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透明な彼と真っ黒な彼女  作者: 栖川 葵依
第2章 恋のきらめき
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第24話 勉強会しようよ!

 教室の窓から午後の光がゆるく差し込んでいた。

 カーテンが風に揺れて、机の上のプリントがふわりと浮く。

 遠くの廊下からは吹奏楽部の楽器の綺麗なメロディがかすかに聞こえてきて、そのリズムが心地いい。


「はぁ〜、中間テストとかマジでやだ〜!」

「言ってるだけで全然やってないじゃん」

「それ、いつもの光景ね」


 梨沙が机に突っ伏して、ペンをくるくる回している。

 隣では佑磨くんが静かに教科書やノート類をスクールバッグに詰めている。


「……テスト範囲まだ終わってないんだろ」

「うっ……バレた?」

「だと思った」

「もうちょっとぐらい信じてよ〜」

「信じる要素がねぇ」

「えー!!!」


 佑磨くんと軽口を交わした瞬間、机越しの空気がふっと軽くなる。


「ねぇ、土曜さ。みんなで勉強会しようよ!」


 梨沙が急に顔を上げて言った。

 その声が思ったより大きくて、近くのグループがちらっとこっちを見た。


「勉強会?どうせ会ってつくだけでほぼ雑談でしょ」

「いーのいーの! 勉強もするってことで!」

「もって言ったよね今」

「知らない〜!!」


 美桜がすかさず突っ込みを入れて、教室がくすっと笑いに包まれる。


「じゃあさ、場所はLumièreにしよ。勉強っていうより、もうカフェ日和じゃん」

「それ賛成〜! 陽菜さんのケーキ食べたい!」

「てかカフェで勉強ってほんとにできるの?」

「雰囲気で頭よくなった気になるから大丈夫!」

「バカだ。バカがここにいる!」


 笑いながらみんなが声を重ねる。


「じゃあ男子も混ざる感じね。……佑磨くんも来る?」


 梨沙の声にあたしの隣の佑磨くんが少し考えてから、ゆるく頷く。


「行くよ。家だと集中できないし」

「うわ。真面目〜」

「……俺は普通に勉強しに行くんだけど?」

「いや、絶対途中で話し出すよね〜」


 あたしはそのやり取りを聞きながら、なんとなく笑った。

 みんなで冗談を言い合ってるだけなのに、この教室の空気がやけにやさしく感じる。

 光の粒が窓の外で揺れてそれが反射して佑磨くんの横顔をかすかに照らした。

 どこか穏やかで安心できる空気だった。


「それ瑠奈が一番最初に話題振るパターンじゃん」

「え、あたしそんなことしないし!」

「この前もちょっと休憩〜って言いながら一時間しゃべってたじゃん」

「……それ覚えてるのずるい〜!」

「だってあのあと誰も勉強に戻れなかったし」

「ま、結果オーライってことで!」


 みんなの笑い声がいっせいに弾けた。

 窓の外から吹き込む風がカーテンをふわっと持ち上げ、放課後の教室にまるで春そのものみたいな匂いが流れ込む。


 あたしは頬杖をつきながら、その光景を目で追った。


 こんなふうに笑っていられる時間がずっと続くような気がした。

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