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プロローグ
花のように生きたい。
大地の上に、岩の合間に、時には湖の底に。
どのような場所でも美しく咲ける強さが欲しい。
花には土が必要だ。
私は考える。土とは何か。
見知らぬ森を孤独に彷徨い続け、今にも力尽きようとする私が、それでも美しく咲くための土とは何か。
一歩、一歩と進む度に身体が重くなる。
やがて限界を迎え、私はその場に倒れた。
受け身も取れずうつ伏せになる。
微かに残った力で顔を上げると歪む視界に何かが映った。
「……花だ」
ほんの少し先。
月明かりに照らされた美しい花。
「……触れたい」
最後の力を振り絞り、いくらか湿った大地を這う。
その間、私はこれまでの出来事を走馬灯のように思い出していた。