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あんた匠やぁーーー

木の匂いとちょっとカビ臭い匂いがいい感じに古さを強調しているその場所は本来立ち入り禁止になっている場所


正面から入れなくなっており、あの典型的な俺俺体質の短髪君に言われた通り来た川村はグルグル旧校舎を回っていた


『クッソ、これどっから入るんだよ!入り方くらい先に教えとけよな』


めんどくさいし、もう帰ろうかな…歩き疲れた川村は正面玄関の階段に座って取りあえず人が来るのを待つ事にした


すると数分後


『あっれ〜?お兄さん何してるの〜?』


『は!み、見たな!俺が一人で砂崩ししている所を!』


ヒマすぎたので近くにあった木の枝を使って遊んでいたのだが盛り上がってきた所で子供に見られた


どこが盛り上がりどころかって?


ちょっと木の棒の先が見えてきて後ミリ単位ずれれば崩れるよ!ってところだ。納得してくれ


『なんだよ。ガキかぁ〜ガキはさっさとお家に帰れ。』


『私ガキじゃないもん!高校二年生だもん!』


『はいはい、小学校2年生は子供っていうんだよー』


……


………


…………


『へ?高2?』


『うん、高2だよ。もしかして新入生ですか〜?虐めの相談に来たのかな?かな?』


こ、これが高2!!!!!????


明らかに幼稚園出たばっかりのクソガキじゃねーか!


『あ、先輩でしたか。あの俺は相談に来たんじゃ…』


『そうかそうか〜☆相談か〜最近忙しいな♪嬉しいな♪さ、こっちこっち☆』


『あ、いや、だから俺は……』


腕を掴まれグイグイ引っ張られる


この人も委員会の人なのかな?この感じだと相当変わり者しかいないな


引っ張られて付いた場所は裏庭に出る為の出口


『鍵がなきゃ入れないからね〜困ってたでしょ?』


鍵なきゃ入れねーのかよ!


あの短髪野郎それで俺に来いって言って時間に間に合わなかったらどうするつもりだったんだよ!


絶対あの銃で俺を殺すつもりだったな…絶対そうだね!そうとしか考えられん!


ガチャガチャカチャン


『空いた〜♪空いた〜♪』


鍵が開いただけでピョンピョン跳ねながら嬉しそうに歌っているこの先輩


……超ウゼー


子供の嫌いな川村はうるさい子供を見るとローキックしたくなるくらい大っ嫌いなのだ


ついこの間も雨の日に傘をさしながら自転車を運転していると前方からじゃれながら歩く小学生が向かってきて案の定横をすり抜けようとしたときに飛び出してきて思いっきり引いてしまい3メートルくらい吹き飛ばしたのだが『大丈夫?』も何も言わずに学校へと向かった


川村はそれくらい子供は嫌いなのだ(ていうか人間失格だこの主人公)


『ほい!ここだよ☆』


そんな風に後ろでイライラしながら歩いていると音楽室に着いた


『へぇ〜ここがそうなん……ええええええええ!!!!!なんかここだけ新築みたいにピッカピカじゃん!デザイナーズマンション的な感じになってるし!』


『さぁさぁはいって〜☆』


この分だと中もメチャクチャいい感じなんだろうな。た、楽しみだ!


川村は将来デザイナーになりたいというくらいにオシャレな場所や服などが好きで目に入ってしまうとすぐにときめいてしまうのだ


先輩が先に入り『お〜す☆』と先に来ている人達に挨拶していく


『すいませんお邪魔しまーす』


続けて入った川村は教室の中を見て驚愕した


うわ〜生徒会室とかにある長机にパイプの椅子それに画鋲が刺しやすいゴムっぽい緑の壁にでっかい黒板これって……


ふっつうじゃーん………


なんで表あんなにかっこ良くて中普通なんだよ!


『お、来たな』


一番窓側の偉そうな席に短髪君がこれまた偉そうに座っていた


『どうだ。表と中のギャップにビックリしただろう。』


『いやいや!狙ってたのこれ!?どうせなら表じゃなくて中をかっこ良くして驚かせろよ!それだったらテンション上がるのにこれじゃ盛り下がるわ!』


思いの丈をすべてぶつけた


『あ?文句あんの?』


明らかにさっき見た銃を懐から出そうとする短髪君


横でチビ丸(さっきの先輩のあだ名)は『どうどう』と落ち着かせようとしている


『ええええ……そこでマジ切れしちゃうんだぁ……そうなんだぁ……』


余の傍若無人な短髪君に驚きを隠せない


『ふん、まぁいい。取りあえずこれにサインしてくれ』


『あ、この子新しい仲間なんだ〜☆』


なんかわけの分からない書類がどさっと出てきた


ていうかお前にこの子とか言われてくねぇ!


『これ全部書くのか!?てか普通1枚とかだろ』


『あ?』


『いや、何でもないです。ペンはどこかなぁ〜……』


反論するのはもうやめよう


そう覚悟して鞄から筆箱を取り出す


『えっとこれが入会の書類か、っとこれが生命保険、でこれが財産委託状、でこれが………ってやっぱり一枚だけじゃないかぁーーー!!!それ以外全部金がらみだし!お前俺をどうする気だよ!』


泣きながら猛抗議する川村


『っち』

『っち』


えええええええ!短髪君だけが舌打ちするならともかくチビ丸まで舌打ちしたぁ………


『冗談だ冗談。それだけ書けばいい。……あーあこれで内装いじれると思ったのになぁ』


『うおおおおい!心の言葉が外に出ちゃってる出ちゃってる!俺こんな序盤で傷ついちゃうよ!?いいの!?めっちゃめんどくさい事になるよ!?』


『そしたら消す』


言ったのはチビ丸


『消すなぁぁーーそして、お前が言うなチビ丸!!』


叫びすぎた川村の喉は人生でここまで枯れた事ある?ってくらいになっていた


『なに騒いでるんですか?』


不意に背後から声がして振り向くと先ほどの綺麗な女性がいた


『おう、利香。新しい仲間だ』


『へぇ、本当に来たんだ。川中利香よ。よろしくね』


さっきはあまりの事態で気に留めてなかったが、ただ綺麗なだけじゃない俺の好みのクールビューティーだ


『どうも。新しく入ります川村です。貴方に会えて僕はなんて光栄なんだ。僕は君に会う為に生まれてきたのかもしれない』


そういってそっと手を取り甲に口づけをする


『あら、嬉しいわ。』


『おい、なんだその態度の変わり様は』


『私の時はあんなことしなかったです〜〜!』


お前らなど知った事ではないわ!今俺は恋をしてるんだからな!


いやしかし印象は良くしないとな


『先輩にもさっきしたじゃないですかぁ〜もうやだなぁー』


そういいながらチビ丸に高い高いする


『キャハハハ。降ろしてよ〜♪』


『ほーら高い高い〜』


『あ、おいやめておけ!』


ん?短髪のヤツ俺が人気者になるのを恐れてるな


へっへっへ、でももう遅い。人の心を掴むのは得意中の得意のこの俺にかかればすぐに皆俺の虜さ☆


『おーい降ろせッて♪』


そんな事を思っていると上から低い声が聞こえてきた


『あれ高いの怖いのかなぁ?言葉遣いが男っぽくなってるぞ〜』


気のせい気のせいさっきまであんなに子供っぽかったじゃないか


『降ろせッていってんだろうがぁぁぁーーー!!』


『ひええええええええええ!!!!』


全然気のせいじゃないーーー!!めっちゃドスの利いた声してるぅぅぅぅぅ。


『あーあ、だからやめろッて言っただろ…凛ちゃんは子供扱いされると人格が変わるんだよ』


それ先に言ってくれよ……


そっとチビ丸改め凛さんを下に降ろす


『てめぇ、2度と子供扱いするんじゃねーぞ。次は血の雨降らすからな』


『は、はい……調子こいてすいませんでした』


もう二度とするもんか!お前なんか無視だ無視!(利香ちゃんは隅っこで読書をし初めている)


心の中でせめてもの反論をしていると短髪君が引き出しから煎餅を取り出した


おいおい、俺がこんなときになんてヤツだ


『凛ちゃん煎餅でもどうですか?』


あ、あげるのか


『あぁ頂くかな』


バリバリバリバリバリバリ


豪快に食べだした凛さん姿は親父が煎餅食べてるときと同じだ……


バリバリバリバリバキュバキュモキュモキュ


ん?モキュ?


モキュモキュモキュモキュ


えええええ!?


なんか音がモキュモキュいうてるー……


『よし、これでもう大丈夫だ。見てみろ』


『な、何がですか!?』


そう言いながら凛さんを見てみると……


『ん?どうしたの?川村キュン』



あぁ


なんて事でしょうあの険しかった顔が柔らかな日差しを浴びたかのごとく、にこやかに微笑んでいるではありませんか



『おおおおおお。すげぇぇーーあんた匠やぁー!あんたは匠や!』


話が分からない人はビフォーアフターを見てみよう(もう終わった番組かも)


『あ?なんだ匠って?凛ちゃんは人格が変わった時渋い食べ物を食べると元に戻るんだよ。』


『そ、そうだったのか!なんでそうなのかとか今回は詳しくは聞かない!ただただありがとう!』


※数少ない読者の方も詳しくは聞かないで下さい


『そうだ、俺の自己紹介をしていなかったな。俺の名は周防正人だ。周防と呼んでくれ。この虐め撲滅委員会の委員長だ』


短髪君改め周防が手を差し出してくる。


『あ、あぁ。わかった。何かと納得はいかないけど取りあえずよろしくお願いします』


その手を取りがっちりと握る


この瞬間から俺の学校生活は今まで何ごとも無かった生活から、何かが起こる気しかしない生活に変わったのだった



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