表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magic Sword Gate  作者: 元蔵
3/4

称号を手に入れろ 3

 ヒュン!


 ルークの顔面スレスレを斧がブーメランのように飛び、持ち主の手へと戻って行った。

 二足歩行している人面牛が立っている。


「ボスはミノタウロスか」


 ミノタウロスは、普段ならソシオの洞窟にはいないモンスター。

 GWイベント仕様のボスのようだ。


「モー。何度来ても娘は渡さないぞ! モー!」


 恐ろしい外見に反して、『モー』と鳴く声は意外に可愛らしい。


「モンスターなのに、言葉を話すのか」


 面食らったようにアレフレッドが言う。

 同じく、マキシも驚いた様子で呟く。


「モーって、案外可愛く鳴きますね」


「おいおい。ミノタウロスは初めてか? 頭は悪いから簡単な思考能力と会話しかできないが、パワーは凄いよ」


「火属性の魔法も使います。私とルークは相性も悪い。油断しないように」


「わかった。行くぞ!」


 アレフレッドがバスタードソードを構え、ミノタウロスに向かって行く。


「はぁぁあああ!!」


 上段から一気に振り下ろす。

 ミノタウロスの腕を浅く切り裂いた。


「なっ! 全然効いていない」


 効果は今ひとつのようだ。

 動揺するアレフレッドに、ミノタウロスが斧を振りかざした。

 左足を狙った攻撃を、右足を軸に身体をひねって躱す。


氷の矢ジエルフレッシャーズ


 複数の氷の矢がミノタウロスの後頭部に突き刺さる。


「モォー!」


 怒り狂ったように斧を滅茶苦茶に振り回した。

 仕掛けようとしていたマキシは、戸惑ったように足を止め、下段から上に空を切り裂く。


「疾風!」


 刀から生じた剣圧を飛ばしたが、ミノタウロスの斧に弾き飛ばされてしまう。


氷弾(パラド ジエル)


 ミノタウロスの足が凍り付いた。


「物理より、魔法が効くみたいだな」


「ああ。ミノタウロスは脳筋だから、物理は厳しいぞ」


 アレフレッドの言葉に次の呪文の準備をしながらルークが答える。


「なるほどな。光の爆弾(ボンバ ルイス)


 光がミノタウロスの左胸で爆発し、左腕がはじけ飛ぶ。

 血生臭さと獣臭さが辺りに漂い始めた。


「嫌な臭いだな」


「ところがこうすると、炎の玉(ファイアー ボール)


 ルークが狙いを定めたように左胸に炎の玉が着弾した。

 焼肉のような臭いが充満する。


「うわ。グロいのに、段々いい匂いに思えてくる。止めろよ! ステーキが食えなくなるだろ!」


「繊細だな。ミノタウロスの肉で作ったステーキは旨いんだよ」


 ルークの言葉にロナウドも頷く。


「げぇ! 食うのかよ」


「酒場に行ったら、そんなメニューゴロゴロしてるよ」


「そうか。モンスターの肉料理って、異世界っぽいな」


 アレフレッドが何でも無い風を装って、一人呟いた。


 そこにミノタウロスから火の玉が、カナンから突風が2人を襲う。


「うわあー!」


「あっちー! 何だよ」


 火と風が相乗効果をもたらし、アレフレッドとルークにダメージを与える。

 効果は抜群だ!



「マスター、今は戦闘中でございます。早くリリアーナお嬢様をお救いしなければいけないのに、なぜ無駄話をされているのでしょうか?」


「だからって、ミノタウロスの攻撃に合わせてやるなんて!」


「偶然でございます。ツッコミのタイミングは今だと。ええ。偶然でございます。ふふふ」


 笑いながら、手につむじ風を起こし、息を吹きかける。

 防御力と魔法抵抗力上昇が切れたタイミングを付いたらしい。


「……ペットがこんな態度を取るものだとは思わなかった」


 アレフレッドにはペットは主人の後を付いて歩くと言う、忠犬の様なイメージしかなかった。

 時折、話しかけてきたり、ペットによってはスキルで主人を助ける種類もある。

 ゲームのペットで反抗的な者がいるとは、攻略サイトでも聞いたことが無い。


「それは、僕もだ」


 二人が話していると、カナンがジロリと睨んでいる。


「ルーク、殿下。早くミノタウロスを仕留めましょう。そうしないと、我々が危険です」


 ロナウドがカナンを意味深に見て言った。

 ふわりと空に浮いたカナンの手がプリズムのように輝き、段々と光を増していく。

 誰に向かって放つのか、カナンの視線の先には誰もいないので、わからなかった。


ダイヤモンドダスト(ポージ ダイアモント)


破壊せよ(デストリッサオン)


 ミノタウロスの身体が凍り付いた部分が破裂し吹き飛んでいった。

 身体の1/3位が無くなっても動く様は不気味だ。

 アレフレッドは込み上がってくる吐き気を押え、慌てて剣を振るった。


 ガキーン


 ミノタウロスの接近を許してしまっていたらしく、襲い掛かる斧をアレフレッドは剣で受け止める。


「くっ!」


 なんて重さだ。

 斧を跳ね返すことができずに、剣の角度を変えて勢いを殺ぐ。


「二段斬り」


 マキシの刀が素早く斬りつけ、ミノタウロスの右腕を切り落とす。

 両腕が無くなり、ミノタウロスの斧を使った攻撃は止んだ。

 それでも、体当たりや頭の角を使った攻撃が繰り出される。

 火属性の魔法の攻撃も増えた。

 ロナウドは回復魔法を絶え間なく唱え続けていた。


 ミノタウロスは肉の塊になっているが、無駄に多いHPを削りきるまで戦闘は続いた。



お読みいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ