え?まじで?それ…ヤバくね?
今までの俺の学校生活はなに不自由なく平凡にすぎていった
今まで通り今回も同じ
きっと何ごとも無く終わるだろう
適当に友達をつくり
面白くもない話題で笑い
勉強、スポーツをそつなくこなし
周りには愛想よくふりまく
これさえ出来れば大丈夫
俺は嫌われるヤツの気持ちがわからない
小学校で嫌われたなら中学校で直せばいい
中学校で嫌われたなら高校で直せばいいのにヤツらはそれをしない
自分で殻にこもればその殻を突っつくのが人の性なのに突っつかれてもジっと黙っている
ヤツらは人生の大損者
お先真っ暗御愁傷様
可哀想だとは思わないさ
悪いのは原因を作る方なんだから
『おい川村!どこ行くんだよ?』
1年G組の教室
三時間目が終わり教室がざわついている中、自分に話しかけてくる
たしかタナカだったかな?漢字までは分からない、だって興味が無いんだから
『4時間目体育だろ?めんどいからちょっとフけるわ!』
『新入早々かよ!先生には保健室って言っとくぞ』
『ワリーな!放課後なんか奢るからよろしくな!』
とびっきりの造り笑顔でタナカに言うがどうせ分からないだろう
こうやってうまくやってれば周りには嫌われない
なんせバカばっかりだからな
正直レベルの低さに嫌気がさす
今日もあそこで昼まで寝るかな
『よいしょ』
ガコン ガタン
『よし、これで入れるな』
俺が今入ったのは皆が開かずの間と読んでいる教室
ただ単に使ってない教室で鍵がいつも掛かってるからそう呼ばれているだけなのだが
こういったドアは持ち上げて外せば鍵が外れる仕組みになっているから容易に入れるのだ
2つ上の兄貴も同じ学校なので開け方を教えてもらってサボるときにはいつも使っている
ホコリだらけの机を手でほろっておとし窓側に三つ並べて横になる
日差しがちょっと強すぎるな窓も開けるか
ガラガラ
『…もう勘弁して下さい……』
窓を開けた瞬間今まで聞こえなかった声がフッと聞こえてきた
随分干よった声のヤツだな
そう思いながら外を覗く
丁度下は焼却炉のあるところでそこに三人の男がいた
見てすぐ気づいたが明らかに仲間といった感じではない
焼却炉を背にして2人と話しているのが干よった声の持ち主らしい
『あと二年は一緒なんだから仲良くしよーぜ』
『俺ら親友じゃんか。な!』
『うっ。ごほっごほ』
ガタイのいい方が語尾と同時にヒヨリ君(今付けたあだ名)の腹を思いっきり殴る
うわー痛そうだな
こんなガチで虐めてるの初めて見たぜ
現場に居合わせたからには助けてやりてーけどここ学校の端だし授業中で人いないしなぁ
考えている間にもエスカレートしていく
『おら!友達ですって言えよ!』
うずくまっているヒヨリ君をさらに足蹴にするマッスル兄弟(よく見ればどっちもガタイがいいからあだ名は統一だ)
仕方ない、大声を上げればやめるだろうから隠れながら叫んでやる
いくぞーーースゥーー
『誰か!』
『やめろクズ共!!虐め撲滅委員会だ!!』
えええええ!
被ったーー……
誰だよ!主人公のいい場面取りやがったの!
隠れていた体を乗り出し下を見る
『ああ?虐め撲滅委員会?なんだそりゃ?』
マッスル兄弟が振りかえって声のした方に鋭い視線を向けている
主人公こと川村もそちらに目を向ける
そこには一見普通の男子生徒が立っていた
顔は中の中、身長は170くらいだろうか髪は短髪で黒、どこにでもいる男子だ
『お前らに粛正を開始する』
川村がデータを収集し終わったと同時にそう言い何かを握っている手をマッスル兄弟に向ける
ん?
なに持ってるんだアイツ?
川村はポケットに入れている度が0.3の眼鏡をかける
げ!!エアガン持ってんじゃん!
エアガンは人に向けたらダメなんだぞ!!
変なところが細かい川村はほうっておいて話は進行する
『おいおい。そんなんでどうする気だ?』
『エアガンなんてビビんねーぞ!』
いや!お前らエアガンを舐めすぎだ!目に当たったら失明するし改造銃だったら人を殺せるんだぞ!思い直すんだ!
川村の細かい気配りはマッスル兄弟には届いていないようだ
マッスルBが勢い良く短髪君(今付けたあだ名)に向かって走り出した
『おらぁぁぁぁ』
チュンー
短髪君のエアガンから光のような物が出てものすごいスピードでマッスルBをかすめる
『え?』
マッスル兄弟+川村がなに今の?と言う顔になる(ヒヨリ君はお腹を抱えてうずくまっている)
そして、光の行き先を目で追った瞬間
焼却炉が…
爆発し炎上した
マッスル兄弟と川村の心境(川村君は炎を見て『おお』と普通にビックリしている)
えええええ……焼却炉が燃えとる〜……
普通のエアガンじゃないじゃ〜ん
てかエアガンですらないじゃ〜ん
マッスルBが思い切って質問をした
『あの…すいません…それなんですか?』
『ん?これか?』
短髪男がそれをマッスルBに向ける
『ちょ!こっちに向けんでください!』
何弁か分からぬ言葉を発するマッスルB(マッスルAは内股になり呆然としている)
『これはレーザー銃だ。』
そっかそっかレーザー銃か。納得しました!
ってするかぁ!!!!
マッスル兄弟と川村は心の中で叫んだ(ヒヨリ君は『すごい』と普通に驚いている)
『次は当てるぞ』
え?まじで?それ…ヤバくね?
普通に死ぬよ?
マッスルって言ってもそこまで筋肉強くないですよ?
そんな川村の思いをよそに銃を向ける短髪君
『ちょっと待った!!!敵をそんな圧倒的な武器で倒してなにが楽しいんだ!!全クリした状態で初期のボス倒すようなもんだぞ!!』
思わず川村は声をあげてしまった
『お、お前!何者だ!』
銃をこっちに向ける短髪君(マッスル兄弟は腰が砕けたようにその場に女座りしている)
『ば、バカやろう!安易に向けんでください!!』
マッスルBのように何弁か分からぬ言葉を発する
『俺は普通にここで昼寝してただけだよ!むしろお前が誰だ!!!』
『羽村!羽村!部外者がいるぞ!どういう事だ!』
トランシーバーで誰かと話している短髪君
うわー完全にムシだもんなぁ……
『なに!?開かずの間だから見ていなかっただと!?一体どうするんだ!』
何を言っているかは聞こえないがトランシーバーの向こうの方は落ち着いているようだ
『ふむ…ふむ…なるほどな。了解した』
話がついたようだ
『取りあえず先にお前らを粛正しよう』
川村を無視して続けるらしい
銃をマッスル兄弟に向け直す
『えええええ!!!すいませんでした!もうしないんで勘弁して下さい!』
マッスル兄弟は日本の謝りの姿勢、土下座をして許しを乞うている
『おい!もう許してやれって!彼らはもう虐めたりしない!』
庇うように川村が言い放つ
『ダメだ。これで粛正するって決めたんだから変更したくない』
子供か!!!!
なにここにきてガキみたいにダダこねてやがるんだ!
『ひ、ヒヨリ君もういいよな?』
この流れは虐められた張本人が許せば万事解決のはず
『ダメですもっとやっちゃって下さい』
えええ!!
思ったよりヒヨリ君の傷は深かったぁ……
『…もういいや……やっちゃって…』
諦めた川村意気消沈して窓の柵にもたれ掛かる
『了解した』
『ちょ!マジ死にますけん!勘弁してくんさい!』
『おいどんも反省してますんで許しておくんなまし!』
もう誰だよお前ら…
『あの世で後悔しな』
そう言って引き金を引いてしまう短髪君
パン!パン!!
ああ…死んでしまったなマッスル兄弟…
と思った同時に
川村は、ん?と思った
さっきと銃の音が違う気が…
マッスル達の生死を確認するため下を見る
すると真っ白になって完全に魂が抜けている様に見えるものの外傷は無いようだ
なぜだ!
短髪君に目を向ける川村
短髪君は満面の笑みで
『なーんちゃって』
と言った
手にはパーティグッズ用の銃の様に先から国旗が出ている
わ、
笑えねぇ……………
『さて粛正は終わった。次はお前の番だ。取りあえず下に降りてこい』
そう、川村に関してはこれで終わりではなかったのださらに笑えない展開が川村を待ち受けていようとはこの時の川村には知る由もなかった…