プロローグ~第3章:弓の先に見据えるもの
2作目書き始めました!楽しく書いてるので、最後まで付き合ってくれると嬉しいです!皆にも楽しんでもらえるといいなと思っています!よろしくお願いします!
プロローグ
フィン・クロウリーは、村の監視塔の窓から広がる風景をぼんやりと見つめていた。眼下に広がる静かな村の風景、遠くに見える森の木々、時折通り過ぎる馬車の音。しかし、その静けさの中で、彼の心はどこか落ち着かなかった。
「また、今日もだ。」フィンは呟き、手に持った弓を弄りながら視線を村の入り口に向けた。数日おきに、異種族の女性たちが村に護衛の仕事で訪れることがあった。最初に見かけたのは、黒髪のエルフ。高身長で、妖精のように優雅な動きで村を歩くその姿は、フィンの目を釘付けにした。
次に訪れたのは、肌が青白いサキュバス。妖艶な美しさと、どこか放つ神秘的な魅力が、フィンの心を捉えて離さなかった。彼女が村の広場を歩いているとき、フィンは監視塔からじっとその後ろ姿を追い続けた。
そして、つい最近村に現れたのは、白い羽を持つ天使のような女性。顔立ちは整い、柔らかい笑顔を浮かべながら村の道を歩いていた。天使の羽が舞い上がるたびに、フィンの心も軽くなるような錯覚を覚えた。
「もっと、近くで見てみたいな…」
フィンはついに、思わず口に出して呟いてしまった。異種族の女性たちと会うことが、日々の退屈な監視の仕事に対する唯一の楽しみとなっていた。どれも美しい女性たちであり、その存在が彼を強く惹きつけてやまない。
だが、彼はそれ以上のことはしなかった。仕事上の立場もあるし、彼は村の守り役。監視塔の任務は大事だとわかっている。しかし、毎回その女性たちが去るたびに、何とも言えない空虚感が胸に広がるのだ。
「このままでいいのか…?」
ある晩、またそのサキュバスが村に立ち寄り、街道を歩く姿を見たとき、フィンは心の中で強く思った。こんな平凡で退屈な日々に、いつまでも縛られていていいのか?美しい彼女たちに触れることなく、ただ遠くから見つめているだけでは、満たされない。このままでは、何も変わらない。
そのとき、ふと閃いた。
「王都に行こう。」
王都には、きっともっと多くの異種族の女性たちがいるだろう。そこでなら、新しい世界が待っているはずだ。そこでなら、彼の探している「何か」が見つかるかもしれない。どこに行っても美しい異種族の女性たちと出会い、もっと近くで触れ合えるはずだ。きっと、王都にはそれができるチャンスがある。
フィンはその瞬間、決心を固めた。監視塔での仕事を終え、準備を整えたら、王都へと向かおう。冒険者としての新しい人生が始まるのだ。
「俺の冒険は、ここからだ。」
その思いを胸に、フィンは静かに酒場のテーブルから立ち上がった。心の中で湧き上がる期待感と、少しの不安。それでも、もう一度見送るべきは、美しい異種族の女性たちではなく、冒険の世界だということを確信した。
彼の目は、村の監視塔の窓に一瞬だけ戻った。静かに立っていたその場所が、もう一度足を踏み入れることのない未来に変わりつつあることを感じながら。まるで、毎日見ていた景色が、ひとつの区切りを迎えようとしているかのように。
村の景色は、やがて新しい道を歩み始める自分の足元に消えていく。それをしっかりと見届けるように、フィンは一歩踏み出した。
「今まで、ありがとう。」
その言葉を胸に、フィンは静かに故郷を後にした。故郷を背にして歩き出す足音は、もう迷うことなく王都へと続いていく。どんな世界が待っているのか、それを知るために。美しい異種族の女性たちと出会い、もっと近くで触れ合うために。
第1章:新たな世界の扉
遠くに広がる大森林は、王国にとってただの森ではない。人々はその森を畏れ、尊び、そして大切にしてきた。木々の間には古からの魔物や神聖な存在が眠っており、森自体がひとつの生き物のように脈打っていると言われている。村の人々は、常にその静寂の中で暮らし、訪れる者は一歩足を踏み入れるたびに、誰もがその空気に圧倒されるのを感じるだろう。
大森林の深奥に広がるその静けさは、他のどんな場所とも違う。木々の間をわずかな風が通り抜けると、葉が震え、森全体がひとつの呼吸をしているかのように感じられる。その緑の海の中には、時折、異形の影がうごめくこともあるという。それが人間の目に映ることは滅多にないが、深く森に住む者たちにはその存在を知っている者も少なくない。大森林は、自然の秩序が保たれる神聖な場所であり、そこに住まう者たちの守護者として、どんな脅威からも森を守っている。
村人たちの間には、古くから語り継がれた話がある。その話の中で、森の深い場所に住む者が、時折村を守るために現れると言われている。誰もその存在を見たことはなく、その姿を語る者もいない。だが、全ての村人はその者が存在していることを疑うことなく信じている。
その者は、神様のような存在であり、伝説の中で語られる「守護者」だと言われている。その名は知られていない。村人たちはその者をただ「守護神」と呼ぶことが多い。森の奥深くからひっそりと現れ、村を外敵から守る役目を果たしているらしいのだが、姿を見た者は誰もいないため、実際にどんな姿をしているのかは誰も知らない。何度も村の周りを徘徊し、気配を感じる者はいるが、それが本当に守護者であるかどうかも分からない。ただ、村に災難が降りかかるようなことがあれば、その存在が無意識のうちに守ってくれるのだと、村人たちは信じて疑わない。
そして、森の奥から何かが出てくる気配を感じた者は恐れ、すぐに避ける。それが守護者であったとしても、その姿を見たら恐怖を感じるに違いないからだ。村人たちはそれを「神聖な力」として尊重し、決してその領域に踏み込むことはない。もし、村のどこかで異変が起きれば、その者が現れると信じているのだ。
その者がどこに住んでいるのか、何者であるのか、誰も確かめた者はない。しかし、村を守ってくれていることに、村人たちは感謝している。彼らにとってその存在は、ただの伝説や神話の一部に過ぎないが、それでも間違いなく村にとって重要な役割を果たしていると信じているのだ。
王都に向かう決意を胸に、フィンは村を出発した。村の人々に別れを告げることなく、静かに旅立つ決心を固めていた。王都には、きっと新しい世界が広がっているだろう。あの女性たちにもう一度出会うために、もっと近くで触れ合うために。その思いが彼を突き動かしていた。
数日後、王都に到着したフィンは、その賑やかな街並みに圧倒されながらも、目の前の新しい世界に心を躍らせていた。王都の中を歩いていると、数えきれないほどの人々が行き交い、あらゆる商売が営まれている。異種族の者たちも普通に歩いており、その美しい姿にフィンは心を奪われた。彼の目は、ひときわ美しいエルフや、妖艶なサキュバスにすぐに引き寄せられた。
王都の中央にある冒険者ギルドへ向かい、フィンはその重い扉を開けた。中は賑やかで、さまざまな冒険者が集まっている様子だった。掲示板にはさまざまな依頼が掲示されている。フィンはしばらくその掲示板を見つめ、ここで何かを見つけることができるのではないかという期待に胸を膨らませた。
ギルドのカウンターに近づき、ひとりの女性がにこやかな笑顔で彼に声をかけた。
「冒険者登録を希望ですか?」
フィンは頷きながら、新たな生活を始める決意を固めていた。これから何が待っているのかはわからない。しかし、ひとつだけ確かなことは、彼がここで新たな冒険を始めるということだった。
「はい、お願いします。」
その言葉と共に、フィンは新たな世界へと一歩を踏み出した。
第2章:王都の街での失敗と挑戦
王都の街並みは、思っていたよりもずっと活気に満ちていた。フィンはその雑踏の中で、目を輝かせながら異種族の姿を探していた。王都では、異種族と人間が共存しているため、普段村で見かけることのない美しいエルフや妖艶なサキュバス、さらには他の異種族の姿を見かけることができる。
その中でフィンの目に飛び込んできたのは、一人のエルフの女性だった。長い金色の髪が風に揺れ、優雅に歩くその姿は、まさにフィンがずっと夢見ていたものだった。胸が高鳴り、無意識のうちに足がその女性の方へと向かっていく。
「おお、ついに出会えたか、運命のエルフ!これはきっと俺に微笑んでくれる予感…!」
フィンは心の中でそうつぶやきながら、少しヒーローのように胸を張って、女性に声をかける。
「やあ、美しいお姉さん!この街で一番素敵なエルフに出会えた気がする。僕の名前はフィン・クロウリー。君の目に、僕はどう映るかな?」
フィンはちょっとしたポーズをとり、まるで映画のワンシーンのように目をキラリと光らせて女性を見つめた。しかし、エルフの女性はフィンの言葉をしばらく無言で聞いていた後、冷ややかな目で彼を見返す。
「ごめんなさい!!私、ナンパな男の人、大っっ嫌いなの!」
その言葉に、フィンは顔が真っ赤になる暇もなく、あっという間に撃沈した。女性はフィンを無視して、さっさとその場を立ち去った。フィンはしばらくその背中を見つめながら、ぼーっとしていた。
「う…ううぅ…やっぱり…失敗か…?」
しばらく呆然としていたが、すぐに気を取り直し、肩をぐるぐる回しながら自分に言い聞かせる。
「まあ、こんなこともある!これが人生だ!次、次!」
その後、フィンは気を取り直し、王都での宿泊先を決めるために宿屋へ向かった。村で働いて貯めた貯金を使って、今夜の宿代を支払うと、少し落ち込んだ気分を引きずりながらも、部屋に入って荷物を置く。
「こんなに早く振られるなんて…まあ、気にしても仕方ないか。」
深くため息をつきながらも、すぐに気を取り直してギルドへ向かうことにした。異種族の女性と出会う機会を求めて、再び街中を歩く。
「今日はクエストを受けに行くか。」
ギルドに到着したフィンは、掲示板に掲示されたクエストの内容を見たが、異種族が募集しているパーティは見当たらない。何度も掲示板を見て回るが、どうしても異種族が関わるクエストやパーティの募集はないようだった。
(こんなに多くの冒険者がいるのに、異種族のパーティはないのか…?)
フィンは心の中でつぶやきながら、肩を落として少しがっかりした気分で、受付に向かうことにした。受付の前には、清潔感のある人間の女性が立っており、明るい笑顔でフィンを迎えた。
「こんにちは、いらっしゃいませ。クエストを受けたいということですね?」
フィンはその女性の美しさに思わず目を奪われたが、心の中でこう思った。
(きれいな女性なんだけど、やっぱり人間なんだよなぁ。)
その思いを胸に秘めつつ、フィンは少し肩を落として答える。
「はい、そうです。異種族が関わるクエストやパーティを探しているんですけど…」
受付のお姉さんは少し考えた後、申し訳なさそうに首を振った。
「残念ながら、異種族が募集しているパーティは今のところありませんね。」
「そうですか…。」
フィンは再び肩を落として、少し落胆した表情を見せるが、それでも無理に笑顔を作り、受付のお姉さんに向かって言った。
「じゃあ、このクエストを受けます。」
受付のお姉さんが依頼内容を伝えると、フィンはそれを受けることに決めた。そして、異種族の女性との出会いがないまま、クエストに向かうために一人でギルドを後にした。
「まあ、まだまだこれからだ!」
フィンはクエストに向かいながら、少し自分を励ましつつ歩き出した。次の冒険が、少しでも彼を楽しませてくれることを期待しながら。
第3章:弓の先に見据えるもの
フィンはギルドから受けたクエストを手に、決意を新たにして街を歩いていた。今日の依頼は「キラーラビット6匹の討伐」。フィンにとっては、フィンは、村の監視塔で働いていたが、村での狩猟経験もあるためそのスキルがいきる仕事だ。村で弓矢を使って狩りをしていた時の経験が活き、弓の使い方にはそれなりに自信があった。特に狩猟のために鍛えた弓術は、彼の生活の中で重要なスキルの一つだ。弓の扱いは、ただの趣味ではなく、日々の生計を支えるための大事な技術であった。
「キラーラビットか…。それなら、俺でも何とかなるはずだな。」
フィンは街を抜けて、森へと向かう。彼の目の前に広がるのは、先日彼が触れたことのある大森林とはまた違う、比較的小さな森だ。キラーラビットは、特にこの地域でよく見かけられる魔物で、通常は人間に対しては危険ではない。しかし、群れを成して活動している時には、注意が必要だ。群れが一度興奮すると、その凶暴さは予想以上に恐ろしい。
フィンは慎重に森の中を進み、まずは安全な距離を保ちながらキラーラビットの足音を探る。彼は立ち止まり、耳を澄ました。動物の気配に敏感なフィンにとって、こうした静かな時間が心地よく感じられる。彼は森の中で何度も矢を放ちながら、進む先に気配を感じる。
「……今だ。」
矢を放った瞬間、ピタリと音もなく空気を切り裂き、キラーラビットの一匹が矢に貫かれて倒れる。その一撃で確実に仕留めることができた。フィンは満足げに少し頷き、次のターゲットを探し始めた。
しかし、すぐに群れの他のキラーラビットが気配を感じ取り、警戒し始めた。それでもフィンは動じることなく、次々と矢を放つ。今回のクエストで彼は特に、短時間で確実に仕留めることを意識していた。弓矢を使う技術は年々進化し、弦を引く腕の力加減や矢の速度も、しっかりと体に染み込んでいる。
次々とキラーラビットが矢に倒れ、あと残り二匹となった。フィンは少し息を整えながら、最後の戦いに向けて気を引き締めた。群れを全滅させることに、意外と達成感を感じていたが、それでも油断は禁物だ。最後の二匹は、今度は警戒して逃げるように動き回る。
「最後の一発……。」
フィンは両足を肩幅に開き、全身を使って矢を放つ。矢が空を飛び、最後のキラーラビットが崩れ落ちる。フィンは深呼吸をして、すべてが終了したことを確認した。
「これで、全部倒したな。」
彼は倒れたキラーラビットたちを見渡し、少し汗をぬぐうと、そのままギルドへ戻ることにした。クエストを終えた後は、必ずギルドに報告をして報酬を受け取らなくてはならないからだ。
王都に戻り、ギルドへ向かう途中でふと思い出したことがある。フィンの目には、未だに美しい異種族の女性たちが頭から離れない。前回の失敗にめげず、またいつか彼らと接するチャンスを得ることができるだろうかと考えていた。
ギルドに戻ると、受付の女性がフィンを迎えてくれた。
「お疲れ様でした、フィンさん。キラーラビットの討伐、無事に終わったんですね?」
フィンはにっこりと笑いながら、報告をする。
「はい、無事に終わりましたよ。全滅させました。」
「さすがですね。報酬は、こちらになります。」
ギルドの女性が渡してくれた金貨を受け取り、フィンは頭を下げる。
「ありがとうございます。これでまた少し余裕ができたかな。」
その後、フィンは報酬を手に、王都の安宿へと向かう。ギルドの帰り道で、またしても異種族の女性を探して目を凝らしていたが、今回は特に目新しい出会いはなかった。
宿に戻ると、もう日も暮れかかっており、フィンは少し疲れた体を休めるため、部屋に入った。今日もまた、異種族の女性たちとの出会いを夢見て眠りにつく。
「明日こそ、もっと素敵な出会いがあるといいな。」
そう呟きながら、フィンは目を閉じた。
拙い部分も多かったと思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございました!
続きの執筆も頑張っていますので、ぜひ応援していただけると嬉しいです。
感想や意見をいただけるととても励みになります!
(例:フィン君かっこいい!面白かった!や、2作目ならこんなもんやろ、面白くなかった、ベタすぎ等)
「何を書けばいいかわからない…」という方は、上の例を参考に、そのまま書いていただいても大歓迎です!
もちろん、どんな感想でも構いません!良いことも悪いことも、どんどん書いてくださいね。