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プロローグ

気分転換に短編をと年末から書き始めたのですが、長くなりすぎて連載になりました二十話程度で収めるつもりです。

プロローグを含めた五話を初日に連続投稿します

(本日18:10から一時間おきに投稿します)

それ以降は一日置きを予定していますが評価次第で前倒しで投稿するかもしれません

アサーバリア大陸

この大陸には人や魔人を含め様々な種と国が有る、そして魔法が廃りつつ在った

その理由は『聖異物』と呼ばれるこの世界の文明を遥かに上回る物の存在のためだ

聖異物は軍事技術を発展させ派生として文明レベルさえ変えていった

しかし国が産まれては死ぬ幾度となくそれを繰り返す程に世界を左右する聖異物をいつしか国々が管理し始めるのは想像に容易い、興亡を繰り返し大きな犠牲を払いアサーバリア大陸が両手の指で数える程度の国の数で収まったのが約百年前のことである、そんな大陸における数少ない安定した国家ペダリア王国のミルドア領で事件が起こっていた


◆◇◆◇◆◇◆◇


「マーフィード家もこれで終わりですな」

白昼堂々と次々とマーフィード家の質実剛健を現したかのような邸宅に入っていく大勢の兵士を向かいの通りから眺め呟く初老の男と声には出さないが満足といった顔の貴族が一人、それとは正反対に聴衆たちは嘆いていた


「どうして…優しいお方だったのに」

「そうだ何年も続く不作が悪いだけで領主様のせいじゃねぇ、それなのに国は戦の準備ばかりこんなの馬鹿げてる」

「馬鹿!滅多なこと口に出すんじゃねえ、何処で国の連中が見てるか分かんねぇんだぞ」

正確には国は情報を元に踏み込んだだけであり悪どいわけではないのだが国民…この場合ミルドア領の領民にとって見れば善政を敷く領主様をしょっぴく悪どいお上という構図でしかないある意味間違っても居なかった、しかし大局を見れる人間からすれば問題はこのマーフィード家に限らずこの様な形で取り潰される貴族家がここ数年で急増し国中で不満が高まり燻っている事だった

その上隣国との関係も悪化、巷では戦の噂まで噴出


ペダリア王国は建国から九十年、苦難がなかったわけではないが堅実に育まれ順調に発展を遂げて来たはずだったそれが二十年前から少しずつ綻び始め今では王を持ってしてもその流れを変えられぬ状態に落ち大局が見れぬ者達でも明るい未来を容易く描けない世と化していた

「お願いします!どうかひと目お目通りを」

「ならん!」

一人の青年が叫び兵と揉めそれに乗じて聴衆たちまでもが騒ぎ始める、ほくそ笑んでいた貴族の男もその様子に気を引かれた

「あの小僧は確か…」

「ここミルドア領の商人でしたな」

補足するように老人が呟く

「そうであったな、名はなんと申したか~リ…リ、リ」

「ロバート・メンシングでございます」

「そうか惜しかった」

「はい、惜しゅうございました」

覚えていなかったとは認めない貴族であったが老人も気に留めない、おそらく似たような事が多々あるのだろう

「ウェネルヒアお嬢様!」

貴族の馬車ではなく囚人用の見窄らしい馬車に乗せられた令嬢を見つけ出した

令嬢に向かって走り出そうとしてロバートは兵士に取り押さえられるが尚も抵抗する

「ロイ!」

「お嬢様!一体何ごとです」

「私にも詳しいことは判らないわ、でも安心してマーフィード家は何も恥じるようなことはしてない清廉潔白ですもの、それとナイラも無事よ」

彼の存在に気づいた令嬢はへっちゃらよと気丈に振る舞って見せ、隣に座るメイドのナイラも急かされて顔を見せる

「なにかの手違いに決まってます必ず助け出してみせます」

「兄さん言葉に気をつけて!」

ナイラは兄を叱責する、この状況で助け出すなどという言葉は王家への反逆と捕らえられても仕方がないのだロバートの言葉に兵士たちも顔色が変わったのに気付いた令嬢は更に

「いいえそれは無理ね、私達は裁判で自分の力でこの茶番を終わらせてみせるもの、大人しくすっ込んでなさい」

そう続けてみせ、兵士たちは気まずそうにしながらもロバートをつまみ出すだけで収まった


「あの令嬢も可哀想に、家が続けば貴慮も器量も良しの婦人に成れたろうに」

「左様で」

これっぽっちも思ってもいないが口からはさらさらとそんな言葉が出てくるのが今のこの国の貴族をよく現していた、つまみ出された青年と一瞬目が合ったような気もしたがたかが商人の小僧一人どうということはない、貴族は連れ出されるマーフィード家のパレード(連行)に再び目を戻したのだった


◆◇◆◇◆◇◆◇


やっぱり居やがった頬に大きな傷デディロン本人だ

目が合ったという貴族デディロンの感は正しかったロバートは令嬢のウェネルヒアに会いに行くのは表向きの事情、本当はデディロン家の人間が来ているかどうかを確認したかった、まさか当主本人が居るとまでは想像出来なかったが

デディロン家はこのペダリア王国に置いては新興貴族、歴史も浅く表面上は良くて中堅だがロバートはそうは考えず、少なくとも王国の現状を作った内の一人…考えていた

そう考えるに至った切っ掛けも些細な違和感、本格的に疑い始めたのもここ数年で今は後手に回っているのが実情、もっと早くから目をつけていればお嬢様にこんな恥をかかせはしなかった

今はまだ裁判前、証拠を持ってさえ行ければ覆せるだが覆すだけじゃ物足りない

俺達家族を救いここまで取り立ててくれたマーフィード家に泥を塗った連中を俺は許さない、眼には眼を歯には歯を親父も良く言っていた言葉だ容赦するつもりはない今まで見つけた聖異物全部使ってでもぶっ潰してやる


ロバートはこみ上げる怒りとともにまだ子供だった頃、初めてウェネルヒアと出会った頃を思い返していた

ブクマや評価をしていただけると作者が大変喜びます!続きを書く活力になりますので


『ページの下にある☆マークでの評価』


よろしくお願いします!

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