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異種族恋愛冒険ファンタジー森の守護者と弓の冒険者  作者: やきそばぷりん
第六部:白銀の糸と獣の爪
6/8

第17章~第19章:白銀の糸と獣の爪

この物語は、異種族との恋愛や冒険を通じて、キャラクターたちの成長と幸せを描きたいという思いから生まれました。


主人公フィンが、様々な異種族の女性たちと出会い、葛藤しながらも前に進む姿を、読者の皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。


彼女たちの個性や絆を丁寧に描きつつ、フィンと共に笑い、悩み、冒険する体験を共有できれば幸いです。異種族ファンタジーが好きな方は、ぜひこの世界へお越しください!

第17章:かんざしが結ぶ運命


プレゼントも買ったし、準備は万端!


馬車で村に到着後、軽く村長様達と挨拶を交わし、森へ向かった。


昼過ぎ、木漏れ日が心地よく降り注ぐ時間帯。

エリシアの家の前に立ち、大きく息を吸い込む。


「エリシアー! いるー?」


しばらく返事がない。


「ん? 留守かな?」


と、少し待つと、奥から銀色の髪を揺らしながらエリシアが現れる。


「……だれぇ?」


「おお、エリシア!」


「ぅん?……えーと、フィンだったかしら?」


フィンは思わず驚きつつも、すぐにニカッと笑う。


「覚えててくれたんだな!」


「まあ、少しはね。」


エリシアは眠たそうに目をこすりながら、軽く息をつく。


「で、何の用?」


「あー、その……会いに来たんだけど」


エリシアはじっとフィンを見つめる。


「……どうして?」


「えーっと、どうしてって……エリシアともっと話がたくてさ!」


フィンは焦りながら目を泳がせる。



「……ふうん。」


エリシアの無表情に一寸不安になる。


(いきなり来たから怒らせちゃったかな)

「迷惑だったら帰るけど……怒ってる?」


少しの沈黙。


「……そう見える?」


「え、いや……えーっと」

俺は慌てて言った。言葉がすぐに出てこない。


エリシアはふっと微笑んで、目を細める。


「ふふ、怒ってるわけじゃないわよ。」


「よかった〜! ちょっとドキッとしたよ。」


エリシアは静かに立っている。沈黙が心地よくもあり、フィンは落ち着かない様子。


「今日も依頼?」


「いや、今日はそうじゃないんだ。エリシアのこと、もっと知りたくて。」


軽く頭をかきながら、ポケットから小さな包みを取り出す。


「それと、エリシアにプレゼントがあるんだ!」


「……ぷれぜんと?」


エリシアは首をかしげる。

(???ぷれぜんと・・・??)

「何かの暗号?」


「違う違う! これ!」


フィンはかんざしを取り出して、エリシアに差し出す。


「エリシアに似合うと思って!」


「……これをどうするの?」

(食べるのかしら?)


「"かんざし"って言って、髪に飾るものなんだけど、使ってくれると嬉しいんだけどな。」


エリシアは手に取る。迷った様子で、それをじっと眺める。


(んん?かんざし? 髪に飾る…?)


フィンはその表情にちょっと焦りつつ、にっこり笑う。


「もらってくれる...かな…?」


「……えぇ」


エリシアが戸惑いながらも頷いたその瞬間――


微かな振動が蜘蛛の糸に伝わり、彼女の表情が変わる。


(……魔物が近い。)


「ごめんなさい、私は今からやることがあるから、出てくるわね。」


かんざしを手に持ちながら、エリシアは森の奥へと向かっていった。


フィンはぽつんと一人残される。


「……たった数分だったのに、もっと一緒にいたかったな〜。また会いに来るからね!」


フィンは胸がいっぱいになり、ふっとため息をつく。


「…エリシア行っちゃったし、今日は帰るか!」


そう呟き、王都へ戻るのだった。


フィンはその後も何度かエリシアのもとを訪れ、毎回同じように軽い会話と小さなプレゼントを渡していた。

エリシアは相変わらず、少し冷たい目でフィンを見つめることが多かったが、それでもそのたびに微笑んで

「ありがとう」

と一言。

最初はその言葉にドキドキしたフィンだったが、次第にそれが当たり前のようになり、少し寂しい気持ちも抱くようになっていた。




第18章:戦の毒、命を繋ぐ糸


そんな毎日が続いたある日、いつものようにエリシアの家へ向かった。

しかし、森へ入ると、どこか不穏な気配が漂い始める。

馬車で村を抜け、静かな森を進むにつれ、木々のざわめきすらも荒々しさを増していた。


エリシアの家の近くに差し掛かった瞬間、突如、鋭い咆哮が森中に響き渡る。


――ガァァァァァッ!!


即座に馬車を止め、周囲を警戒した。


「なんだ、この音は……?」


心臓が激しく鼓動する。息を殺しながら、木の影に身を潜めた。

そして目の前に広がった光景に、思わず息をのむ。


そこには、巨大なクマのような獣――ビーストクロウがいた。

毛並みは逆立ち、鋭い爪が地面を引っ掻き、唸るたびに大地が震えている。

その獣に立ち向かうのは、エリシア。


普段の彼女とはまるで違った。


普段は八本あるはずの脚が、六本しかない。

それでも彼女は、しなやかに跳躍し、蜘蛛の糸を操りながら、鋭い蹴りを繰り出していた。

しかし、ビーストクロウは一歩も引かず、巨大な前脚で攻撃を受け流し、咆哮を上げる。


まるで戦士と獣の死闘。


だが、よく見ればエリシアの動きはわずかに鈍い。

疲弊しているのか、それとも――負傷しているのか?


「……くそっ!」


フィンは決断した。


「俺も……負けられない!」


影に紛れ、素早く弓を構える。狙うは――猛獣の側面。

ピタリと狙いを定め、弦を引き絞る。


――シュッ!!


矢は音もなく飛び、奴の肩に深々と突き刺さった。


「グルァァァァ!!」


それは怒り狂い、鋭い眼を光らせながらフィンの方を振り向いた。


「しまっ……!」


咄嗟にもう一本、矢を放つ。しかし、ビーストクロウは体を捻り、矢を避ける。

次の瞬間、地を蹴った巨獣が猛然とこちらへ迫ってきた。


轟くような足音が響く。大地が揺れる。殺気が突き刺さる。


「フィン!? 馬鹿!出て来るんじゃないよ!!」


エリシアの叫びが飛ぶ。だが、もう遅い。


フィンは身を翻そうとした――だが、


ゴッ!!


衝撃。


次の瞬間、鋭い爪がフィンの背中を掠めた。


裂ける皮膚。弾ける痛み。熱い血が服を濡らしていく。


「ぐっ……!!」


膝が崩れそうになる。しかし、そんな暇はない。

ビーストクロウが止めを刺そうと、大きく前脚を振りかぶる。


――死ぬ!


その刹那


バチィィィィッ!!


突如、無数の蜘蛛の糸がビーストクロウの体を絡め取った。

動きを封じられた獣が、怒り狂ったように暴れる。


「……終わりよ!」


エリシアが静かに囁いた。


次の瞬間、彼女の指先から淡い光を放つ糸が放たれ、獣の体へと突き刺さる。

毒が注入された瞬間、ビーストクロウの咆哮が森に響き渡った。


「グ……グァァァ……」


ビーストクロウは苦しげにのたうち回り、やがて、地面に崩れ落ちた。


――静寂が訪れる。


フィンは、朦朧としながらも口を開いた。


「エリシア、大丈夫か……?」


「私は大丈夫よ! それよりもあなた!」


彼女はすぐに駆け寄り、フィンの背中に手を当てた。

エリシアから放たれる蜘蛛の糸が、彼女の毒を纏い、傷口をゆっくりと包み込んでいく。


「……な、なんだこれ……?」


フィンは驚き、痛みの中でその感覚に戸惑う。

蜘蛛の糸が皮膚に馴染み、裂けた傷口をゆっくりと縫合していく。

エリシアは、静かに微笑みながら言った。


「大丈夫。すぐに痛みも収まるわよ。」


彼の体を這う白銀の糸は、まるで生き物のように優しく傷口を覆い、冷たい感触が心地よくもあった。

フィンはその異様で美しい治療法に驚きながらも、少しずつ安堵の気持ちが広がっていった。


「エリシアの毒って、こんな風にも使えるのか……」


「ええ。私たちアラクネの毒は、恐ろしいだけのものじゃないわ。」

彼女の毒が、痛みを癒すために使われることに、フィンは改めてその優しさを感じた。


エリシアの声は、どこか優しかった。


「……フィン、しっかり休んで。私の家で治すから。」


彼の意識は、次第に遠のいていく。

最後に感じたのは、エリシアのぬくもりと、安らかな気持ちだった。


――俺はそのまま深い眠りへと落ちていった。




第19章:心の温もり


フィンは、目を覚ました。ぼんやりとした視界の中で、冷たい空気を感じながら、自分の体をゆっくりと動かした。背中に痛みはなく、むしろ不思議なほど楽になったような気がした。目の前にはエリシアが座っており、彼女の顔を見つめると、ふと心が落ち着く。


「ん…ここは?」


「あら、目覚めたのね。」


エリシアのいつもの冷たい声に安心し、ふと思い出した。

あのビーストクロウとの激闘。エリシアが自分を助けてくれたこと。

傷が治っていることに驚いていると、ある事に気が付いた。


「ハッ!エリシア!脚は大丈夫なの!?」


焦って立ち上がろうとすると、エリシアは軽く手で止める。


「まだ起きてはだめ!寝てなさい。それよりも、心配してくれているの?」


「もちろんだよ!無茶してたんだぞ!怪我してたから心配で…!」


「あら、ありがと。でも大丈夫よ。」


フィンはふと、彼女の脚に目を向けた。


(綺麗だ・・・、いやちがう!)


それまで六本だったはずの足が、八本に戻っている。


「えっ…!?なんで?!」


「うん?何かおかしい?」


エリシアが首をかしげると、フィンは呆気に取られながら言った。


「いやだって、戦ってる時は二本失ってなかった?」


エリシアは、なんとも不思議そうに微笑んだ。


「あら、アラクネの再生力を知らないのね。まぁ、特に驚く事でもないわ。」


「そう…なのか…。」


フィンは口を開けたまま、エリシアの言葉に納得がいかない様子だったが、すぐに気を取り直して彼女を見つめた。


「大丈夫…なんだよな?」


「えぇ、私は大丈夫よ。ありがとね。」


エリシアは優しく微笑んだ。フィンは少しの間その笑顔を見つめ、ふと自分の背中に手を当てた。傷の痛みは完全に消えている。


「あれ…俺の傷!?治ってる…。」


「そうね、ある程度は大丈夫みたいね。」


フィンは、気を失う直前にエリシアが治療をしてくれた事を思い出した。


「ああ、そうか…エリシア、ありがとうな。」


「どういたしまして。」


フィンが感謝の言葉を述べると、エリシアは軽く笑った。フィンはその笑顔に心を温かくされながらも、気づいたことが一つあった。


「って、エリシア、何食べてるの?」


エリシアは手に持っている肉の塊を見せる。


「お肉だけれど?」


「それ、生じゃぁ…。」


フィンは目を見開いて、エリシアが持っている肉を指差した。エリシアは無邪気な顔で首をかしげる。


「え?何か変なのかしら?」


「いやいや、普通焼くもんだろ!生の肉なんて…」


フィンは顔をしかめて、やや驚きながらも言った。その反応にエリシアは少し不安そうに眉をひそめた。


「ほかに何かあるの?」


フィンはしばらく考えてから、ぱっと思いついた。


「よし!お礼ってわけでもないけど、俺がもっと美味しくしてあげるから、ちょっと待ってて!」


そう言って立ち上がると、フィンはあっという間に外に出て、手際よく準備を始めた。エリシアはその様子を、少し驚いた顔で見守っている。


(何してるんだろ、人間のすることは面白いわね)


「こう見えても俺、料理は得意なんだ!」


(料・・・理?)

疑問を感じた表情でその言葉を繰り返す。


フィンは軽く手を振ってから、火の魔法を使って小さな焚火を起こした。薪に火を灯すと、その上で肉を焼き始める。しばらくすると、香ばしい匂いが森の中に漂い始めた。


「おお…これだよ!これ!」


フィンは鼻をひくひくさせながら、嬉しそうに焼き上がる肉を見つめる。


「ふふ、すごいわね。」


焼けた肉を切り分け、フィンはエリシアに手渡す。彼女は慎重に一口、肉を頬張った。


「美味しい…!」


「本当?よかった。」


フィンは心から嬉しそうに笑顔を浮かべた。エリシアは満足そうにうなずく。


「うん!これなら生のままでいいかもしれないわね!」

フフフと意味ありげに笑う。


「そりゃないよ、エリシアァ」


フィンは冗談交じりにツッコみ、エリシアは可愛らしく笑った。どこかほっとした雰囲気が、二人の間に流れる。


「怪我も回復したし、今日は帰るね。ありがとう、エリシア。」


「ええ、気をつけて帰るのよ。料理美味しかったわ、ありがとね。」


フィンは軽く頷いて立ち上がり、もう一度エリシアに礼を言うと、王都へ向けて歩き始めた。エリシアはその背中を見送った。


それから数日間、フィンは再びエリシアの家を訪れることはなかった。

彼が来ないことを、エリシアは少し寂しく感じながらも、心のどこかで彼がまた来ることを期待していた。

自分で、肉料理を作っては見る物の、全然美味しくならなかった。


「次はいつ来るのかしら…またあの、料理?したお肉たべたいわね」


少しだけ期待を抱きながら、エリシアは静かな日々を過ごしていた。



エリシアちゃんがぁぁ!


お肉美味しそうでよかったね!

毎日食べたいね!


次回!どうなるんだー!?(もう引っ張んじゃねーよ、おい、早よ!)こうご期待!


拙い部分も多かったと思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございました!

続きの執筆も頑張っていますので、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

感想や意見をいただけるととても励みになります!


(例:フィン君かっこいい!面白かった!や、2作目ならこんなもんやろ、面白くなかった、ベタすぎ等)


「何を書けばいいかわからない…」という方は、上の例を参考に、そのまま書いていただいても大歓迎です!

もちろん、どんな感想でも構いません!良いことも悪いことも、どんどん書いてくださいね。

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