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透明な彼と真っ黒な彼女  作者: 栖川 葵依
第2章 恋のきらめき
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第4話 クール系だから尚更

 カフェのテーブルにアイスラテとフラペチーノ、ケーキが並ぶと自然におしゃべりが始まった。


 窓際の席からは夕陽が少し赤く差し込んでいて、笑い声に照らされた氷の粒がきらきら光る。


「ねえ、今日の福田先生テンション高すぎじゃなかった?」


 柚菜がストローをいじりながら言うと、舞がカフェラテの泡をスプーンですくって笑った。


「わかる!試験管の色変わったときにさ、『これが化学のロマンです!』って声裏返ってたじゃん」

「しかも両手で大げさに掲げてさ、なんか魔法使いっぽかったよね」

「我は世界の真理を示す!みたいなノリで!」

「やば、想像しただけで笑える」


 テーブルの上に置かれたドーナツが揺れるくらい笑い声が広がる。


「でもさ、先生めっちゃ楽しそうじゃなかった? あんな顔するの珍しい」

「確かに!普段は静粛にしか言わないのに」

「今日に限っては一番うるさかったよね」

 梨沙がアイスコーヒーのストローをくわえて、わざと低い声を出す。

「『諸君!ここに注目!』」


 似てる!って美羽が吹き出して、抹茶フラペチーノのホイップを慌ててナプキンで拭った。


「ちょっとやめてよ!思い出したら笑っちゃうんだから!」

「ほら、美羽が犠牲に!」

「でもマジで声裏返るとこ完璧!」


 紗月までが両手を広げてモノマネする。


「これが化学のロマンだぁ!」


 テーブルに突っ伏した柚菜が涙をこらえながらやめてー!と叫ぶ。


「福田先生、ほんと推せるわ」

「いや、推し枠に入れるな!」

「次の授業でもやってほしいんだけど」

「無理無理、次は普通に怒鳴ってると思う」


 笑いすぎて頬が熱くなる。


 カフェのBGMが少し遠く聞こえるくらい、みんなの笑い声が店内に弾んでいた。


「笑いすぎてお腹痛い……!」


 梨沙が胸を押さえて息を整えると、ストローの氷がカラカラ鳴った。


「でもさ、先生より騒いでる男子いるよね」


 紗月がポテトをつまみながら言うと、すぐに柚菜が頷いた。


「わかる!藤井でしょ。あの人、今日も授業中ずっと喋ってたじゃん」

「しかもノート白紙なのに自信満々で当てられて答えるからウケる」

「逆に才能だよね」


 美羽が抹茶ラテのストローをいじりながら苦笑する。


「いやでもさ、勉強系なら峰島くんの方がやばくない?テスト前とか一回読んだだけで覚える天才肌って噂あるし」

「そうそう!しかも全然勉強してないアピールするくせに、いつも上位にいるんだよね」

「ずるい〜!」


 舞がフォークを突き出して叫ぶと、また笑い声が広がる。


「藤井はないわ。面白いけど彼氏には絶対ムリ」

「でも盛り上げ役だから人気あるでしょ?」

「いやいや!真面目に付き合うなら峰島くん一択でしょ」

「えー、私は佐田くんかな。サッカー部で背も高いし」

「わかる〜!スポーツ系は正義」


 梨沙が笑いながら「チャラ神は絶対浮気しそうじゃん」と言った瞬間、ドキッとした。


 その言葉に笑ってみせながらも、去年の冬の冷たい景色が一瞬だけ頭をかすめる。

 誰にも気づかれないようにストローをくわえて誤魔化すけど、その小さな影はじんわり残っていた。


「じゃあ勝手に二年三組モテ男子ランキングやろ!」


 梨沙の声にテーブルの空気がまた一気に明るく弾んでいく。

 笑い声がカフェの窓に反射して、さっきのざわつきはすぐに遠のいていった。


「はいはい、一位は?」

「鈴木でしょ」

「いや是枝くんも強くない?」

「わかる。あの落ち着き方はギャップあるし」

「でもクールすぎて声かけづらいんだよね〜。顔もクール系だから尚更」


 わっと笑いが広がる。彼の名前が出た瞬間、笑いに紛れながらも自分の名前を言われたみたいに胸が熱くなる。

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