくりと後ろを振り向くと、まさにこれが三大妖怪の一角と思わせるような悍ましき姿に変貌を遂げた、あの玉藻前の真なる姿があった。
「誰がマザーですって? ねぇ、どこの馬の骨野郎がマザーなの?」
「いや、あの、その、今の発言はただの冗談みたいなもので――」
「私がそうですよ」
とにかく誤魔化そうとしたところ、のほほんとした面立ちで氷麗さんが名乗り上げてしまった。
アカン、この人自分の置かれてる状況をまるで理解してない。
「私は氷麗と申します。私の娘と息子が皆さんのお世話になっているようで、子に代わりましてお礼を言わせてください。いつも色々とありがとうございます」
できた母親ぶりを見せ付けるように(悪意は無い)親としての務めを果たす。しかしその態度は、玉さんの親心に無駄な闘志を燃え上がらせた。
「お言葉ですがぁ~? 娘はともかくとして、弥白ちゃんと貴女は血が繋がっていないわよねぇ~? それはつまり、“私の弥白ちゃん”を息子と言う資格はないんじゃないかしらぁ~?」
稀に見る性格の悪いおばさんのような態度に、笑顔を浮かべたままの氷麗さんがピクリを肩を跳ねさせた。
「確かに血は繋がっていませんが、家族というのは血の繋がりが全てではないと思っているんです。それに、弥白君はこんな私を母親と呼んでくれていて、私も弥白君のことを本当の息子のように思っています。親が子と呼び、子が親と呼ぶことは、資格など必要ない。貴女はそう思いませんか?」
「…………お、思いませんけどぉ~!? そういう細かい理屈なんて知ったことじゃないしぃ~!? 弥白ちゃんは私の息子ですしぃ~!? いつかは私の血を弥白ちゃんに注入して、本当の息子にさせるつもりですしぃ~!?」
見るに堪えない厚かましさと息苦しさ。この人には親のプライドというものが皆無らしい。
「それ以上は止めい、玉。見ているこっちが居た堪れん」
「貴方は黙ってて! これは親のプライドを賭けた戦いなのよ!」
だから無いじゃん、そのプライド。親心の比率が百と無な時点で勝負にすらならないでしょ。
「そちらの妻は逞しいな。毎日が賑やかで楽しそうだと見受ける」
「そちらの方こそ、お淑やかな嫁さんじゃのう。正直羨ましいわい……」
玉さんが一方的に氷麗さんを睨んで火花を散らし、そんな妻達の光景を見て夫達が意気投合していた。全く真逆の妻だからか、お互いに相手の妻の性格が珍しいと思っているのかもしれない。
「無理矢理自分の血を注入するだなんて、弥白君が嫌がるようなことをしてはいけませんよ?」
「喧しいわ清純系若妻が! 人の良さそうな穏やかな顔して、どうせ裏では腹黒いことを考えているくせに! 冗談半分な呼び方でしか“母親呼び”されてないのに、偉そうに弥白ちゃんの母親を名乗るとは片腹痛いわね!」
「…………」
ふと、冷たい風が首筋を撫でた。
気付くと、雪羅と大雪さんの顔色が真っ青になっていた。俺の知らない一瞬の間に何があったのか?
「弥白、今すぐあの妖狐さんを止めて」
「いやぁ、俺が割り込んだら余計に面倒臭いことになると思――」
「いいから早く。手遅れになる前に早くしないと……この辺一帯が滅ぶ」
「やだ、何それ怖い」
何とも穏やかじゃない発言に心に余裕が無くなり、慌てて母親二人の間に割って入った。
「はいはいそこまでお二人共。初対面でいきなり口喧嘩なんて感心しないなぁ? もう少し節度というものを持ちなさい、玉さん」
「私!? 私だけなの!?」
「…………フッ」
氷麗さん……鼻で笑いましたか今……?
「くっ……こうなったら、私と勝負しなさい貴女! 今回の野球で勝利した方が、弥白ちゃんの正式な母親を名乗る権利を得られるという条件付きで!」
「需要がないので遠慮しておきます」
「む、ムカつく! でもまぁ……それならそれで別に良いわ。結局のところこの勝負に勝った方は、負けたチームに好きな命令を下せるんだもの。それで私は弥白ちゃんを正式な養子にするわ!」
「そうですか」
雪羅と大雪さんが一体何に怯えていたのか、今更になってようやく気付くことができた。
心に錠がついていたことで、その心は常時平穏を保っていた。しかし身勝手な言い分がその心を幾度となく刺激を与えてしまい、少しずつだが錠が緩くなってしまっていた。
それは決して外してはならない良心の錠。それが解かれた時、氷麗さんがどんなことになってしまうのか。邪神様のような、凄まじくもおどろおどろしい真っ暗な瞳がそれを物語っていた。
俺はこれに似た目を見たことがある。そう、これは俺のために病みスイッチが入った雪羅と瓜二つだ。
流石は雪羅の実の母親。雪羅のアレは母親譲りだったもののようだ。
「先程も言いましたが、弥白君に被害を及ぼすようなことをしてはいけませんよ? もしそんなことをされてしまっては……何するか分かりませんから」
「誰が?」とは絶対に聞かない。むしろ絶対に聞いてはいけない。今のこの人を刺激するのは危険過ぎる。
「お……落ち着いて雪羅さん。大丈夫だって、この試合に勝てば良いだけの話なんだからさ」
「……そうですね。弥白君の言う通り、この試合に勝てば良いだけの話ですね。たとえどんな手を使ってでも、必ず勝たせてあげますからね弥白君」
ニッコリと笑うその顔の裏側が怖い。俺がちゃんと見張っておかないと、本当に何をするか分かったものじゃないよこの人。まさか氷麗さんにこんな一面があったなんて。
「無理無理ぃ! 三流演技で母親気取ってる女が私に勝てるはずが――」
「親分この人今すぐ退場させて!」
「あっ、ちょっと、離して貴女! まだ話の途中――やーだー!!」
夫に担がれた破天荒な妻は、そのまま部屋を退場していった。人騒がせなお人だ全く……。
「氷麗、少し私と風にでも当たりにいかないか」
「えぇ良いですよ。でもどうしたんですか急に?」
「……色々あるのだ」
「わ、私も付き添うよお父さん」
密かに心を乱されていた氷麗さんを回復させるためか、雪組親子も部屋から退出していった。母の心のケアをお願いします二人共。
少しちょっかいを掛けようとしたら、まさかこっちの体力と精神がすり減らされてしまうとは……。癒しをくれる会話をしている組はいないかなぁ?
「ほぅ……覇王たるこの我を差し置いて、我がライバルの生命を絶やそうとしていたとはな」
「なんてことしようとしていたんですか貴女は! シロちゃんを殺そうとしていただなんて言語道断です!」
「ほら、もっと頭を深く下げてください。それくらいじゃ私達のお許しは一生出ませんよ」
「うっ……も、申し訳ない……」
厠姉さん、サトリ、タヌっちの前にて、土下座をして頭を床に擦り付けている呉葉を発見。あれは見過ごすわけにもいくまい。
「ちょっとちょっと三人共。俺の大事なチームメンバーを虐めないでよ」
「兄さんは引っ込んでてください。事情がどうであれ、兄さんを殺そうとしていたこの人には天罰を与える必要があるんです」
「さては呉葉の心を読んだねサトリ? むやみに他人の心を読むなってあれだけ言ってるのに」
「……兄さんの言うことを聞く義理はありません」
ぷいっとそっぽ向いて口を尖らせるサトリ。最近めっきり会いに行ってなかったからか、拗ねてしまっていたらしい。悪いことしちゃったなぁ。
「シロちゃん、事情は全部サトリちゃんとこの方から聞きました。また一人で無茶をしたんですね?」
サトリめ……早速能力を乱用しおって。前言撤回、やっぱ悪いとは思わんぞ。
「あ~、いや~、その~……。こ、今回は一人じゃないし? タヌっちも一緒に戦ってたし? ねぇタヌっち?」
「フッ……そういうことだ厠の化身よ。我は我がライバルと一時休戦の誓いを結び、邪悪なる猿の魔人を討ち滅ぼさんがために共闘し、互いの生命を賭けて一戦を交えたのだ。無論、勝利したのは我らだがな」
「勝ち負けなんて関係ありません! ちょっとそこに座りなさい二人共!」
「この我に説教か? 笑止、貴様の戯言に耳を貸す気など無い」
「……タヌっち君?」
「…………弥白が俺を口寄せしたから、成り行きで戦っただけだ。悪いのは全部弥白だ」
「責任転嫁か親友よ!?」
責任から逃れるために、全ての罪を俺に押し付けおったよこの狸。もしもの時は口寄せしろと言ってたのはそっちの方なのに、いざとなったら裏切るだなんて酷い奴め。
「シロちゃん……?」
「だ、だって! 無茶でもしないと呉葉を救えなかったんだもの! むしろ他にどうしたら良かったって言うのさ!?」
「それはそうですが、それとこれとは話が別です。罰として、このことは皆さんに私から話しておきますので」
「そんな殺生なぁ!?」
折角今まで誤魔化せていたというのに、これも全部サトリのせいだ。あの義妹め、この野球勝負で絶対報復してやる……。
「すまない弥白殿……。此方のせいで其方が叱られることになるとは、恩を仇で返すとはまさにこのこと……っ!」
「呉葉は悪くないってば。悪いのは全部あの紫色の髪した中華服の女の子だよ。俺達で復讐してやろう絶対」
「あの見た目幼い女子が……? うむ、承知した。此方の力、全身全霊を以ってして弥白殿に捧げよう」
「ちょ、ちょっと!? なんで私が悪者扱いになってるんですか!?」
復讐の火種は切って落とされた。この戦い、復讐を果たすためにも負けられないな。氷麗さんじゃないけど、どんな手を使ってでも勝利を掴み取ってやるぜ!
「シロよ。顔合わせはこの辺で一度区切っておいて、そろそろ試合の場へと赴かんかの? 我早く試合に勝って、猫にアレな服を着せたいのじゃ」
「アレにゃ服って何よ!? 言っておくけど、勝負に勝つのは私達よ!」
他のメンバーもそれぞれやる気になって来たことだし、キサナの言う通りにするとしますか。
さぁ、ついに勝負の時だ。見せてやりましょうかね、俺達のチームワークってやつを!




