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25話 私語

「え〜であるからして〜」


生物の授業。

5限目でみんな丁度集中力が切れて、隣の生徒やらと話している。


生物の先生は年配で、多少の私語を怒るタイプでは無いので、

この時間は内職したり私語したりと結構みんな自由だった。


まぁ僕には話す友達はいないので、考え事に耽る事にする。

どうせ受験科目には入れない予定だし生物は。


にしても、彼女を作ろうって言ってもなぁ。

正直全くアテがないし、出会いもない。


だが、このままだと凛花のストレスは限界に達するかもしれないし、兄離れは必要だろう。


実を言うと昨日の夜、由希奈からLINEでもお誘いがあったが、由希奈とは何と言うかそういう関係になりたくないし、付き合ってるフリをして、「はいもう終わり!」とは何故かならない気がする。


いっそのこと空見の月額サービスを利用してみようか。

数ヶ月だけ利用して凛花の兄離れの援助をしてもらうって。


もしかしたら初回の1月目は割引が効くかもしれない。


「彼女か」


思わず呟やいてしまった。

少々大きめの声だったので授業中だったのを思い出し、

あたりを見渡すと、隣の慶太君と目があった。


「彼女?」


話しかけてきた。

聞かれていたか、恥ずかしいな。


「やっぱお前ら付き合ってんの?」


やっぱ?


「誰のこと?」


「夏希」


夏希、ああ空見の事か。

何故そう見えるのか。


「本当に付き合ってないよ」


慶太君が書道部に入ってきて空見と揉めた事件があった次の日、教室で問い詰められるかと思ったが、慶太君はいつも通りケロっと周りの友達と話していて昨日の事は無かったようだった。


「じゃあ何でまた部活に入った?サッカー部辞めてるしょお前」


それは学校生活が楽しく無いから。

ていうか誰のせいだと・・・・


「気まぐれだよ」


「気まぐれ?はぁ?聞いてた理由と違うんだけど」


聞いてた理由?

何か噂にでもなってるんだろうか。


「凛夜は一緒に住んでる従妹の子に言われてサッカー部辞めたんだもんね」


反対方向から話しかけられる。

僕の反対方向というと、幼馴染である斉藤茜。


「え」


「違うの?そうでしょ?」


「本田がシスコンって本当だんだな」


何だこの追い詰められている感じ。

というか、二人が話しかけてくるとなんか無いと思っていたので変な汗がうっすらでる。


とにかく、ちゃんと返さないと。

僕だけならまだしも、凛花の評判まで落としてしまいかねない。


辞めた理由か。

実は茜が言っている事は事実。

凛花が寂しいって駄々をこねて、それで辞めた。それだけ。


ただ当時は結構揉めたのをぼんやり覚えている。

まぁ自分は推薦をもらえるほど上手く無いし、大切な凛花が辞めてほしいというならしょうがない。


遅くなる事も多かった訳で、その間、家には凛花一人だ。


あれ、でも何で辞める辞めないなんて話になったんだっけ。

当初は凛花も部活を応援してくれていたような。


「シスコンって言われてもしょうがないかもしれないけど大切な家族なんだ」


「やっぱお前きもー」


慶太君に言われる。

良いんだキモくても。放っておいてくれ。


「凛夜は妹さん大好きだもんね。他のものを簡単に捨てられるくらい」


茜に吐き捨てられるように言う。


「え」


思わず茜の方に顔を向けるが、茜は前を向いたままこちらを向いてはくれなかった。

その後、授業は小テストとなり、会話は自然と中断された。

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