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7.シロアキの暗躍とアンナの弱さ 二

 ある日の晩。居間でアンナ・アンリはオリバー・セルフリッジに、こう問いかけた。

 「どうしてセルフリッジさんは、セピアさんを魔力解放のテストメンバーに推薦したのですか?」

 どうも彼女には、それが気に食わなかったらしい。

 最近になって、隣のセルティア共和国は本格的に魔法使い解放を推し進め始めた。セルフリッジが入手していた情報はどうやら正しかったらしい。そしてそれから直ぐに彼の予想していた通り、魔力活用競争で後れを取ることに危機感を強めたマカレトシア王国は、セルティア共和国に対抗する為に、停滞していた“魔法使いの解放”を進め始めたのだ。そしてその為の手段として、テスト的に何名かの魔法使いの魔力を解放する事に決めたのである。

 魔力の抑制を解いた魔女、つまりアンナ・アンリと一緒に仕事をし、数多くの実績を上げているセルフリッジは、そのメンバーを推薦してくれと国から頼まれたのだが、彼はその一人に警察に所属しているセピア・ローニーを選んだのだった。

 アンナがそんな疑問の言葉を述べたのは、それを知ったからだった。

 「それは簡単ですよ。アンナさんも知っているでしょう? あまり公にはされていませんが、身体能力強化魔法で鍛えたセピアさんには魔力抑制がそれほど効きません。しかし、その状態でも皆と上手くやれている。

 なら、魔力が解放されても、彼女は何も問題を起こさない可能性が大きいはずです」

 セルフリッジがそう答えると、アンナはこう反論する。

 「それは確かに理屈ですが、わたしは少々安易だと思います。分かり易く言ってしまえば、彼女はがさつなんです。魔力が解放されたなら、調子に乗って何か大きな失敗をしないとも限りませんよ」

 それを聞くと彼は困ったような顔を見せた。

 「そう言わないでください。セピアさんを選んだのは、アンナさんの友人だからという理由もあるのですから」

 「前にも言いましたけど、彼女は別にわたしの友人ではありません。単なる知合いです」

 それを無視して、彼は続けた。

 「それに、まだ理由はありましてね」

 「なんです?」

 「セピアさんの上司のノットナット・バナーという人のことを、僕は尊敬しているんですよ」

 それを聞いて、アンナはセピアと話していた頭の半分禿げかかった中年の男を思い出した。恐らくは、あの男の事だろう。確かセピアは課長と呼んでいた。それから、アンナはこう尋ねる。

 「ああ、あの人ですか……。どうして、尊敬しているんですか?」

 とてもセルフリッジが尊敬するようなタイプには思えなかったからだ。

 「あの人、見かけによらず恐妻家なんですよね」

 「恐妻家…… だから、尊敬しているんですか? 軽蔑じゃなくて?」

 「はい。恐妻家なのに、奥さんを確り愛しているところは非常に尊敬できます」

 その言葉にアンナはなんだかよく分からないといった顔を見せた。が、それでもそれはセルフリッジらしいような気もしていた。

 「でも、それはセピアさん本人の資質とは関係がありませんよね?」

 「まぁ、そうですが。でも、ですね。魔法使い達の身の危険を考えても、僕には彼女は適任だと思うんです。彼女なら、少々の事が起きても自分の身は自分で守れるでしょう」

 その言葉にアンナは怪訝そうな顔になる。

 「魔法使い達が、危険なのですか?」

 軽くため息を漏らすと、彼はそれにこう返す。

 「実は、この前の銀行強盗事件ですが、裏で魔法使い差別主義者達が動いていた可能性があるのですよ。狙われた銀行は差別主義者のシャイロー家の系列の一つですが、ほら、強盗達の中に炎を使う魔法使いがいたでしょう? あの魔法使いは、タンゲア帝国からやって来たらしいのですが、魔法使いの印象を悪くする為に、わざとシャイロー家の人間が手引きして襲わせたのではないか、という話を耳にしました。

 信憑性がどれほどある話なのかは分からないのですが、少なくとも、魔法使い差別主義者達が何をするのか分からなくなってきた事だけは確かです」

 「シャイロー家?」

 それを聞いてアンナは、以前に自分に付き纏って来たシャロム・シャイローという男の事を思い出した。ただ、偶然の一致だろうと考え、特に気にはしなかったが。

 「そういえば、あの時、アンナさんが銀行の中へ入って行ってしまったので、僕はとても驚いたんですよ? 外から魔法を使うだけだと思ったから引き受けたのに。あまり、危険な事はしないでください」

 「今更、そんな事を言うのですか?」

 「あの時は、アンナさんも疲れているだろうと思っていましたし、それに、僕から頼んだ事ですから言い難かったのです。でも、正直に言うと、とても怖かったんです。これからは、できる限り、危険そうな仕事には首を突っ込まないようにします」

 それを聞くとアンナは少し笑った。そして「心配性ですね。セルフリッジさんは」と、そう言った。

 ただし、それからしばらくはセルフリッジが心配するような事件は何も起こらなかったのだが。平和な日々が順調に続いていた。少し変わった事が起こったといえば、アンナがセルフリッジに向けて「メリル・クリムソンちゃんにも、パラシュートを買ってあげてください」とそう頼んだことくらいだった。

 魔力の道具を扱う会社『ベルゼーブ・マジック・アイテム・カンパニー』の販売企画部門の部長職を担っているセルビア・クリムソンの娘、メリル・クリムソン。魔力が発現してしまった彼女を差別被害から守る為、セルビアはセルフリッジの助言に従いメリルをランカ山賊団に匿ってもらっていた。そして、アンナは小鳥の身を借りる“宿り身の魔法”で、そんなメリルの様子をランカ山賊団のアジトを訪ねて定期的に確認していたのだ。それはセルフリッジからお願いされたからでもあるのだが、彼女自身がメリルを気にしていたからでもあった。彼女は自分の辛い幼少時代を、メリルに重ねていたのだ。

 セルフリッジにアンナがメリル用のパラシュートを買ってあげてほしいと頼んだのは、いつも通りにアンナがランカ山賊団でメリルの様子を確認した後の事だった。ベッドで横になって“宿り身の魔法”を使っている彼女をセルフリッジは傍らでじっと見守っていたのだが、魔法を解いて目覚めるなり、彼女は彼にそれを頼んだのだ。

 彼女が言うには、メリルはライドのグライダーを羨ましがり、一緒に空を飛んでみたいと皆にお願いをしているらしい。

 それを聞くと彼は穏やかに微笑みながら「なるほど、それは買ってあげなくちゃ可哀想ですねぇ」とそんな事を言う。その顔を見てアンナは不審そうな視線を彼に向けた。その彼女の視線に気付いた彼は、「どうしたのですか?」とそう問いかけた。

 「正直に白状してください、セルフリッジさん。ライドさんとメリルちゃんを組ませて、いったい、何を企んでいるのですか?」

 それにセルフリッジは首を傾げる。

 「何の事でしょう?」

 「しらばっくれないでください。初めから、それを狙って、ライドさんにメリルちゃんの事を頼んだのでしょう?

 だから、今だって直ぐにメリルちゃん用のパラシュートを買ってあげる事に決めたんです。さっき、わたしの話を聞いた時、セルフリッジさんは、“良い駒がまた一つ手に入った”って顔をしていましたよ」

 それに彼は困った顔を見せた。

 「そんな言い方をしないでください。僕はただ単に“ライドさんがグライダーでメリルちゃんを上空に運んで、そこから彼女が植物を操る魔法を使ったら面白そうだな”と思っただけなんですから」

 「本当ですか?」

 「本当です」

 まだアンナは疑わしそうな顔をしてはいたが、それから「まぁ、いいです」とそう言うとこう続けた。

 「あの……、メリルちゃんにパラシュートを買ってあげるにあたって、わたしからも一つ提案があるのですが」

 「なんでしょう?」

 「セルビアさんに、メリルちゃんへパラシュートを届けてもらうよう頼むというのはどうでしょうか? 彼女、お母さんに会えなくて寂しがっていると思うんです」

 それを聞くと彼は「なるほど」とそう言って感心したような顔を見せた。

 「それは良い案ですね。セルビアさんにもそろそろ会っておきたいですし、実の母親が認めたと分かれば、ランカさんもメリルちゃんがグライダーに乗る事に反対し難い……」

 アンナはそう彼が言っている途中で、彼の両方の頬を指でつまんで引っ張った。

 「なんれふか?」

 「いえ、なんかむかついたので」

 こういう何でも策に結び付ける一面があるから、彼女はセルフリッジを信じ切れないでいるのだ。

 「とにかく、メリルちゃんにパラシュートをプレゼントする為にも、セルビアさんに会えるよう連絡を取ってみますか」

 そうして、彼はセルビア・クリムソンに連絡を入れ、面会の約束を取り付けたのだった。プレゼントの為に買うパラシュートは、彼女の会社で販売している商品という事もあって、比較的楽にその話を通せたようだった。

 

 「お久しぶりです」

 と、そうセルビア・クリムソンは言った。それは彼女の会社の応接室だった。「お忙しい中、時間を取らせてしまって」と、オリバー・セルフリッジ。それにセルビアは首を横に振った。

 「いえ、あなたは例え娘の件がなくても我が社にとって重要な人間の一人です。どうかお気遣いなく」

 セルフリッジの横には、アンナ・アンリの姿もあった。こういう場は慣れないようで、相変わらず緊張している。それからセルフリッジは「ありがとうございます」とそう言うとパラシュートを取り出した。それを見てセルビアが言う。

 「それが娘にプレゼントしたいというパラシュートですか?」

 「はい。まぁ、セルビアさんの会社の商品なので、詳しい説明は不要かと思いますが、一応、断っておくと、メリルちゃんがグライダーに乗りたいらしいので、安全のために渡しておきたいのです」

 「グライダーですか? あの子には、まだ早いように思うのですが」

 「ああ、実際にグライダーを操縦するのは、ランカ山賊団にいる乗り手です。メリルちゃんは一緒に乗るというだけですね。優秀な方なので、心配はいらないと思いますよ。それに、メリルちゃんは魔法が使えるので、普通の人よりも安全でしょう」

 「はぁ……」

 「もちろん、多少の危険もあるでしょうから、セルビアさんの許可も取っておくべきだと思いまして、こうして説明に来たのです。構いませんよね?」

 セルビアは困惑した様子で、それにこう返す。

 「それは、まぁ、構いませんが、本当にそれだけなのですか?」

 たったそれだけの用件で、セルフリッジが自分を訪ねて来るとは考え難いと彼女は判断しているようだった。そして、そう言った途端にアンナが口を開いた。

 「いえ、できれば、セルビアさんにメリルちゃんへパラシュートを届けてほしいと思いまして。そのお願いもあって来たのです」

 その緊張した様子のアンナの口調には、どことなく彼女を責めているような雰囲気が感じ取れた。

 “なるほど”と、それを聞いて彼女は察する。

 “この子は、魔法使い……。多分、親から捨てられた過去があるのね”

 アンナに対しては、どちらかといえば好ましくない印象を持っているセルビアだが、この件についてはマイナスには受け止めなかったようだった。アンナが自分の娘に同情してくれていると理解したからだ。

 「それは別に構いませんわ。そろそろ、私も娘に会いに行くべきだと思っていたところでしたから。後少しで、仕事が一段落つくので、今度の休日にでもそれを届けて来ます。お預かりしましょう。

 ……あ、それと、お礼がまだでしたね。パラシュートを、ありがとうございます」

 それでそう言ってパラシュートを受け取った。その時にセルフリッジは、「あ、ついでにこれもお願いします」と、ランカ山賊団にいるらしいライドという人物宛ての手紙を彼女に渡してきた。セルビアが娘に会いに行くと言った事で、アンナは顔を明るくする。

 “あらあら、無邪気に喜んじゃって。可愛いとは思うけど、でも、やっぱり自立した大人の顔じゃないわね”

 その顔を見て、セルビアはそう思った。それからまた気を引き締める。アンナの方の用件はこれで済んだとしても、セルフリッジは違うだろう。彼は絶対にこれだけの為に自分にわざわざ会いに来たりはしない。それからセルフリッジはこう口を開いた。

 「ところで、セルティア共和国が、魔法使い達の解放をいよいよ本格的に推し進め始めましたね」

 “ほら、来た”とセルビアは思う。

 恐らく、自分の娘への愛情を利用して、彼はマカレトシア王国への“魔法使い解放ビジネス”に力を入れろと促して来るつもりなのだろう。以前の彼女なら、そんな手に引っかかりはしないだろうが、今はやや自信を失いかけていた。

 「そうですね。こちらとしては、予定通りの販売戦略を執るだけですわ。予想通りの動きですから」

 「それをこのマカレトシア王国でも展開するというのはどうでしょうか?」

 「マカレトシア王国でも? それはまだまだ判断時期が早過ぎるかと思います。魔法使い解放が本当に起きるかどうかも分かりませんし」

 「いえいえ、『ベルゼーブ・マジック・アイテム・カンパニー』がそうした販売戦略を執ると発表すれば、それだけで大きく魔法使い解放運動を進める事ができるでしょう」

 そのセルフリッジの言葉を聞くと、セルビアはお茶を一口飲んだ。少し間を置いた方が良いと判断したのだ。考えと気持ちを軽く整理してから言う。

 「それは、娘の為に、私が魔法使い解放運動に協力すると思っているから言っているのでしょうか?」

 「いいえ、違いますよ」

 「断っておきますが。私はビジネスに私情は持ち込みません。“売れる”と判断したなら、販売を検討しますが、勝算がなければ見送りますよ」

 そこでアンナが口を開こうとした。それを封じるように彼女はこう言う。

 「“魔法使い解放”を行わなくても娘を救う方法ならあります。契約上は役人の部下という扱いにして、私が娘を借り受ければ良い。今でも稀に行われている事です。その程度の事なら実現できるコネはありますし。例えば、そうですね……。セルフリッジさん。あなただって、もし協力してくれと私が頼んだなら、名目上の契約主になってくれますわよね?」

 彼の性格上、その頼みを拒否できないことを彼女は分かっていた。「それは、そうですが……」と彼は言葉を濁す。

 「しかし、先んじて、魔法使い解放後の為の道具販売の準備をするのなら、それだけ会社としても有利になりますよ。確かに御社はマカレトシア王国内では優位な立場にいますが、それでもライバルがいない訳ではないでしょう?」

 「もしも、解放が進まなかった場合のリスクもあります。残念ながら、それだけのコストをかけるのは無視できない。それに、魔法使い解放に手を貸したとなれば、シャイロー家を敵に回す事にもなります」

 「いえ、どうでしょう? シャイロー家も過激な運動には慎重になっているようですよ。つい最近に起こった銀行強盗事件を覚えているでしょう? 裏で糸を引いているのがシャイロー家だという噂のあった。僕はそれを材料に少し探りを入れてみたのですが、どうも本家は一部の過激な行動を執る人間達から距離を置きたがっているようです」

 その言葉にアンナは少し驚いていた。確かそんな事を言っていたが、あれから間もないのにもう彼は調べていたのかと。そしてセルビアにもその言葉は効果があったようだった。

 「それは、有用な情報をありがとうございます」

 と、そう答える。どうも彼女にも思い当たる節があったようだ。しかし、それでも慎重さは失わない。

 「こちらでも少々調べてみますわ」

 そう言った。セルフリッジは頷く。

 「当然の態度ですね」

 一つだけの情報源を信用し過ぎるのは愚かだ。それを分かっている彼は自分の情報が信頼されなくても気を悪くしたりはしない。こういう点は、セルフリッジは非常に付き合い易い男だ。続けて彼はこう言った。

 「ただ、それがどうであるにせよ、シャイロー家が多少抵抗したところで、僕はいずれ“魔法使い差別撤廃”が進むのはほぼ確かだと考えていますが」

 「何故です?」

 「それが歴史の必然だからですよ…… と、そんな胡散臭い表現を使っても、あなたは信用しないのでしょうね?」

 その彼の言葉に、当たり前だと言わんばかりにセルビアは頷く。軽く息を吐き出すと彼は続けた。

 「では、少しお話をしましょう。多少、長くなりますが、我慢して聞いてください。

 ……知っての通り、今、世の中では男女平等が進んでいます。そしてそんな中で、こんな事も言われるようになっている。

 “男と女の性差は、文化によって強制されたもので、本来、生物学的には性差などほとんどない”

 その結果、誰もが認める生物学的性差は、“子供を産めるかどうか”だけになってしまった。いえ、その性差すら疑う人もいますがね。ただ、そこまで疑うと、男と女をどう定義するのかという問題にまで議論を進める必要がありますので、ここではそれは考えないようにします」

 セルビアはそれを聞いて警戒心を強めた。“男女平等”は、彼女が関心のあるテーマだったからだ。セルフリッジは、巧みに自分の弱点を突こうとしているのかもしれない。

 「一体、どこまで生物学的性差の傾向が観られるのか、まだまだ議論は絶えないと思いますが、その一つとして、こんな疑問を投じられます。

 ――もし仮に、男と女の性差がないのだとすれば、どうして‘男性中心社会’などといったものが形成されてしまったのか?

 これはつまりは“もしも、男女が同じなのだとすれば、どちらかの性に社会の権力が偏ってしまうはずがないのではないか?”という疑問のことですね。

 果たして、“子供を産めるかどうか”という違いだけで、そのような差異が生まれる可能性があるのでしょうか?」

 セルビアはその彼の弁舌に、いつの間にかに惹き込まれてしまっていた。このよく頭の働く男が、どんな見解をこの問題について持っているのかに興味があったからだ。

 彼は続ける。

 「生物学的な性差があるのかないのかは分かりませんが、しかし“子供を産めるかどうか”という違いだけで、どうして男性中心社会が生まれてしまったのか、その原因を説明する事は実は可能です。

 “人口を増やす”という点に注目をするのなら、女性の存在はとても重要です。多数の男と一人の女では、どんなにがんばっても一時期に子供は一人しか産めません。ですがその逆ならば、つまり、多数の女と一人の男なら、一度にたくさんの子供を産めます。だから、女性の数を増やせば、人口を増やし易い事になる。

 妊娠出産は非常にコストがかかりますからね。その昔は、女性は文字通り命をかけて、それに挑まなければならなかった。その意味でも、女性の数は重要だった。

 そして女性の数を増やす為の手段として、他社会を侵略して男性を殺し、女性を奴隷化するというものがある。そうすれば、女性の数を増やせるので、社会全体の出産能力を強化する事が可能です。

 が、これを社会が認める為には、ある文化的制約がなければいけない。それは“子供は男親の血を継いでいれば良い”という男性中心主義です。女性の血を継ぐ事を重視する女性中心社会の場合、産まれた子供は奴隷の子供になってしまうので、女性の奴隷化をしても子供を増やせません。だから、他社会の女性をさらってきて、自分達の子供を産ませるという事もできない。つまり、人口は増やせません。

 太古には女性中心社会が存在した可能性が示唆されてもいますが、人口増競争に敗れた結果、男性中心社会が多く繁栄してしまったのではないか、と僕は考えています。

 非情に残念な事実ですが、だから女性を家畜や物扱いするような男性中心主義がまだ色濃くこの社会には残ってもいます。

 ……因みに、どうも魔法使い差別主義の文化を持つシャイロー家は、男性中心主義でもあるようですよ」

 それを聞き終えると、セルビアは言った。

 「胸糞の悪くなる話を、どうもありがとうございます、セルフリッジさん。

 ですが、太古と今とでは社会の状況は異なりますわ。もう人口を増やすかどうかはそんなに重要ではないし、他国を攻めて、女奴隷を捕まえるなんて事も現実に起こりはしないでしょう」

 セルフリッジはそれに頷く。

 「その通りだと思います。女性の奴隷化は、もう社会が生き残る上で、有効な方略ではなくなっているのです。そして、だからこそ、男女平等が訴えられ、その考えが高く評価された上で広く認められ始めてもいる。これは男女平等の方が、方略として強くなったという事でもあると思います。女性ばかりか男性にも、女性への差別に反対をする人は多いですからね」

 その彼の意見の最後の部分には、どうもセルビアは同意し兼ねるようだった。彼女にはむしろ差別を望む男の方が多いように思える。女性を差別する男性に、彼女が何回も触れて来ているからだろう。彼女は言う。

 「あなたの言いたい事は分かりました。要するに“魔法使い差別撤廃”もそれと同じだと言いたのですね。魔法使いへの差別を撤廃した方が、方略として優れている。だから、いずれは差別はなくなる、と。

 ですが、あなたも知っているかもしれませんが、魔法使いを支配する為の新しい道具が開発されています。遠隔操作型の首輪。これを利用したなら、魔法使いを差別したままでも充分にその魔力を活用できますよ」

 それにセルフリッジは首を横に振る。

 「僕はそうは思いませんね。首輪で無理矢理に従わされている魔法使いと、自分から積極的に協力している魔法使いとでは、当然、後者の方がより役に立ってくれるはずです。

 ……それに、何より多くの人が、差別などという人を不幸にする文化には反対しているのですよ。そんなものには、不快感を覚える」

 しかし、やはりその最後の主張には、セルビアは同意できないようだった。気付くと反論を口にしていた。

 「無理矢理に従わせている魔法使いが非協力的だというのは分かりますが、人が差別に不快感を覚えるという主張には納得ができませんね。そんな人はごくわずかです。表面上ではそう言っていても、実際はどうだか。例えば、あなただって、そこにいる可愛い魔女さんを、実質的には支配しているのではありませんか? 首輪を外しても、見えない社会的圧力や人間関係で、彼女の事を縛っているでしょう?」

 そう言った後で、彼女は自分が言い過ぎた事に気が付いた。どうも珍しく熱くなってしまったようだ。それでやはり“男女平等問題”は自分の弱点でもあると自覚し反省する。

 「失礼。言葉が過ぎました」

 だから、その後で直ぐにそう謝った。セルフリッジはそれに「いえ、構いません」とそう返す。その後でセルビアの誤解を解こうと思ったのか、アンナが口を開いた。

 「断っておきますが、彼とわたしの間には、主従関係はありません。彼に自分の優位を示されたことは、わたしは一度もないんです。家事や仕事だって平等に分担していますし……」

 しかし、そう言いかけて、アンナはこれでは彼女を説得できないと判断したのか、或いはアンナ自身が何か違うと思ったのか、別のことを語り始めた。

 「……いえ、どちらが上だとか下だとか、支配とか被支配とか、そういう話ではありません。そんなのは結局は解釈の問題なんだとわたしは思います。例えば、誰かに料理を作ってあげる。この場合は、果たしてどちらが上なのでしょう? 男が女に料理を作らせている。これだと、男性が女性を支配しているように思えますが、子供が親に料理を作ってもらっている。これだと、むしろ世話をしている親の方が上でしょう?

 男女関係だって同じです。“女性が男性の世話をしてあげている”とそう解釈するのなら、上に立っているのはむしろ女性の方です」

 それにセルビアはこう抗議する。

 「そんなのは都合の良い男側の理屈だわ」

 「そうかもしれません」

 アンナは直ぐに続ける。

 「ですが、わたしはセルフリッジさんに料理を作ってもらった時、少しもわたしが上に立ったような気はしなかったんです。もちろん、それでもどちらかが不幸を感じるような関係を強いる文化は認めるべきではないと思いますが、支配とか、被支配とか、そんな事ばかりに注目して平等を論じると、大切な何かを見逃してしまう気もするんです。

 ランカ・ライカさんには会っていますよね? 彼女は団員達の世話を積極的に行っています。皆を守ろうとし、皆に尽くしていると言っても良い。そして、同時に皆のリーダーでもあります。が、誰も彼女に支配されているとは思っていませんし、彼女も支配しているとは思っていません」

 そのアンナの主張を聞いて、セルビアは目を大きくした。自分でもなんとなくそれと似たような事を感じていたからだ。ただ、彼女はそれを認めたくはなかった。再び熱くなっている自分を感じたが、彼女にはそれを抑えられなかった。

 「ランカさんについては確かに私も認めています。あの人くらい自立できていれば、認めるしかない。だけど、あなたは違うでしょう? あなたはセルフリッジさんに不健康に依存しているわ。違う?」

 それくらい態度を見ていれば簡単に見抜ける。だからこそ、先ほど彼女は、セルフリッジがアンナを支配していると言ってしまったのだ。

 しかし、そこでセルフリッジが口を開いたのだった。どうやら今度は、彼がアンナを助けるつもりでいるようだった。

 「セルビアさん。あなたは、二点ほど考えを間違えています」

 それにセルビアは表情を微かに歪める。

 「まず、依存しているのは、アンナさんだけじゃありません。僕の方も同じです。僕もアンナさんに依存しているんですよ。つまりは相互依存です。

 もう一点は、あなたがアンナさんの抱えているハンデについて意識していないという点です」

 「彼女のハンデ?」

 「はい。

 知っての通り、ここ最近になって、女性の社会進出が叫ばれるようになりました。ところが、それと同時に古くからの奥ゆかしい女性像も相変わらずに残っている。結果として、女性に対して、二つの異なった“女性はこうあるべきだ”というステレオタイプが存在する事になってしまった。

 自己の同一性を確立するに当たり、この二つのステレオタイプの混在が女性を混乱させる原因になっていると言われています。そして、アンナさんの場合は、ここに更に“魔法使いへの差別”問題が加わるんですよ。

 アンナさんは、魔法使いを差別する社会に対して反発をし続けて来ました。ところが、僕の所へ来て首輪を外され、急に反発する対象がなくなってしまった。そして、反発以外の方法で、彼女は今までに人間関係を構築した経験がほとんどない。

 アンナさんは女性である事と魔法使いである事、二重の社会的ハンデを背負わされ、自己の同一性をどうやって確立すれば良いのか、分からなくなってしまったんです。あなたの指摘通り、今はまだそれを解決できてはいません。ただ、それはこれから解決していけばいいだけの話です。そしてそれを焦る必要はない。時間をかけて、ゆっくりと解決していけば良いんです。僕はできる限りそれを手伝うつもりでいます」

 それを聞き終えると、セルビアは言った。

 「どうして、セルフリッジさんが、そこまで彼女に尽くそうと……」

 しかし、そう言いかけて彼女は気付く。自ら先に自分が言った言葉を否定してしまったことに。セルフリッジはアンナ・アンリを支配してなどいない…… のか?

 セルフリッジは穏やかに応えた。

 「それは、僕もアンナさんに依存しているからですよ。愛していると言い換えても良い」

 見ると、アンナは彼の言葉に感動して、涙ぐんでいるようだった。セルビアはそれでため息を漏らす。

 これは、どうにも、私が悪者だ……。

 それから彼女はこう言った。

 「なんだか話題が逸れてしまいましたわね。とにかく、分かりました。マカレトシア王国でもセルティア共和国と同様の魔力道具を販売する件については考えておきます。ただし、これで決定した訳ではありません。状況を注視した上で決めますので、よろしくお願いします」

 そう言うと、セルフリッジは嬉しそうに笑って言った。

 「はい。今はそれで充分です。ありがとうございます」

 と。

 

 その出来事のお蔭で、アンナはもうすっかりセルフリッジに安心していた。仮に彼が自分を利用するつもりでいたとしても、決して不幸にしたりしないだろう。そんな風に思っていたのだ。

 彼は自分の事を深く考えてくれている。そして、自分が彼に依存しているのと同じ様に、彼も自分に依存していると言ってくれた。相互依存だと。その言葉は嘘ではないだろう。彼は嘘が下手だ。嘘だったなら直ぐに分かる。

 彼女はイギギとモギギがやって来ても、イギギの言葉にもうそそのかされたりはしないだろうと、だから自信を持っていた。もっとも、ここ最近、彼らはやって来てはいなかったから、もう来ないかもしれないとも彼女は思っていたのだが。何が目的かは分からないが、恐らく彼らの目論見は失敗し続けているはずだ。なら、もう諦めてしまったのかもしれない。

 が、それでもイギギとモギギはやって来たのだった。

 珍しくイギギとモギギは、日中にやって来た。休日、彼女が自室で寛いでいると、不意にドアが開き、そこから小さな本を頭の上に乗せた二匹が現れたのだ。ネズミが本を運んでいる。まるで童話の中のワンシーンが現実になったようで、これでその正体がイギギとモギギでなければ、とても可愛いらしい光景かもしれなかったが、もちろん、彼女は素直には喜べない。

 「何の用かしら? イギギとモギギ」

 アンナが半ば呆れてそう言うと、彼らは本を床に置いた。イギギが言った。

 『今日は、君にプレゼントがあってやって来たんだ』

 「プレゼント? その本のこと?」

 『魔導書さ』

 イギギはにやりと笑う。

 『とても便利な魔法のやり方が書かれている。この魔法は誰かに自由に夢を見させる事ができるんだ。そして、夢の中では人間の本性が現れる。隠せない。あのセルフリッジだって、それは例外じゃないぞ。奴の本性を確かめてみたいだろう?』

 その言葉にアンナはため息を漏らした。

 「やっぱり、またわたしをそそのかしに来たのね、あなたは。でも、言葉巧みにわたしを操ろうとしても無駄よ。もうわたしは、あなたの思う通りになんか動かない」

 こいつの言葉は悪魔の言葉だ。耳を貸してはならない。

 アンナはそう自分に言い聞かせる。

 『ハッ!』

 その彼女の返しにイギギは笑った。

 『ボクの思う通りだって? 違うね。君はただ君のしたい通りに動いただけさ。ボクはただほんのちょっとその君の願望を刺激してやっただけ。

 いや、もしかしたら、本当はこんなネズミなんかいなくて、君はただ幻を見ているだけなのかもしれないぜ。ボクらは、君の願望がそのまま形になっただけなのさ』

 「幻は魔導書を運んで来たりしないわ」

 『ああ、そうだね。良かったじゃないか、君の頭がおかしくなってなくて』

 相変わらず、イギギは人を苛立たせる話し方をする。分かっている。これはこの狡猾なネズミの手口なのだ。セルフリッジとはまるで方法が違うが。

 「確かにわたしはセルフリッジさんの本当の気持ちを確かめたかった。でも、もうそんな事はほとんど気にしていないわ。少なくとも彼はわたしを不幸にはしない。それだけで充分なのよ。だからわたしをそそのかそうとしても無駄よ」

 『そうかい? 随分と強くなったじゃないか、アンナ・アンリ。だが、仮にセルフリッジが君を不幸にしないにしても、君を騙したり情報を隠したりする点は変わらないだろう。君は今までに何度もそれをやられているのじゃないか?』

 それにはアンナは反論できなかった。

 「それは……、確かに、そうだけど」

 アンナの反応を受けると、イギギは口の端を歪めて笑ってから、ゆっくりと自分が運んできた本を前に押した。

 『ボクは別にこの本に書かれた魔法の使い道まで指図するつもりはない。君は君の利用したいようにこの魔法を利用すればいい。セルフリッジが秘密にしている事を暴いたり、もっと他にも使い道があるかもしれない。

 どちらにしろ、魔法使いとしてのスキルを一つ伸ばしておくというのは良いもんだぜ』

 アンナはその狡猾なネズミの言葉に、またしても揺らいでいた。彼女には秘密にしながら、セルフリッジが自らの身を危険にするような策を執った事もあったのだ。その魔法を使えば、事前にそれを知る事ができるかもしれない。それで、彼を守れるかもしれない。そんな思いに駆られている。

 「まぁ、この魔導書はここに置いておくよ。後は君の好きにしろよ」

 そう言うと、イギギとモギギは彼女の部屋から去って行った。そして、それからアンナ・アンリは、その魔導書をやはり拾ってしまったのだった。一通り読んで大体は理解すると、セルフリッジに見つからないように本棚の奥に隠す。

 その“夢操作の魔法”は意外に簡単そうだった。動物を操る“宿り身の魔法”に似通っている部分があり、少し練習すれば直ぐに習得できそうに思えた。

 イギギの思惑通りに動く訳じゃない。この魔法は多分、役に立つ。だからだ。

 そう自分を納得させると、彼女は近所の野良犬や野良猫などを利用して、その魔法の練習をし始めた。寝ている動物を見つけては、自分の見せたい夢を見せていく。夢の中で餌をやった犬が、起きてから自分に懐くところまで技術を磨くと、彼女はその魔法を使えるようになったと確信した。

 ただ、限定された条件下、しかも動物でばかり練習をしていた所為で、彼女はその魔法の重大な欠点に気付いてはいなかったのだが。

 

 ――ランカ山賊団。

 そのアジトに、アンナは小鳥の身を借りてまたメリルの様子を見る為に訪れていた。彼女は母親から既にパラシュートを受け取っているはずで、だからもうグライダーで空を飛ぶことを楽しんでいるだろうとアンナはそう思っていた。

 ところが、いつもは平和そうなランカ山賊団の様子が、その時は何だかおかしかったのだった。慌ただしいというか、殺気立っているというか。

 アンナは訳を誰かに尋ねようかとも思ったのだが、どうにも気後れしてしまって、話しかけることができなかった。そして、しばらく飛び回ると、野原の隅で一人で植物魔法の練習をしているメリルの姿が目に入ったのだった。

 メリルが雑草のうちの一本に魔法をかけると、その雑草は走り出して灌木にタッチする。すると、タッチされた灌木は同じ様に走り出して人の背丈よりも大きいくらいの木にタッチをする。そしてその木もまた走りだし、また別の木へと…… そのようにして、次々と動き出す木々で、メリルはリレーのような事をやっていた。それは、なかなか面白い光景だった。

 植物魔法では直接術者が魔法をかけなくても、このようにすれば魔法をかけていけるのだ。アンナはそれを知っていたが、ここまで緑が多い場所でそれを見るのは初めてだったので新鮮だった。因みに、アンナは植物魔法はほとんどできない。

 「魔法の練習をしているのですか?」

 アンナがそう話しかけると、メリルは嬉しそうな顔をして「アンナさん! こんにちは!」とそう声を上げた。その後で、メリルが植物達の動きを止めると、アンナは彼女の目の前の枝の上にとまった。小鳥の姿を完全に自分の姿に変える。それを見るとメリルは「そういえば、パラシュートをどうもありがとうね、アンナさん」とお礼を言った。

 「お礼なら、セルフリッジさんに言ってください。パラシュートを買ったのは彼です」

 そうアンナは返したが、内心では“まぁ、何を企んでいるのか分かったものじゃないから、お礼なんて言う必要はないかもだけど”などと呟いていた。それから彼女はこう尋ねる。

 「今日はライドさんは一緒じゃないのですね?」

 「うん。ライドは作戦会議に出てるよ」

 「作戦会議? 何のですか?」

 「なんかね、トロル山賊団とかいう山賊団が、ここに攻め込んで来るって、みんな、大騒ぎをしているの」

 それに彼女は驚いた。

 「それって、大変な事なのじゃありませんか? どうしましょう? わたしも助太刀できれば良いのですが……」

 ところがメリルはいたって呑気で、明るく笑いながらこう言うのだった。

 「大丈夫、大丈夫。ランカ・ママもいるし、なんか、ナゼル・リメルが凄い作戦を考えたみたいだから。ねぇ、聞いて!聞いて! あたしの魔法が大活躍するんだよ!」

 「メリルちゃんも戦うのですか? それは危険なのじゃ?」

 「戦わないよー。ただ、ライドと一緒にグライダーで空を飛んで、上から魔法をかけるだけ。それでトロル山賊団を追い返すんだって。あ、その為の練習で、この前、初めて空を飛んだんだけどね、もう最高だった! ライドがグライダーを好きになるのも分かるなぁ」

 それを聞いて、アンナはセルフリッジがその“ライドのグライダーとメリルの魔法”の利用方法を考えていた事を思い出した。今回でその方法が使える事が実証されそうだ。ただし、それを彼が何に使うつもりでいるのか、少しだけ彼女は不安になったのだが。それに、まだ不安点はあった。果たして、メリルの魔法が凶暴な山賊団相手に効果あるのだろうか? それで彼女はこう尋ねた。

 「どんな作戦かは知りませんが、本当にメリルちゃんの魔法で山賊団を追っ払えるのですか?」

 セルフリッジに言って、やはり自分が助太刀にくるべきじゃないかと彼女は考えていたのだ。

 「大丈夫だと思うよ?」

 そうメリルは応えると、それから近くにある大木の所にまで歩いて行き、それに魔法をかけた。すると、その大木は直ぐに動き始め、メリルが「持ち上げて」と言うと、枝を彼女に向けて伸ばし、彼女を乗せるとそのまま高く持ち上げたのだった。

 アンナはそれに驚く。驚いているアンナを横目に見ながら、メリルは続ける。

 「一度にたくさんの木にも魔法をかけられるよ!」

 そして高くから振りまくように魔法を使うと近くにあった木々が一斉に動き出す。それはかなり迫力のある光景だった。確かにこれを何も知らない状態で見せられたなら、攻め込んで来た凶暴な山賊団でも恐怖して逃げ帰るかもしれない。

 しばらくして、メリルは木に自分を降ろさせると、その植物魔法を止めた。一斉に木々の動きが止まる。

 「ね? なかなか凄いでしょう?」

 アンナはそれに頷きながらこう質問をする。

 「メリルちゃんは、これをランカさん達に見せたのですか?」

 それにメリルは「うん!」と頷く。アンナは多少戸惑いながら続けてこう訊く。

 「皆さんは、これを恐がらなかったのですか?」

 それにメリルは首を傾げる。

 「少しくらいは驚かれたけど、凄いって褒められたよ。あたしも褒めてくれるって思ってたけど!」

 どうも彼女は、初めて見せた時、大騒ぎになって叱られた事を忘れているようだった。そして、その言葉に、アンナはショックを受けていたのだった。

 こう彼女は思っていた。

 自分が幼い頃は、たったあれだけのささやかな魔法を見せただけで、母親も父親も祖父母も自分を恐れ、嫌って忌んで遠ざけたというのに……。そういえば、あの冷たそうなセルビアでさえ、この子を守ろうと必死になっている。

 どうして、だろう……?

 どうして、この子は温かく迎え入れられて、自分の場合は……

 「どうしたの? アンナさん」

 アンナの様子がおかしくなった事に気付いたメリルがそう尋ねて来た。アンナは慌てて「いいえ、なんでもありません」とそう応えてから、一呼吸の間の後にこう続けた。

 「とにかく、これなら確かに山賊団を追い返せそうですね。安心しました」

 そして、そう言い終えると、その嫌な気持ちを吹っ切るように、アンナはその場を逃げるように後にしたのだった。

 彼女は自分とは違い、魔法を見せても受け入れてもらえているメリルの姿を見て、幼いの頃のトラウマがアンナには蘇ってしまっていたのだ。つまり、アンナは幼い頃に受けた心の傷をまったく克服できていないのだ。それは恐らくは、彼女の依存性の強さにも深く結びているのだろう。彼女はそれを自覚していたが、それをどうする事もできないでいた。受け流すには、それは彼女にとってあまりに大き過ぎたのだ。

 そして、この時、アンナ・アンリの心は彼女自身も驚くくらいに弱くなっていた。

 

 アンナが“宿り身の魔法”を解いて目覚めると、目の前にはいつも通りにセルフリッジがいた。彼はいつも無防備な状態の彼女を見守ってくれているのだ。

 そして、目覚めたアンナの様子がおかしい事を、瞬時に彼は見抜いたようだった。

 「どうしたんですか?」

 と、そう心配そうに話しかけてくる。アンナはゆっくりと口を開く。

 「あの……、どうも、ランカさん達の所に、他の山賊団が攻め入って来るようなんです」

 それにセルフリッジは頷く。

 「そうですか。随分と久しぶりですね。以前は、よくそんな事があったのですよ」

 ただ、そう応えはしたが、それでこうまでアンナの様子がおかしくなりはしないだろうと怪訝に思っていた。アンナは続ける。

 「ただ、メリルちゃんの魔法を使って追い返す作戦を立てているようで、見た限りでは成功しそうです」

 セルフリッジはそれにも頷いた。彼女の精神が不安定になっている原因は分からないが、とにかく彼女の言葉を肯定してみるべきだと彼は判断したらしい。

 「なるほど。それなら大丈夫かもしれませんね。ランカさん達は今までに何度も他の山賊団と戦って蹴散らして来ていますし、もし、不安があるようなら、恐らく僕の所に助けを求めて来ると思うので、心配はいらないのじゃないかと思います」

 穏やかな彼の優しそうな口調に、アンナは自分の依存性が剥き出しになりそうになっているのを感じていた。

 ……この人に、甘えたい。

 彼女はそう思っている。

 「あの……、セルフリッジさん?」

 「なんですか?」

 甘えた声で彼女は言った。

 「どうして、セルビアさんは、魔力に目覚めてしまった娘さんを見捨てないでいられたのでしょうか? ずっと前に会った時は、彼女はとても冷たかったのに、この前会った時は、とても娘さんを心配しているように見えました。

 それに、なんだかセルフリッジさんは、そうなる事を分かっていたようでもありましたよね?

 ……何故ですか?」

 それを聞いて、ようやくセルフリッジは彼女がどんな精神状態に陥ってしまっているのかを理解した。

 子供の頃の辛い体験が蘇り、彼女は心が不安定になってしまっているのだ、と。

 「それは簡単です。セルビアさんは、職業柄魔法使いや魔力に接する機会が多く、だから偏見も差別意識も持っていません。それに男女平等にも関心がある方ですからね、差別的な考え方にも批判的です。魔法使いへの俗信を信じ込んでしまっている世間一般の人達とは違いますよ。

 娘さんが窮地に立たされれば、だから、彼女の中の娘への愛情を素直に発揮できるのじゃないかと僕はそう考えたのですよ。実際に、その通りだったみたいですが。

 世間一般の親達だって、充分な知識と経験さえあれば、余計な偏見は抱かず、魔力を持ってしまった自分の子供達を受け入れられると思います」

 「そうでしょうか?」

 「そうですよ」

 そう言ってから、セルフリッジは彼女の事をそっと抱きしめた。彼女が泣きそうになっていたからだ。

 

 その晩、ベッドの上でセルフリッジの横に寝転がりながら、アンナはまだ不安定なままでいる自分の精神の安定を求めていた。抱かれただけでは充分なそれは得られず、彼女は彼から“守られている”というはっきりとした実感を欲していた。

 そして、だから彼女は“夢操作の魔法”を使う事に思い至ってしまったのだ。

 一応断っておくが、彼女は彼を疑っていた訳ではない。むしろ逆だ。彼を信頼しているからこそ、彼女はそれを行おうとしていたのだ。

 よく眠っているセルフリッジに彼女は意識を集中する。相手が眠っている状態、或いは眠りに入りそうな状態なら、この魔法は比較的楽に成功する。

 彼女はイメージを膨らませていた。

 「場所は岩山。わたしは身体が動かない。魔力も使えない。セルフリッジさんと一緒にいる。わたし達はドラゴンに襲われている。どちらか一人しか確実には助からない。そんな状況になっても、彼ならきっと……」

 小声で、そんな事を言っている。イメージをより明確にし、魔法を成功させる為に呟いているのだ。

 その光景を、窓の片隅から二匹のネズミが眺めていたが、それに彼女は気が付いていなかった。

 

 ……近くの野原。

 「やれやれ、ようやくアンナ・アンリはあの魔法を使ったか。意外に長かったな」

 そうシロアキが声を上げた。デンプタリンが言う。

 「しかし、シロアキ。また、君の企みは失敗するのじゃないか? “雨降って地固まる”って感じで、オレらが何かをする度に、あのアンナ・アンリって女は、逆にセルフリッジを信頼していっているように思えるぞ」

 「そうかい? だが、今回はそうはいかないさ。なにしろ、あの“夢操作の魔法”には重大な欠陥があるんだ。だからあまり広まっていない。しかも、アンナ・アンリは命を賭けるような状況の夢をセルフリッジに見させようとしているようじゃないか。最悪のパターンだね。これなら、仮に夢の中で奴がアンナ・アンリを助けたとしても、奴の方があの女を拒絶するようになる…… まぁ、見ていれば分かるよ」

 そう言うと、シロアキはにやりと笑った。

 

 夢の中。

 セルフリッジはアンナを背負いながら、追って来る巨大なドラゴンから走って逃げていた。

 アンナは無力で何もできない。そんな彼女を彼は決して見捨てようとはしなかった。それは精神の不安定な今の彼女が、最も見たかった彼の姿だった。

 “彼は絶対に、わたしを見捨てないでいてくれる”

 セルフリッジは岩陰を見つけると、そこに身を隠す。ドラゴンは二人を見失って、辺りを探している。鼻をならしているから、恐らくは直ぐに発見されてしまうだろう。

 ――このままでは、二人ともドラゴンに食い殺されてしまう。

 セルフリッジはそう判断する。そこで彼は洞穴を見つけた。ただし、小さい。一人くらいしか身を隠せそうにない。

 もちろんそれはアンナが眠る前に、魔法でかけた暗示に則った状況設定だった。これから彼がどんな行動を執るかを試す為の。それがこの夢操作の魔法の本来の目的だ。もっとも、彼女の目的はそうではなかったが。

 アンナを外に放ったままにし、自分だけ洞穴に隠れれば自分の命だけは助かる。しかし彼女は彼はそんな行動は執らないだろうと思っていた。多分、逃げ切れるわずかな可能性に賭け、二人で逃げる道を選ぶのだ。逃げている途中でアンナの魔力が復活したなら、それで窮地を脱する事ができる可能性もある。

 しかし、セルフリッジはその行動は選択しなかったのだった。なんと彼は、それから身体の動かないアンナを洞穴に隠そうとしたのだった。

 「セルフリッジさん? 何をしているのですか?」

 不安に思って彼女がそう問いかけると、彼はゆっくりと笑った。

 「大丈夫です。心配しないでください。二人とも助かる策を考えました。ここで待っていてください。しばらく経ったら迎えにきますから」

 しかし、それが嘘である事は明らかだった。そんな方法は、この夢には設定されていない。例え彼一人でも、ドラゴンには簡単に追いつかれてしまう。それくらい彼にも分かっているはずだった。アンナは悲壮な顔になる。

 「嫌です。わたしはセルフリッジさんと離れたくはありません! もしかしたら、わたしの魔法が復活するかもしれません。そんな危険な手段は執らないでください!」

 そう言ったが、彼は「大丈夫です」としか言わなかった。それから彼は「愛しています」とそう言って彼女に口づけをすると、その洞穴に彼女を一人残して消えてしまった。

 恐らく、彼はドラゴンをできる限り自分が引きつけて、アンナの安全を確保するつもりでいる。

 「嘘……」

 アンナはそう呟いた。訴えるように続ける。

 「駄目……。ちょっと、この夢の魔法、どうやったら解けるのよ? 駄目。駄目。いや、死なないで、セルフリッジさん!」

 夢の支配は、夢が始まった今は、半分以上はセルフリッジの頭が握っている。アンナだけではどうする事もできないのだ。

 やがて、洞穴の外からドラゴンの足音と怒号が聞こえて来た。セルフリッジは捕まったようだったが、悲鳴は上げなかった。アンナに聞かせたくなかったからだろう。

 「嫌ぁ!」

 アンナは夢の中でそう叫んだ。

 

 ……近くの野原。

 シロアキは口の端を歪めて笑っていた。

 「成功したな」

 そう言う。

 「何がだよ?」とデンプタリン。

 「あの夢の魔法はな、起きた後でそれが夢だと分かった途端、夢の中に入っていた術者の存在感に明確に気付いちまうんだよ。そして不自然なまでに夢がリアルな所為で、それが魔法に因るものだとも大体は分かる。つまり、セルフリッジには、アンナ・アンリが自分を試す為に魔法をかけたとバレバレだって訳だ。疑われたと知ったら、普通は怒る。何より、夢の中とはいえ、死の苦痛と恐怖を味わわさせられた怒りを抑えられる奴は滅多にいない。

 オリバー・セルフリッジは、アンナ・アンリを許せないだろうぜ」

 デンプタリンはそのシロアキの説明に呆れた。

 「本当に底意地の悪い計画を思い付くよな、お前は」

 

 アンナは涙を流しながら目覚めた。ほぼ同時にセルフリッジも目覚めたようで、アンナの姿を見て安心しているのが分かる。しかし、それから直ぐに今まで自分が見ていた夢のおかしな点に気付いたようだった。急速に顔色が変化する。

 暗闇の中で辛うじて分かるその顔色の変化に、アンナは恐怖した。彼に自分が何をしたのか、ばれてしまったと思ったからだ。目と目が合ったその瞬間に、彼女は「許してください」とそう言った。

 少しの間があった。彼は口を開く。

 「何の事でしょう?」

 その言葉にアンナは戸惑ったような顔を浮かべる。

 「とぼけないでください! 夢の話です」

 セルフリッジは首を傾げる。

 「夢ですか? 確かに何か悪い夢を見たような気はしますが、よくは覚えていません。でも、夢なんてあまり気にする必要はありませんよ。夢はただの夢です。

 それに、夢じゃなくて、ちゃんと現実ならば、僕は前もって困難を切り抜けられる準備をしますからね」

 アンナはその言葉に納得しない。

 「嘘は言わないでください。あなたは、嘘が下手だから直ぐに分かるんです。とにかく、許してください。わたし、まさかあんな結果になるなんて思っていなくて……。止めようと思えば、直ぐに夢を止められるとも思っていたし」

 セルフリッジは、それを受けると軽くため息を漏らしてからこう言った。

 「分かりました。何の事かは分かりませんが、僕はアンナさんを許します」

 ところがそれを聞くと、アンナは「許しては駄目ですぅ」と、そう返したのだった。

 「いったい、どっちですか?」

 セルフリッジは困ってそう言う。

 「そんなに簡単に許さないでください」

 「どうして、ですか?」

 「あなたは自分の身を軽視し過ぎなんです。だから、二人で助かる可能性がまだあるのに、自分の身を犠牲にして、わたしだけを助けようとしたり……。

 酷い目に遭わされたのだから、もっと、強く相手を罰しないと駄目です。あなたは甘すぎるんです」

 それを聞くと、セルフリッジは軽く微笑んだ。

 「どうすれば、僕はアンナさんを許して良いのでしょうか?」

 「ですから、ちゃんと罰してください」

 それを聞くと、セルフリッジはアンナに身体を重ねて来た。

 「つまりアンナさんは、“おしおき”をして欲しいのですか?」

 そう言う。

 その意味を察したアンナは、戸惑いながら応える。

 「そういう意味ではありません」

 「駄目ですか?」

 「駄目ではありませんが……。そんな、卑怯です。誤魔化さないでくださっ……」

 言いかけている途中で、セルフリッジはアンナの唇をふさいだ。それから彼は有無を言わさずに、彼女の身体を求めたのだった。

 

 ……近くの野原。

 デンプタリンが言う。

 「おい、シロアキ。セルフリッジは、あっさり、アンナ・アンリを許しちまったみたいだぞ?」

 その事実に、シロアキはショックを受けるだろうとデンプタリンは思っていたのだが、意外にも彼は愉快そうに笑った。

 「はっ! すげぇな! あのセルフリッジって野郎は。本物の馬鹿だ」

 デンプタリンはそれに呆れる。

 「はしゃいでいる場合じゃないだろう? どうするんだよ? 大失敗だぞ?」

 ところが、シロアキは動じない。首を横に振るとこう主張する。

 「いいや、失敗なんかしていないね。ボクはあいつがアンナ・アンリを許しても許さなくてもどちらでも良かったのさ。いや、むしろ、許した方がやり易い」

 「どういう事だよ?」

 「より強く信頼した方が、裏切られた時の衝撃は強いだろう、デンプタリン? 要するに、そういう事だよ」

 それからまたシロアキは、愉快そうに笑うのだった。

 

 次の日、もうアンナは精神の安定を取り戻していた。そして、より強くセルフリッジを信頼してもいたのだが、しかし、その一方で彼の身をとても心配してもいた。

 もしも、アンナを助けられる確実な手段があったなら、彼は自分が助かる可能性を捨ててまで、アンナを助ける。

 そう、分かってしまったからだ。

 そして、日中、それについて彼女が考えながら散歩をしていると、不意にイギギとモギギが現れたのだった。イギギが言った。

 『いよぉ、アンナ・アンリ。なんだか難しそうな顔をしているね』

 アンナは嫌そうな顔で言う。

 「また、あなた達なの? わたしはもうあなた達と話をしたくないのだけど」

 『つれない事を言うなよ、アンナ・アンリ。せっかく、良い情報を持って来てやったってのに』

 「良い情報? また、どうせわたしをそそのかす気でしょう? 聞かないわよ」

 『それがセルフリッジの情報でも?』

 それを聞いてアンナは、進めていた足を止めた。

 『おや、反応したね。興味津々って顔だ』

 「言ってみなさいよ」

 それからイギギは彼女にとって信じられない言葉を口にしたのだった。

 『君がどんなに奴を信じているかは分からないが、セルフリッジの方は君の事を捨てる気でいるみたいだぜ。嘘だと思うのなら、確かめに行ってみると良い。ほら、君も会っているだろう? あのチニックって技術者だよ。セルフリッジは君を彼に与える気でいるようなんだよ。貸与するという建前だが、実質的には譲渡するってな特殊契約を結ぼうとしているようだ』

 その彼の説明に、彼女は目を丸くする。

 「嘘を言わないでよ」

 『本当だって。だから、確かめに行ってみろって言っているだろう?』

 それを聞くと、アンナは直ぐに確認しにベルゼーブ工房に向かった。チニックがいる場所だ。セルフリッジがチニックに自分の身柄を引き渡す特殊貸与契約を結ぼうとしているなんて、とてもじゃないが彼女には信じられなかった。

 ところが、

 「貸与契約? ああ、セルフリッジの旦那から聞いたのかい? 旦那のサイン入りのその契約書なら受け取っているよ。もっとも、ボクのサインは待ってくれと旦那からは言われているけどね」

 彼女からそれについて尋ねられると、チニックはあっさりとそう答えたのだった。

 念の為、その契約書もアンナは見せてもらった。確かにセルフリッジのサインがされてあった。セルフリッジからアンナの所有権が失効した場合すら、チニックへのアンナの貸与はどうやら有効であるらしく、王族が関わる特殊な権限の元に成立しているようだった。恐らくは、彼は王子達へのコネを最大限に活かしてそれを作成したのだろう。

 アンナは愕然となった。

 チニックがそんなアンナの様子を不思議そうに見ていた。が、彼はその意味には気付かなかったようだ。

 ショックを受けた彼女は、ふらふらとした足取りでベルゼーブ工房の外へ出た。その途中でショックが引いて行くと、彼女には怒りが生まれていた。彼女は思う。

 “あなたがそんなつもりなら、わたしにだって考えがありますからねっ!”

 そして外に出た途端に、彼女にイギギが話しかけて来た。

 『な? ボクの言った通りだったろう? アンナ・アンリ』

 アンナは冷たい目になると彼に言った。

 「あなた達の裏にいる人達の所へ連れて行って。あなたはその為に、わたしにちょっかいをかけてきたのでしょう?」

 

 アンナ・アンリがセルフリッジの許から消えたのは、それから直ぐの事だった。

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