ゆいこのトライアングルレッスン 放課後~いつまでも一緒にいたい雨上がり(ゆいこの視点)~
「下野紘 巽悠衣子の小説家になろうラジオ」の名物企画「ゆいこのトライアングルレッスン」に応募して採用していただきました。
ゆいこの視点のほかにたくみ、ひろしの視点も書きましたのでよかったら、
ゆいこ→たくみ→ひろしの順で読んでいただけたら幸いです。
さらに2年後のストーリーとして、「ゆいこのトライアングルレッスンH~観覧車でタブルサイドハグ?!~」につながります。
「あーこれ、雨来るな。」
教室の窓際にたつたくみは、急に暗くなった空を見上げている。
「残らせちゃって、ごめーん。でもさ、授業だけではわからないことが、ひろしとたくみの解説があると理解できるんだよねー」
「わかったから、よく見てて。」
私の右隣でひろしがノートに書き込みながら、淡々と説明を始めた。
「ゆいこにそう言われちゃ仕方ないなぁ。どこまで進んだ?」
と、たくみが窓際からやってきて、目の前の席に座って頬杖をつく。
その瞬間だった。教室にまぶしい光が走り、ドッシャーンと大きな音。思わず、前にあった腕と右にあった手をつかみながら、悲鳴をあげて下を向く。すると、前頭部と後頭部に軽くポンポンと二人の手のぬくもりを感じた。
「はい、はい。落ち着いて。」
「ゆいこの雷嫌いはいつまでたっても治らないねー。」
「少しだけ…このままでいさせて…」
頭にのせられた二人の手の重み、握った腕と手の体温にほっとする。そしてふと思う、来年の春には卒業をする二人とこのままの関係をいつまで続けられるのだろうか、と。
「こんな急な雷、すぐ終わるよ。雨やんだら、虹見えるんじゃないかなぁ。」
口火を切ったたくみの言葉に、空に浮かぶ虹を思い浮かべると、急に雷の怖さが和らいだ。
「じゃあ、屋上行って、雨上がりを待とう!!」
「ゆいこの切り替えの早さにはいつも驚かせられるよ。」
とひろしが呟きながら、駆け足で階段を上がる私のあとを追いかけてくる。
屋上に着いて、少し待つと空が明るくなって来る。なんとなく見てると、ぼんやりとした7つの色が重なった線が目に入ってきた。
「虹みーつけた!二人とももっと見えるところへ行こう!」
と両手で二人の手をつかみ、引っ張っていく。ひろしとたくみの感触が手にあるなかで、さっき考えていたことの続きがよぎる。この三人の関係はいつまで続くかわからない。でもこの瞬間、三人一緒に虹をみられるなんてステキなことじゃない。どうか、少しでも長く、この関係でいられますようにと虹に願うのだった。
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