プロローグ
2021年7月20日火曜日。
午前8時45分。
姫岡高校1年3組の教室でその少女は悩んでいた。
「うぬぬぬ、夏休みをどうやって満喫しよう?」
姫岡高校では明後日から夏休みなのだ。
「奈乃、満喫するだけじゃなくて宿題どうするのよ。」
「なのはちゃんそうだけど、
高校1年生の夏休みは結構大事なんだよ‼」
「それ、中学校の時にも聞いたわ。
それで、テストの結果はどうなのよ?」
「ギッリギリセーフ‼
いや~、赤点は確実だと思ったよ。」
「そんなのんきなことを。
奈乃はいつもギリギリじゃない。」
「そんなことより、
夏休みどうやって満喫しようかなのはちゃん‼」
「普通にお祭りとかじゃないの?」
「毎年おんなじことじゃつまんないよ。
何かこう心霊スポットで恐怖の体験とかしたりさ。」
「私は心霊スポットは行かないわよ。」
「ハァ~、何かこう不思議な体験とかしたいよ。」
奈乃が溜め息をついていると、
チャイムが鳴って先生が入ってくる。
「あ、先生が来たから戻るね。」
なのはは自分の席に戻る。
「えー、明後日から夏休みだが、
さっき先生達で会議をした結果、
もう一つ夏休みの宿題を出すことにする。」
その言葉で教室のみんなが、
「えー何で⁉」
「遊ぶ時間が無くなる‼」
などそんな声が聞こえてくる。
「まぁこれは中間テストが悪かったからだ。
出す宿題は2017年から2021年の間の歴史調べて
一つの内容で新聞を作ることだ。」
またクラスのみんなが、
「えー‼」
「調べるのめんどくさい。」
など色々な声が聞こえる。
「そんなこと言ってももう決まったからな。
はいこれでお知らせは終わりだ。
授業を始めるぞ。」
「ハァ~、私の夏休み満喫計画がぁ~。」
午後3時30分。
「……で以上でホームルームを終わる。」
「起立ー気を付けてー礼。」
「「ありがとうございました。」」
その言葉と同時にクラスのほとんどが急いで帰った。
「奈乃、私達も帰るわよ。」
「…………。」
「奈乃、また寝てるの?」
なのはは奈乃を軽く揺する。
「う~ん、あれ夏休みは?」
「何寝ぼけてるの?
まだ始まってないよ。」
「あー良かった。
先生が突然夏休み無しと言ったからビックリしたよ。」
「それより帰りましょう。
もうみんな帰ったわよ。」
「え、何で⁉」
「奈乃が寝てたからよ。」
姫岡高校の正門を越える時にはクラブをやってる人以外学生はいなかった。
「みんな帰るの早いね。」
「早めに帰って宿題をやろうとしてる人もいるからね。」
「そう言えば追加で出された宿題の内容決まったの?」
「私は2018年の自然色髪を調べるわ。」
「それって何だっけ?」
「世界各地で髪の毛が違う色に染まっていく謎の現象が起きたじゃない。」
「あぁ、あれね。
いいなー、私も髪の毛染まりたかったな。」
「まぁそのおかげで髪の年齢が20歳縮まったんだけどね。」
「それを聞くと何か嫌だな。」
「奈乃は決まったの?」
「い、いや私は。」
「決まってないのね。
それだったら2018年に起きた地震でいいんじゃない?」
「え、あったっけ?」
「ハァ~、夏休み一緒にやりましょう。
私が調べるのもその年に起きたんだし。」
「よーし、じゃあ早く帰ろう‼」
奈乃が曲がり角を曲がると、
何かにぶつかって転ける。
「イタタタ。」
「大丈夫奈乃?」
「うん大丈夫だよ。」
「何が大丈夫なんだ?」
奈乃となのはがその声に振り返ると、
背が高い男が怒った顔をしていた。
「おい、てめぇー人にぶつかっておいて謝らないのか?」
「ごご、ごめんなさい。」
「ごめんなさいですんだら警察は要らねーんだよ‼
それとお前とぶつかったときスマホ落として割れたんだけど、
どうしてくれるんだ?」
そう言って割れたスマホを見せつけてくる。
「ごご、ごめんなさい。」
「おい、弁償しろよ。
姫岡高校に行ってるぐらいだったらお金ぐらい持ってるよな?」
「い、いえ、持ってないです。」
男はそれを聞いた瞬間、
奈乃の制服の襟を掴む。
「や、やめてください。」
「おい、そこのやつよ。
お前が払え。」
「え?」
なのははそれまでオロオロしていたが、
その言葉を聞いたとき止まった。
「お前がこいつの代替わりに払え。
いわば保証人だ。」
「わ、私も持ってません。」
男は奈乃の手をはなして、
なのはを殴ろうとした。
なのはは目を閉じるが何も起きなかった。
目を開けるとそこにはある男がいた。
「何だ?
悪いけど邪魔しないでくれないか?」
「すまんな。
どう見ても高校生に暴力振るってるようにしか見えないから止めただけだけど?」
その男の人は薄い黒のパーカーと黒のズボンを履いていた。
「見たところ大学生みたいだけど、
何ならお前が代わりに払うか?」
「払う必要はないな。
当たり屋さんよ。」
「ハァ?
何いって、」
「最近の当たり屋はあらかじめ割れたスマホを
見せつけて騙しとるんだよな。」
「証拠もないのに言いがかりつけるな‼」
「証拠なら俺のスマホに入ってるよ。」
そう言って薄いパーカーの人はスマホを、
見せつける。
拡大してみると確かに割れたスマホを持っていた。
「で次のが、お前がこの子達がくるのをか見計らっていた、」
「そ、そんなスマホ壊せば関係ないんだよ‼」
そう言って男はパーカーの人を殴ろうとしたが、
かわされて盛大に転ける。
「別にこれを警察に出してもいいんだけどな。」
「ち、くそが‼」
「あ、そっちはやめといた方がいいぞ。」
男はパーカーの人を無視して曲がる。
曲がった先には警察がいた。
「くそ、どけ。」
「待ちなさい。」
「あ、警察の人、
この人当たり屋です。
これが証拠です。」
「な、ほんとですか⁉
ちょっと君署まで。」
「はなせ、このポリ公‼」
その男の人は署まで連行された。
「あ、あの。」
「ん?何?」
「ありがとうございました‼」
奈乃となのははパーカーの人にお礼をする。
「いや、いいよ。
人として当然の事をしたまでだ。」
「あの、せめて何か、
あ、この近所に喫茶店あるのでそこで改めてお礼さしてください。」
「え、いやいいよ。」
「私からもお願いします。」
「わ、わかったよ。」
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