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2. 強制ログアウト

崇一は車を運転しながら、何が起こっているか必至に考えていた。

 父親が言っていたウィルスなどの病気のことも考えたが、やはり強制ログアウトを実施されたゲームのことが気になっていた。ログアウト直前のアナウンスで言っていた事が今回の事に関係していると思えたのだ。





 崇一は学校から帰ってすぐに9年前のリリース時からやっているVRMMORPGのMyth War Online(MWO)へログインした。

 MWOは、世界中の神話・伝承・民話がモデルとなっており、某女○転生のように様々な神、仏、悪魔、精霊、妖怪と戦うことが体験出来るゲームで、倒した敵も特定条件で吸収し自分の能力にすることが出来た。

 まだ新規の分野であるバーチャルリアリティでは、データが不足しており、特定の目的や行動だけを実行するゲームがあふれていたが、MWOは、その自由度から、戦闘、生産、商売と様々なことが実施でき、まるで異世界で自由に活動が出来るようであった。

 ゲームによくある技や魔法も特定の指針となるものはあるが、ランクが上がればそこから自由にアレンジすること、新たにオリジナルを作ることも可能となっているため公開前から話題になっていた。


 話題になったばかりのころは、小学生だったため親に頼んでも買ってもらえないと思っていたが、MWOの販売と同時にバーチャルリアリティのゲーム機の価格がなぜか急に値下がりとなり買ってもらうことが出来た。


 崇一はログインネーム『シュウ』として参加していた。

 シュウは、青髪に、鋭い水色の目をした、細いながらも筋肉質な体をしており、黒の上下に、紺色の鎧、腰に2本の黒い柳葉刀を下げていた。


 シュウはログイン後の買い物が終わり、所属ギルド『臥龍鳳雛がりゅうほうすう』のギルドハウスに戻るところだった。ギルドハウスに戻るとギルドメンバー5人のうち2人がいた。


 一人は、このギルドのマスターであり、後衛・回復をメインにしている『アスボン』。

 茶色の瞳に、髪は濃い緑でスポーツ刈りのように短くしている。

 身長は180cm程あり、ギルドメンバーでは一番高い。

 簡易鎧の上に青いローブを羽織っており、身長ほどの宝玉の付いた杖を持っている。


 もう一人は、アスボンの弟でシュウと共に前衛・回復を担当している『ヤーグ』。

 茶色の瞳に茶色の髪を背中まで伸ばしている。

 身長は170cm程で、こちらは動きやすさを重視した赤い鎧を着ており、偃月刀を持っている。


 この兄弟とは、シュウがプレイを始めてから1年目くらいの時からの知り合いで、今日もメールでクエストに一緒に行こうと連絡を貰っていた。


「おはよう。二人とも。

 今日は早いんだな?いつもは時間ギリギリなのに」


「おはよう。今日はたまたま仕事が早く終わったかなら」


 ヤーグがシュウの方に振り向きながら拳を上げてきたので、シュウは拳を当てて応えた。

 ちなみに、ゲーム内ではテレビ局や24時間体制の会社であるようにどのタイミングでも「おはよう」が広まっている。


「おはよう。

 セッタとミオから連絡があって、今日はログインできないみたいだ。

 だから、今日は久々に3人だけで出る事になるぞ」


「じゃあ、予定していた奈落の氷結洞じゃなく、テッソ山にするか?」


 アスボンからの連絡を受け、シュウが人手が少なくなるので、安全策で1~2ランク下のクエスト場所を提案した。


「別に俺は奈落の氷結洞でも問題ないと思うけど。新規クエストでビビった?」


「勝手に怖がってるって決めるな。ただ、奈落の氷結洞はセッタとミオも楽しみにしてたから二人がいるときの方がいいと思っただけだ」


 ヤーグのセリフにシュウは苦笑いしながら応えた。


「ははは、分かってるって。

 たしかにテッソ山なら敵の数が多いけど、強くないからちょうどいいか」


「じゃあ、問題なければ今日はテッソ山にいくぞ」


「ああ」


「了~解」


 ヤーグの了承を聞いて、アスボンが行先を決定した。

 それぞれ、道具の確認など準備を始めた。


「ヤーグ、安いやつだけど魔石を購入しておいたから、回復魔法を付与しておいてくれ」


 シュウは床に置いていた荷物から魔石を6個取り出し、ヤーグに渡した。


 MWOでは、ポーションや薬草のような回復薬はなく、料金を払って教会による回復か、回復魔法、魔石に封じ込めた回復魔法しかないのである。

 無属性の回復魔法は全てのプレイヤーが使えるが、初期回復魔法しか使えないうえ、自分にしかかけられない。

 また無属性魔法は魔石に封じ込めることが出来ないので、回復用の魔石はショップや宝箱から入手するか、稀属性の生を持つプレイヤーに付与してもらう必要があった。臥龍鳳雛ではアスボンとヤーグの兄弟が生属性をもっており、クエスト前に良く頼んでいた。


「了解。ちょっと待って

 …… 

 はい、出来たっと」


 ヤーグから付与の終わった魔石を受け取り、一部を直ぐに取り出せるよう自分のウェストポーチに入れ、残りをストレージに収納した。

 ストレージも無属性魔法の一つでゲーム開始時から持っており本人の魔力量により大量に保管できるのだが、目の前の空間に丸い穴が開き手を入れて出し入れするものなので戦闘中には厳しく、回復用の魔石はすぐ使えるようにポケットに何個か用意しておくのが普通だった。



「2人とも準備は出来たか?」


「OK」


「大丈夫だよ」


「じゃぁ、出発するか」


 アスボンが2人の返答を確認し、出発した。






 テッソ山には、2ヶ所のワープゲートを経てから徒歩で向かう形になった。

 現実世界では、夜なのだがゲーム内は昼間なので、移動も問題にならなかった。

 テッソ山にむかう砂利の街道を3人で歩いているが、周りには草原が広がっておりピクニックみたいな感じでその他のギルドの状況や日常での些細なことを談笑していた。

 この時はまだ3人とも文字通り世界が変化することを知らなかった。


「シュウ、松永まつなが輝夜かぐやの新しいCM見たか?」


「ああ、今朝見たんだけど、あの曲って輝夜の新曲だよな。ロック調のリズムが戦闘シーンにあってたな。

 あと輝夜の鎧姿もかっこよかったな。ほんと、きれいな子は何を着ても似合うよなぁ」


「ああ、そうだな」


「写真集が出たら買うんだけど、グラビアも結構やってるんだから早くださないかなぁ」


 アスボンとシュウは、現在一番人気の美少女アイドルについて話していた。


「シュウは輝夜がそんなに気に入ってたっけ? 

てっきりアニメキャラの方が好きだと思ってた。3次元にも興味があったんだ…」


 急にヤーグがニヤニヤしながらシュウに肩を組んできた。


「何を勘違いしてるんだ。アニメ・漫画も好きだけどそこだけに興味があるわけじゃないぞ。勝手に2次専にするな」


「じゃぁ、どんなところが好きなんだ」


「そうだなぁ。美人だし、ちょっと気が強めの感じがいいよな」


「ふ~ん。俺はシンディの方がかわいいと思うけど?」


 ヤーグは別のアイドルを挙げてきた。


「まぁそこは好みだろ。俺はシンディみたいなかわいい系より輝夜みたいなきれいな方が好きだし。

 輝夜は、手足もすらっと長いし、胸も大きいけど大きすぎるわけではないしバランスがいい。いいよなぁ。一度でいいから触ってみたいもんだ」


「うわぁ、いきなり鼻の下を伸ばすなよ…」


「なんだよ。別に男同士なんだからいいだろ。

 そんなこと言ってもお前だって女子の胸には興味はあるだろ。触りたいと思わないのか?」


「シュウほどは思えないなぁ、別にそんないいものでもなかったからなぁ」


「何! お前触ったことあるの?」


「まぁ、ちょっと…」


「くそっ、この裏切り者が!」


 シュウは肩を組んでいたヤーグを振り払った。


「おい!話ばかりでなく周りに気をつけろよ! 今回は何度かクリアした場所だけどモンスターの急襲とかあるかもしれない。2人ともこの先は気を引き締めろ!」


「「了解」」


 シュウとヤーグが話してると、アスボンが注意してきた。


 シュウは、適度に周りを見ながら、ヤーグに話の続きをふった。


「ところでお前が触ったのって、大きかったか?」


「普通だと思うけど」


「なんだよ、普通じゃ分からんぞ。お前が貧乳好きだったら普通ならペチャだろ」


「いや、別に胸のサイズには拘ってないけど」


「まいいや聞いても悔しくなるだけだしな。でも胸に拘りがないってことは尻派か?」


「いやいや、好きになった相手ならどんなんでもいいと思うけど…」


「なんだよ、ハッキリしないなぁ。

 おいアス、お前も手伝え!こいつの好みを吐かせる。絶対拘ってる部分があるはずだ」


 シュウが今度はヤーグの首をロックしながら、アスボンに声をかけたとの時、



ビービービー!


 突如サイレンが聞こえた。

 シュウ達はびっくりして立ち止まって、周りを見渡したが特に音の発生源は見つからなかった。

 サイレンがやむと、男性の声がゲーム世界内に響いてきた。


「諸君、やつらが遂に復活してしまった。

 何を言っているか分からないだろうが、これから諸君は、世界のため戦わなくてはならない。

 今まで経験したことを活かし奴らに勝って世界を救ってくれ」


「「は?」」


 シュウたちはいきなり世界を救ってくれと言われてぽかんとなった。


「何が起こってるんだ?新たなクエストの開始か?」


「そんな情報はなかったぞ」


 シュウのつぶやきに、アスボンが答えたが、アナウンスはまだ続いていた。


「現在ログインしているものはこれから順次強制的にログアウトを実施する。

 その後、現在のログインの有無に関わらず、全てのユーザに憑依を実施する。

 憑依によるエネルギーの侵食により体へ負荷が発生するので、意思をしっかりもって耐えてほしい。

 生き残った諸君の健闘を祈る」


「?? 強制ログアウト? 侵食?

 こいつは何を言ってるんだ?」


「なんか意思をしっかり持つようにとか言ってたけど、何なんだろう?」


 シュウもヤーグも疑問だらけで、質問するわけでもないのに口に出していた。

 遠目に見える他のパーティも右往左往しているのが見えることから、混乱しているのはシュウ達だけではないと分かった。

 通常の大規模クエストなら事前告知があるはずだが、今回そのような情報は公式サイト、運営からの連絡メールにも無かった。

 何も分からない状態で3人で想定される意見を言っていたが、先ほどから遠目に見えていたパーティの一人が光の環に包まれて消えたのが見えた。

 パーティメンバーが慌てている事から、自分の意思ではなく本当に強制的にログアウトされていることが分かる。


「まじか?

 変に強制ログアウトされるより、自分でログアウトした方がいいかもしれないな。

 お前たちもログアウトした方がいいぞ」


 シュウは、ログアウトをするためウィンドウのコマンドを参照したが、ログアウトが灰色になっており選択出来なかった。


「は?ログアウト出来ないのか?もしかしてこんな状況になったから強制的にログアウトするのか?」


「シュウもログアウトできないのか? 兄貴は?」


 ヤーグも同じのを確認したらしく、困惑した顔をしたままアスボンにも状況を確認をした。


「俺も出来ないな」


 アスボンもログアウトの操作を実施したが、出来なかったことを二人に告げた。

 シュウ達は知らないことだが、全員の強制ログアウトの処理をスムーズにするため、任意のログアウトはサイレン時から使用不可になっていた。



「いったい何が起こってるんだ?『やつら』って何だ?

『戦う』って言ってたけど何と戦うっっ俺か」


 シュウが質問を二人にしているとき、急に体が光に包まれ、その場から消えた。


「シュウっ」


 ヤーグがシュウに触れようとしたときには、シュウはすでに消えて、次いでヤーグとアスボンも光に包まれた。








(やっぱり、あの時言っていた『やつら』があの生き物だよな。

 それと『侵食』が痛みの原因だよな。

 ………

 ほんとに何が起こってるんだよ)



 爪が無くなっており握ったときに痛みや違和感があったが車の運転自体は問題なかった。

 しかし、海に近い場所程、黒い塊やカエル顔が出たのか、破壊されている場所が多く、途中の道路にも頭や腕など体の一部が無い死体や、完全につぶれてぐちゃぐちゃになっているものなどがたくさんあった。

 あっちこっちから消防車やパトカー、救急車のサイレンがひっきりなしに響いていた。

 それらを避けながら進んできたので、いつも以上に時間がかかってしまった。


 幸い海から離れるほど、そのような場所が少ないので、幸いまだ自宅の周辺は壊れていなかった。

 家の前に車を止めて、玄関に向かった。


「響子、崇司無事か?」


 扉を開けながら、二人に声をかけた。


「おかえり、

 って兄さん、どうしたの?

 父さんと母さんはどこ?」


 響子が帰ってきた崇一を迎えに出てきたが、爪がなかったり家を出たときより怪我が増えている様子を見て驚いた。

 それに一緒にいた父親と母親の姿が見えない事も気になった。


「響子か、崇司はどこにいる?」


 崇一は響子の疑問には答えずまずは弟の所在を確認した。



「崇司は居間にいるけど…」


「よし、二人とも無事だな」


「無事って何かあったの?父さんと母さんは?

兄さんも治療を受けたわけじゃないみたいだし」


「居間で話す。悪いけど何か飲み物を頼む」


「うん」


 居間に入ると、崇司が雑誌を見ていた。


「崇司話がある」


「兄貴、なんでいるの?病院は?」


「そのことは響子が飲み物を持ってくるまで待ってくれ」


「ああ」


 ガチャっと扉を開けて、響子がお盆をもって入ってきた。


「はい、麦茶でいい?」


「ああ」


「で、話って」


 崇一は、2人が座るのを確認してから両親が亡くなったことを話す覚悟を決めた。


「まず、親父とお袋が死んだ。

 海側の方で変な生き物が表れていて、人が襲われてる。

 このへんはまだ大丈夫みたいだけど、どうなるか分らない」


「父さんと母さんが死んだって、何言ってるの?

 冗談にしては笑えないよ、兄さん」


「…冗談じゃない。

 今言った変な生き物に殺された…」


「嘘でしょ」


「兄貴、嘘だよなっ」


 響子と崇司が椅子から立って詰め寄ってきた。

 崇一は、二人の顔を見れず下を向いたまま話を続けた。


「俺を庇って、親父もお袋も死んだ」


「兄貴、庇ったって…

 じゃぁ父さんと母さんは今どこにいるんだよ。

 まさか、引き篭もりじみた行動してさんざん迷惑をかけたうえに見捨ててきたのかよ」


 崇司が崇一の胸倉を掴んできた。

 崇一は抵抗せず、目をそらしたまま何も言えなかった。


「崇司、落ち着いて」


「でも、姉貴。父さんと母さんがこいつの事どんだけ気にしてたかしってるだろ。なのに…」


「私だって驚いてるし、父さんと母さんの事では言いたいことはあるけど、今の兄さんも見てられないから…。

 ね、とりあえず落ち着いて話を聞こう?」


「でも…」


「ね。崇司」


「…わかったよ…」


 崇司が手を放して座りなおした。


「ごめん。お袋の最後の頼みでお前たちを頼まれたんだ。

 言い訳になるけど、状況が状況だったから先にお前たちの無事を確認する必要があった。

 遺体は後で必ず家に連れ帰る。だからお前たちはまず自分の身の安全を考えてくれ。

 さっき言ったようにここもいつまで大丈夫なのか分らない。

 すぐに出れる準備をしてくれ…」


「でも、兄さん。

本当にその変な生き物っているの?

何かの事故に巻き込まれたんじゃないの?」


「俺も詳しくは分からない。

 でも、何か普通じゃない生き物がいて、暴れてるのは確かなんだっ。

 お願いだから、時間がない、準備をしてくれ」


響子は、崇一が真剣なのがわかり、とりあえず言うとおりにしようと決めた。


「分った。崇司も準備しなさい」


「姉貴信じるのか?」


「兄さんが嘘を言っているように見えないし…

 もし、本当なら逃げた方がいいのは確かだしね」


「でもゲームばかりしてた兄貴だぜ? 倒れたときに幻覚でもみたんじゃないか?」


「崇司、それだけだったら兄さんが怪我を増やして帰ってくるわけないじゃない。

 今は崇司も準備して、お願い」


「わかった。でも兄貴、父さんと母さんの件を許したわけじゃないからな」


「分かってる。

とりあえず、必要なものだけ準備してくれ」


「分った。食べ物とか台所にあるものは姉貴に任せていいかな?」


「分ったわ」


「荷物はできるだけリュックか背負えるものに入れてくれ。徒歩の移動もあるかもしれないから」


「うん」


 2人が部屋に行った後、崇一は何か情報が入らないかとテレビをつけた。

 どの局も多数の急病人が全国で発生していること、結構な人数が亡くなっているとのことだった。

 また、海辺に奇妙な生き物が表れ人が襲われているため、沿岸部から避難するようにを伝えていた。


 すでに分かっている情報だったので、消そうとしたとき、政府からの緊急連絡があるので周囲の人に声をかけてほしいと案内が流れた。


「おい、響子、崇司来てくれ」


 崇一の切羽詰まった声を聴いて、2人がドタドタとやってきた。


「なに、兄さん。何かあった?」


「なんか、政府からの発表があるらしい」


「政府?今回の件かもね」


「ああ、だから2人も見ててくれ」


 しばらくして政府の発表があった。

 色々難しい言い回し等をしていたが要約すると以下の内容だった。


 内容は大きく2点あった。



------------------------

○MWOの経験者に頭痛、吐き気、体の痛み、出血などの体調不良が発生している。症状は個人差があり、重い場合は亡くなる場合もある。

 原因は現在調査中であるが、日本だけでなく全世界のゲーム経験者で発生している。


○現在、海岸線沿いに人を襲う奇妙な生き物が多数確認されている。すでに警察、自衛隊が対処を実施しているが、可能な限り海岸線沿いから非難してほしい。

------------------------


「あ、兄貴がいってた生き物のことかな?」


「おそらくそうだと思う」


「本当だったんだ…」


 崇司は姉に言われたから納得してなかったが準備してただけなので、テレビで放送されているのをみて驚いた。

 響子も兄が言っていた事が本当だったので驚いていたが、それよりも死亡するものがいるとの情報を聞いて崇一の体に本当に問題がないか心配になった。


「兄さんは体は大丈夫なの? 亡くなる場合もあるって言ってるけど」


「ああ。大丈夫だ。怪我以外は頭痛も痛みもなくなった。

 …そういえば確か崇司もMWOをやったことがあったよな?」


「合わなかったから直ぐにやめたけど…」


「体は大丈夫か?」


「何ともない」


「そうか。ならいい。もし何か違和感とか感じたらすぐに言えよ」


「わかった」


崇一が崇司の体の確認をしていると、響子が今後の対応を相談してきた。


「兄さん、これからどうするの?」


「夜だけど、早めに移動をする。

 家は、比較的海に近いから、山側に行かないと…。

 車が混むかもしれないけど、まず行けるところまで車で行こうと思う。

 すぐに出るから、急いで準備をしてくれ」


「「分った」」


9/16 大筋は変えてませんが、一部文言等を修正しました。

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