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異種族恋愛冒険ファンタジー森の守護者と弓の冒険者  作者: やきそばぷりん
第七部:心の声を届けるために
7/8

第20章~第22章:心の声を届けるために

この物語は、異種族との恋愛や冒険を通じて、キャラクターたちの成長と幸せを描きたいという思いから生まれました。




主人公フィンが、様々な異種族の女性たちと出会い、葛藤しながらも前に進む姿を、読者の皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。




彼女たちの個性や絆を丁寧に描きつつ、フィンと共に笑い、悩み、冒険する体験を共有できれば幸いです。異種族ファンタジーが好きな方は、ぜひこの世界へお越しください!


第20章:想いの先に


王都に到着したフィンは、少しばかりの疲れを感じながらも、いつもの安宿へ向かって歩いていた。街の賑わいは相変わらずだし、通りに並ぶ店の看板も変わっていない。でも、今日はなんだか少し違う気がした。歩くたびに、どこか心が落ち着かない。


「なんだろうな…最近、エリシアのことばっかり考えてる気がするな」


ふっと自分の足を止め、周りを見渡した。王都には異種族の女性が多く、いつもなら


「お姉さんどこいくの~?良かったら一緒にカフェでもどう?」


とか、自然に声をかけていたりする。

でも今日は、ずっとエリシアの事しか思い浮かばなくて、その気になれなかった。


「変だな…」


周りを見ても、確かに魅力的な女性はたくさんいる。

でも、どうしてかエリシアのことばかり考えてしまう。



"あの冷たくも優しい笑顔"


"無邪気に肉を頬張っていた、あの雰囲気"



普通なら、他の異種族の女性に声をかけることもあるはずなのに、今日はその気になれなかった。


「そういえば、エリシアは今、何してるんだろう…」


無意識に歩く速度を緩めた。


「初めてのプレゼントは銀色の髪に似合うと思って漆黒のかんざしを贈ったっけな…」


エリシアのことを考えると、自然に胸の奥が温かくなる。

今まで、色んなプレゼントをしてみたけど、いつも反応は似たような感じだった。


『ありがとね』


って言ってくれるけれど、その先の反応が予想できてしまう自分がいる。


「でも…嬉しかったんだよな。あの笑顔が見られるだけで、すごく嬉しかったんだよな」


あれから何度か彼女のところに行ったけれど、その度に心が少しだけ軽くなるような気がした。


「うーん、何が一番喜んでいたっけなぁ…」


しばらく立ち止まり、空を見上げた。

プレゼントで彼女を喜ばせた記憶を思い出そうとするが、なかなかうまく思い出せない。

とりあえず、色々な物を渡してみたが、確かに反応はどれも一緒。

だけど、あの笑顔を見ると、何だか心が満たされていった気がする。


「…思いつかないな」


あまりにも何も浮かばず、フィンは再び歩き出した。

王都の道を足早に歩く。安宿が近づくにつれて、いつものように無理にでも考えを切り替えようとした。でも、心の奥で引っかかるものがある。


「俺、やっぱエリシアのこと好きなんだろうな・・・。」


一人呟くようにそう言うと、ふっと気が楽になった。

それにしても、この気持ちがどこから来ているのかがまだわからない。

ただ、エリシアの笑顔が自分の心を支えている気がした。


そのまま安宿に到着し、部屋に入っても、すぐに眠りにつく気にはならなかった。ベッドに横たわると、なんとなく天井を見つめながら、エリシアの顔が思い浮かんだ。


「でも、俺、なんでこんなにエリシアのことを考えてんだろ?」


不思議と心は落ち着かず、目を閉じても、エリシアの姿がちらついてくる。やっぱり、あの笑顔のせいだろうか。それとも、彼女の何かが自分を引き寄せているのか。


フィンはそのまま深い眠りに落ちていった。


次の日の朝、目が覚めると、最初に浮かんだのは



"エリシアの笑顔"



だった。

どうしてだろう、あの笑顔が自分の心に強く残っている。昨夜の自分の気持ちが、本当だったのかもしれないと思うと、なんだか急にドキドキしてきた。


「よし、決めた!いつもの玉砕覚悟だ!!」


フィンはベッドから飛び起き、すぐに身支度を整え始めた。今日は、エリシアに自分の気持ちを伝えるんだ。言葉にして、自分の中の何かをはっきりさせようと決めた。


一度だけ、鏡に向かって


「エリシアが好きだぁぁぁ!ヨシっ!!」


そう叫んでいた。本気だ!


急いで王都を歩き、エリシアの家に向かう。足取りは軽く、心の中では緊張と興奮が入り混じっている。数分後、エリシアの家の前に到着すると、フィンは深呼吸をしてから、ドアを勢いよくノックした。


しばらくして、ドアが開く。そこに立っていたのは、いつも通りのエリシアだった。


「エリシアー!俺、エリシアのことが好きだ!」


フィンは思わず声を張り上げた。少し自分でも驚いたが、それが本当の気持ちだ。エリシアが少し驚いた顔をしているのを見て、フィンは続けた。


「一目ぼれだったから、最初はその時の雰囲気に流されているだけだと思ったけど、ずっとエリシアのことを考えてたんだ!だから、ずっと一緒にいたいし、ずっと一緒にいて欲しい!」


フィンはその言葉を吐き出すように言い切った。自分の気持ちを言葉にするのは、こんなにも緊張することだと初めて感じた。しかし、言ってしまったからには後悔はしない。エリシアがどう反応するかを、ただ待つしかなかった。


エリシアは、少しの間静かにフィンを見つめていた。




第21章: 心の迷路



『エリシアー!俺、エリシアのことが好きだ!』


最初はその言葉が耳に入った時、何を言っているのかすぐには理解できなかった。

もちろん、フィンが軽いノリでよく口にするような言葉ではないことは分かる。

まさか、そう言われるとは思わず戸惑った


フィンの言葉が心に響いてくる。だが、同時にいくつかの疑問も浮かんだ。


「どういう意味だろう?」


自分に告白していることは分かる。

でも…私に好きだなんて、どうして言ってくれたのか、いまいち腑に落ちない気がする。

人間って、普通、私のことを怖がるものじゃなかった?


目の前に立つフィンを見つめながら、私はその意味を考えた。

私の姿に恐怖を感じる人間は多いのに、彼がこうして堂々と告白してくるなんて不思議ね。


「わからないわ…」


心の中に不安が芽生えてきた。でも、どうしても返事をしないわけにはいかない。



「ごめんなさい、フィン。私にはその意味がよくわからないの。」



私はしばらく沈黙を保ち、できるだけ冷静に言葉を絞り出した。


フィンはわずかに視線を落とし、苦笑するように小さく頷く。



「…そっか。そうだよな。はは、参ったな…。ありがとうな、エリシア・・・。」



彼は、涙を見せない様に言った。


私が考えていることを気にせず、元気そうな声でそう言うと、あっさりとその場を離れて行った。


ドアが閉まると、私はその後に残った静けさの中で思考を巡らせる。


フィンの言葉が、頭の中で何度もリピートされていた。その後、彼が去ってからしばらくの間、私は一人で座り込んでいた。彼の気持ちをどう受け取るべきか、正直なところ全然分からなかった。


「フィンからもらったプレゼント…」


私は頭の中で、今まで彼が持ってきてくれた様々なものを思い出す。

どれも私には使い道が見つからなかったものばかりだったが、なぜか心の奥底に温かさを感じていた。

それでも、どうしてそれを私にくれるのかは分からなかった。


「少し調べてみようかしらね。」


アラクネの糸は私にとって、まるで耳のようなものだ。

糸を伝わせて、森の中や近隣の村々での人々の会話を聞くことができる。

それを使えば、フィンが言っていたことの意味を少しでも掴めるかもしれないと思った。


ゆっくりと糸を送り、近くで流れる会話を拾う。


「あいつ、彼女ににプレゼントを渡してたんだって」


「まじで!?あいつにそんな素振りなかった気がするけどなぁ」


「だよな、それで成功したらしいぜ?」


「あのべっこうのかんざし綺麗だったしな、心揺れたんじゃねーの?」


「なんか、つけてもらってて、凄い喜んでんの見て少し羨ましかったけどな」


糸を伝わせて聞こえてくる人々の声。どうやら、フィンのプレゼントには何か特別な意味が込められていたようだ。私はその話を耳にし、少しだけ納得した。


「そう…そういう意味だったの。」


彼が私に贈ったプレゼント。

それが単なる物ではなく、気持ちを込めたものだったことを、ようやく理解した。


それから、しばらく私は考えた。フィンが料理を作ってくれたことや、彼が優しく接してくれることが、私の中で何度も反復されていた。

あの温かさに包まれた瞬間、私はどうしても心が落ち着かなかった。

それでも、答えは出てこない。


「料理…おいしかったわね。」


ふと思い出し、私は微笑んだ。

もし、私がずっと一緒にいれば、またあの料理作ってくれるかな。


その後、数日が経ち、フィンが再び来ないことに寂しさを感じるようになっていた。以前はあまり感じなかったこの感覚が、今は少しずつ私の中に広がっていった。


「そういえば、フィンがくれたかんざし・・・。」


あのかんざし、どうやって使うのかしら。そう思いながら、私はそれをどうやって身につけるか考えてみた。試行錯誤した後、ようやくその使い方が分かってきた。


「こうね!今度会いに来たら、着けておきましょう。」


その姿は、銀髪に漆黒のかんざしが差し込まれ、艶やかに輝いているかのようであった。


(私もフィンの事が”好き”なのかも知れないわね・・・)


心の中でそう感じた時、少しだけワクワクした気持ちが芽生えた。

次にフィンが来る時には、あのかんざしをつけて、彼に見せてみましょう。

どんな反応をするのか、少し楽しみになった。




第22章: 前進する心


フィンはいつもの安宿に戻ると、すぐに床に倒れ込んだ。

疲れた身体を包み込むような柔らかな布団の中で、彼はただただ涙を流し続けていた。


今まで経験したことのない感情が、まるで洪水のように溢れ出てきて、止めようとしても止まらない。

あんなに冷静に話していたエリシアの顔が、フィンの心の中で何度も浮かぶ。



「俺、エリシアが好きだ…」



その言の葉を言った瞬間の、自分の声が耳に響いてくる。

どうしてこんなにも自分を苦しめるのか。

どうして涙が止まらないのか、フィン自身にも分からなかった。


もちろん、今まで何度も告白してはふられてきた。

慣れっこだと思っていた。

いつも通り、軽い感じで終わるだろうと思っていた。

それでも、エリシアにはなぜか全く違う気持ちが芽生えていた。

普段の自分なら、こんな感情に振り回されることはなかったのに、今回は違った。


「ふられても、まあいつも通りだしな」


と思いながらも、心の中ではどこかで希望を持っていた自分がいることに気づいてしまった。

そしてその希望が、今、こんなにも痛いほどに感じられる。


一晩中泣きながらも、心は少しずつ整理されていった。

涙が枯れ果てた時、フィンは静かに呟いた。



「本当に好きだったんだな…」



しばらくの間、彼は何も手に付かず、部屋の中でただ生きていた。

気がつけば、数日が過ぎていた。

最初のうちは本当に悲しくて、落ち込んでいるだけだった。

しかし、そんな自分に飽きてきた。

エリシアに対する思いは、やはり本物だった。


「どうしようかな…」


フィンはそう呟きながらも、少し頭を整理する。

エリシアが言った言葉が、ふと頭に浮かんだ。



『ごめんなさい、フィン。私にはその意味がよくわからないの。』



ああ、そうだ。彼女は


"意味がわからない"


と言ったんだ。

”嫌い”とも”ごめんなさい”とも言い切られていない!


「一緒に居たくないわけじゃないんだよな!」


フィンは急に元気を取り戻したように、布団から飛び起きた。

彼女は冷静で、感情をあまり表に出さないタイプだ。

それを分かっているからこそ、あの言葉の意味が少しずつ見えてきたような気がした。


自分の気持ちに気づいてから数日が経ち、心の中で少しずつ前向きな気持ちが芽生えてきた。フィンはどんどん元気になり、もう一度エリシアにアプローチすることを決意した。


「よし、行こう!」


彼は安宿を飛び出すと、エリシアの家へ向かった。

俺はずっと考えていた、何が一番喜んでいたのかを。


「そうだ料理だ!治療してくれたお礼に料理作ってあげた時凄くいい顔してたよな!」


その気持ちがまたフィンを前に進ませた。


「もう、何を言うかじゃない。大事なのは、素直な気持ちだ。」


彼がエリシアの家に近づくにつれて、胸の鼓動が高鳴る。どんな顔をして彼女に会えばいいのか、少し戸惑いながらも、心の中ではすでに決意が固まっていた。


「だめだ。恥ずかしいとか、そんなこと言ってられない。」


少し息を整え、フィンは深呼吸をした。エリシアの家の前に立つと、目の前の扉に手をかけた。ほんの少しの不安もあったが、それよりも強い思いが胸にあった。


「エリシア、待ってろよ…俺、ちゃんと伝えるからな!」


その決意を胸に、フィンは扉を叩いた。

ちょ、おい、嘘だろ。




嘘だろおぉぉぉい、はよ続けぇぇ!




次回最終回、二人に待ち受ける運命とは・・・。こーう!ご期待!!




拙い部分も多かったと思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございました!


続きの執筆も頑張っていますので、ぜひ応援していただけると嬉しいです。


感想や意見をいただけるととても励みになります!




(例:フィン君かっこいい!面白かった!や、2作目ならこんなもんやろ、面白くなかった、ベタすぎ等)




「何を書けばいいかわからない…」という方は、上の例を参考に、そのまま書いていただいても大歓迎です!


もちろん、どんな感想でも構いません!良いことも悪いことも、どんどん書いてくださいね。

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