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22話 席替え

「じゃあ今日は席替えしちゃおうか」


「「「「おっしゃー」」」


3限目。

担任の英語の授業中に教える範囲が終わったので、急遽席替えを行うとの事。


「はいじゃあクジ引きなー、クジの交換は無しだぞ〜」


「次隣になれると良いねー」


「ねー」


「俺次は絶対窓側の席取るぞ」


「お前に連続で一番前だもんなw」


「おーい、大きい声出しすぎるなよ〜他のクラスから注意きたら中止にするからな〜」


「「「はーい」」」


クラス中にウキウキしたような、浮き足だった空気が立ち込める。

僕も去年まではワクワクしてたっけ。


かわいい子とか仲良い友達と隣になれたら嬉しかった。

今は誰が隣とかは余り考えなくなったけど。


僕と会話してくれる人がそもそも少ないから結局誰が隣でも同じだしね。

自分で考えて悲しくなってきた。


結局あの後、クラスは普段通りになった。

普段通りになったと言う事は誰も僕に対する意識を向けなくなったという事で、なんか一過性な噂でもされてたんだろうか。気に過ぎてもしょうがないが。


「わーやったー!私一番右奥だ」


「マジ?w当たりじゃん」


「俺次こそ茜ちゃんと隣が良いなー」


「えーw雄哉君のとなりうるさそうだしなーw」


「ひどいじゃんw」


女子グループと慶太君たち男子グループがキャッキャしている。

うーん・・・・


誰が隣でも良いとは思ったけど、彼らに囲まれたら凄い気まずそうだな。

なるべく静かに過ごすために遠ざかりたい。


「じゃあ本田ー」


「はい」


クジを引く・・・・隣の席は。


「・・・・・え」



うわ。

僕の座席は、右隣が茜、左隣が慶太君の席に決まった。











「どうしたんだ浮かない顔をして。ま、最近の先輩は、明るい表情の方が珍しいか」


部室に向かう途中の廊下、部室がすぐ見える廊下でばったり由希奈と出会う。

保健室以外で出会う事はまずないので、いつも通りジャージ姿の彼女に思わずギョッとしてしまう。


ここは人通りの少ない廊下のはずだが。

散歩でもしていたんだろうか。


だとしたらレア中のレアイベントだ。


「色々あって疲れてるんだよ」


「はっはっは。それは結構。だがみんな生きている上で色々ある物だ。表にだすか出さないかの違いでしかないな!」


う、こいつグサッと来るような事を。


「そっちこそ、こんな所で何してるんだよ」


「うん。先輩が私に興味を持ってくれるとは。今日はここに来たかいがあったな。会う事ができたし。実は何やかんや理由をつけて、私に会いたくて先輩が掃除に来てくれているのではと、淡い期待をしていたんだ。だから今日も掃除に来てくれるかと期待していたんだが、来てくれなかった。そこで寂しくなって先輩に会いに来た、という事だな」


「そ、それはどうも」


会いに来たって。

由希奈にこんな行動力があるとは思っていなかった。



というか待てよ?


「どうして僕がここにいるってわかったの」


こんな校舎、ふと立ち寄るような所じゃない。


「ははは。この前教えてくれたじゃないか」


教えた事なんかあったっけ?

部活に入った事は伝えたが、部室の場所の話なんかした覚えはない。


「先輩に会いたくて久々に重い腰をあげたんだ。少しは私の想いに応えて欲しい物だ。ああ、実は書道部に入ったのがそういう事なのかもしれないとは、既に考察済みではある。ただこれが杞憂の可能性もあるので、その点はあえて言及しないし、考慮にも入れていないから安心してほしい」


そう言って由希奈は、書道部の部室に入っていった。


え、ええ?


何勝手に入っているんだ。

ここはそんなウェルカムな部活じゃない。

空見の猛獣のオーラを喰らったら由希奈は一たまりもないぞ。


僕と同じような口調で空見に話しかけでもしてみろ。

空見にパクリと丸呑みにされて終わりだろう。


急いで由希奈の後をおって部室に入る。


「夏希ちゃん。今日は来た」


「あん?ああ、身体は大丈夫なの」


え、何だこの雰囲気は。


「今日は大丈夫だ!いつも保健室で充電しているから。たまには放電しないと疲れてしまう。過充電という奴だな」


「居てもやる事ないし、休み時間は人が来てうるさいし、あんな所にいて充電できる物なんてないわよ」


こ、この二人は知り合いだったのか?

空見は僕にするとは違う、柔かな対応をしている。


空見は僕に気がついたようで、目つきが鋭くなり表情が怒りに染まっていった。


何故か左から右に類人猿がどんどん人間になっていく図が思い浮かんだ。


「あ?おどれは何しにきてん」


「え、あ」


そ、そうだ。

僕には部活を辞めると凛花が言った事をどう説明して許してもらうかというタスクがあるんだった。


今朝の事に、席替えと、忙しすぎて完全に忘れていた。


空見の顔が怒り一色という感じで、簡単には許してくれそうにない。

どうした物か。


「なるほど。部活を続けていると言う事で、夏希ちゃんと仲が良いのかと思ったが先輩は嫌われていたんだな!ではやはり、先輩が書道部に入ったのは私目当てだったという可能性が高まったという事か。はは、私としてはそんな遠まりな事を一々してくれなくても良かったが、いじらしさと肯定的に捉えて受け入れる事にしよう!」


・・・へぇ、由希奈は書道部だったんだ。

初めて知ったよ

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