最 終 章 : 言の葉は要らない。
とうとう最終回と相成りました。
はてさて、フィン君は無事成就するのでしょうか!?
物語の結末をどうぞお楽しみください!
最終章: 想いが交差する瞬間
フィンは、エリシアの家の前に立ち、心臓が高鳴るのを感じながら、思い切って扉を叩いた。今までのどんな時よりも、胸がどきどきしていた。その一歩を踏み出すだけで、何かが変わるような気がして、少しの不安もあったが、それよりも強い気持ちが胸にあふれていた。
「エリシア、待ってろよ…俺、ちゃんと伝えるからな!」
しかし、扉が開いた瞬間、フィンは言葉を失った。
目の前に立っていたのは、あの漆黒のかんざしをつけたエリシアだった。
かんざしがエリシアの銀髪に留められているのを見た瞬間、フィンの胸が熱くなった。
あの日、彼女に渡したあのかんざしが、今、彼女の髪に飾られている。
まるで運命が繋がったような――。
「え…?」フィンは驚き、立ち尽くしてしまった。
頭の中が真っ白になって、何をしにここに来たのか、わからなくなってしまう。どうしてエリシアがそのかんざしをつけているのか、理解できなかった。しかも、それを何故今付けているのか、理由がまるで見当たらない。
「フィン、来てくれるとは思わなかったわ…」エリシアの声が、静かに響いた。
その声に、フィンはようやく我に返った。彼女が口を開くと、どこかしんみりとした表情を浮かべて、ゆっくりと近づいてくる。
「もう、会えないと思っていたから…」
その言葉を耳にした瞬間、フィンはさらに混乱した。彼女は一体何を考えているのだろうか。
その一歩一歩が、フィンの心に確かな変化をもたらす。エリシアが近づくたびに、胸の鼓動がどんどん速くなっていくのを感じた。もう、逃げられない。どうしようもないぐらい、エリシアに引き寄せられていった。
そして、視線が交わった瞬間、エリシアが静かに言った。
「…私も、あなたが好きだったのかもしれない。」
その言葉に、フィンは再び驚き、頭の中が一瞬で真っ白になった。
エリシアの顔が近づいてくる。何も考えられなかった。
ただ、強く引き寄せられるように――唇が触れ合う。
キス。
それが、エリシアからの答えだったのかもしれない。彼の心臓がさらに激しく鼓動し、エリシアの熱いぬくもりが全身に伝わる。それだけで、フィンは世界が静止したかのような感覚に陥った。
エリシアの手が、そっとフィンの頬を包み込んだ。その温かさが、彼の心に染み渡っていく。フィンは、自分が今、何をしているのかすら分からないまま、その瞬間を楽しんでいた。
しばらくして、二人はゆっくりと顔を離した。息を整え、フィンの目には驚きと感動が入り混じっていた。まさか、こんな形でエリシアの気持ちを知ることができるなんて…。
「ありがとう、フィン…」
その言葉に、フィンはふと涙が溢れ出してきた。何もかもが、うまくいったような気がして、胸がいっぱいになった。涙が止まらなくて、フィンは何度も何度も顔を拭いながら言った。
「俺も…本当に好きだったんだ…」
エリシアは、優しくフィンを見つめて、微笑みながら言った。
「ねぇ、もう一度、私に料理を作ってくれないかしら?」
その問いかけに、フィンは思わず顔を赤らめて答える。
「あぁ・・・、あぁ!今度はもっと美味しいの作るから、楽しみにしてて!」
その瞬間、二人は静かな幸福感に包まれていた。やっと、二人の距離が縮まった。フィンは自分の気持ちが、確かにエリシアに届いたことを実感し、心から満たされた。
そしてその瞬間から、二人の関係は新たな一歩を踏み出し、恋人として歩み始めることになるのだった。
エピローグ: 永遠に続く幸せ
フィンとエリシアは、晴れて恋人同士となり、日々の暮らしは幸せに満ちていた。
彼らの関係が深まるにつれ、エリシアは少しずつ、以前の冷徹で謎めいた一面を取り払い、フィンに素直な自分を見せるようになった。
フィンもまた、エリシアにどんどん惹かれていき、自然に彼女のために何かをしてあげたくなる自分を感じていた。
ある日、村の広場で子供たちと遊んでいるエリシアの姿を見かけたフィンは、心の中で思わず笑みを浮かべた。
エリシアは、もはやただの森の守護者ではなく、村の人々にとっても大切な存在となっていた。
「エリシア、子供たちと仲良くしてるな。」
フィンが近づくと、エリシアは振り返り、少し照れたような笑顔を見せた。
「フィン、見てたのね。」エリシアは子供たちに手を振りながら言った。
「でも、ちょっと不思議・・・。今までみんな私を怖がってたのに」
「うーん、それは一言じゃ言えないけど、きっと…君が笑ってると、こっちまで幸せになるからだよ。」
フィンは肩をすくめて答える。
「ふふ、うれしいこと言ってくれるじゃない。」
エリシアは微笑んだ。その笑顔は、彼女がただの守護者でも、冷徹な存在でもなく、フィンにとって最も大切な人であることを感じさせるものだった。
それから、日々が穏やかに流れていった。フィンは村のために狩りをし、エリシアは森を守る任務を果たしながら、ふたりで過ごす時間はますます充実していった。時折、フィンがエリシアのために料理を作り、その美味しさにエリシアが満面の笑顔で喜んでくれることが、フィンにとっては何よりの喜びとなった。
「フィン、これ、本当においしいわ!」
エリシアは嬉しそうに笑いながら、フィンが作った料理を食べる。
「あなた、もしかして料理の腕前、かなり上達したんじゃない?」
「え、そんなことないさ。ただ、エリシアのためなら、どんな料理でも作れるよ。」
フィンは照れくさそうに言った。
数年が経ち、二人は穏やかな日常を送っていた。
そして、ある日、思いもよらぬ出来事が訪れる。エリシアが妊娠したのだ。
「フィン、あたし…赤ちゃんができたみたい。」
エリシアが少し照れたように告げたとき、フィンは驚きと喜びで胸がいっぱいになった。
「本当か!やったな!」
フィンは嬉しさのあまり、思わず声を上げた。
「じゃあ、君もお母さんか!」
「えぇ、もうすぐお母さんになるわね。」
エリシアは少し恥ずかしそうに微笑んだ。
月日が流れ、二人の間に元気な女の子が生まれることになった。
エリシアとフィンは
彼女に「ティオネ」と名付けた。
ティオネは、アラクネの血を引く子供として生まれ、両親の愛情と村の人々の優しさに囲まれ、すくすくと育った。
「ぱぱー!だいすきー!」
ティオネは、まだ幼いながらも元気よく叫びながら、フィンの足元に駆け寄った。フィンはその姿を見て、自然に微笑みがこぼれた。
「ティオネ、パパもだいすきだよ。」
フィンはティオネを抱き上げ、軽くスピンをしてみせた。
エリシアもその光景を見守りながら、嬉しそうに微笑んでいた。
「二人とも、本当に仲良しね。」
その後、さらに数年が過ぎ、ティオネはすっかり大きくなり、元気いっぱいに駆け回るようになった。
フィンとエリシアの暮らしは、まさに幸せそのもので、村の人々との関係もより良いものになっていった。
特に、アラクネに対する恐怖感が減り、子供たちもエリシアと親しく接するようになっていた。
「お父さん、また一緒に遊ぼうよ!」ティオネは、フィンにお願いした。
「おう!もちろんだ、ティオネ!」フィンは笑いながら答え、彼女と一緒に遊ぶ準備を始めた。
そして、十年の歳月が流れた。
二人の間に生まれた愛は、さらに深まり、ティオネも元気に育ち、家族全員が幸せな日々を送っていた。フィンとエリシアの暮らしは、まるで何もかもが順調に進んでいるような、平穏無事な日々で満ちていた。
「フィン、私たち、本当に幸せね。」
エリシアは穏やかな表情で言った。
「うん、そうだな。あの頃、あんなにドキドキしていたけど、今は毎日が最高だ。」
フィンはエリシアの手を取って、満足そうに微笑んだ。
ティオネが元気に走り回っている光景を見ながら、二人は静かな幸福感に包まれていた。そして、彼らの物語は、まだまだ続くのだろう。
よかったねぇ、フィン君良かったねぇ。
ここまで読んでくださった皆様方本当に感謝の気持ちでいっぱいで御座います。
『有難う御座いました!』
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