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365日のアマリリス

掘り出し物は朝に来る

作者: 紫藤くらげ
掲載日:2026/04/06

 いつもの朝、何も変わらない休みの日。小さく欠伸をすれば、目尻に涙が溜まった。天気予報を見ようとスマホに触れたが充電を忘れていたようで、うんともすんとも動いてくれない。仕方なくテレビをつけたものの何やら物騒な話題ばかりで、朝から悪い気には触れたくないとテレビの画面を消した。地上波を見なくなったのはいつからだったか…。

 結局はタブレットを起動して、天気予報を見る。例年よりも暖かく洗濯日和だそうだ。先に腹ごしらえかなと、私はお気に入りの曲を流しながら、トースターに食パンをセットして、冷蔵庫からいちごジャムを取り出した。ついでに冷えた麦茶も取り出して、キャラクターの描かれたコップになみなみと麦茶を注いだ。

 チン!とタイマー音が鳴って、熱々のトーストを皿に移し変える。香ばしい香りがぐうと腹の虫を目覚めさせた。たっぷりとジャムを塗りたくって、朝食は完成。

 両手を合わせていただきます。

 トーストを一口かじる。口いっぱいに広がるいちご、鼻から抜ける小麦の香り。これが私の「当たり前」。朝ごはんは、これと決めると延々と同じものを食べる習性がある。

 そのルーティンが崩れると、調子が狂うのだ。いつも買っている食パンがない、いつものジャムがない。そうなってしまうと、心のモヤモヤが一日中残って消えないのだ。

 ただ、ここのところ、少しだけそのルーティーンが崩れていた。その原因は画面の向こう側。食パンをかじって麦茶をすする。ゴクリと喉を鳴らすと、私はスマホを操作する。

 見ているのはフリマアプリ。

 暇されあれば、商品ページを眺めていた。そして、お気に入りが増えていく。ハートをぽちぽち押していて、あれよあれよと私の「欲しい」は増えていった。そして前日に、ルーティーンに不可欠なものが足りなかった場合、私は必要なものを買う「ついで」に、その時一番ほしいものをひとつ購入するようになった。クレジットカードの情報は入れたくなて、コンビニ決済を選んだ結果がこうだ。


(あ、これ可愛い)


 ハートをぽちっ。もう一個ポチ。目の前の皿は空になって、麦茶も全部飲み干したのだが、端末を操作する指は止まらない。

 これが私のルーティーン。心の安定は保てるけれど、その代償にお金に翼が生えて飛んでいく。今日もぽちぽち、ハートの嵐が吹き荒れた。

最近、くらげさんはフリマアプリデビューをして、色々と買い漁ってしまっています。

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