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5話 アルドこの世界の生き方を考える


 気が付いたらバカップルの間に生まれていた俺。


 言語は何故か俺の前世からのミューレリア語だった。なんとか生きてはいけるなこれで。


 母―――アルテミナに抱かれながらそう考える俺。ちらっと見えた鏡に写っていた俺の姿は3歳位か?とにかく小さい。


 まずは情報を整理しよう。うん、これ大事だな。


 家族構成は俺と両親の3人。兄弟は多分いない。


 種族は両親を見る限り龍人族。なかでも、好戦的な赤龍の血筋に生まれたようだ。


 「アルドちゃ〜ん、体温が上がってきてるから少〜し風送るね〜」


 魔法によって生み出された風が俺の顔を撫でる。気持ちいい。


 後は、この世界にもスキル、魔法は存在するようだ。システムが似通っているから前の世界とかなり近い世界にいるのかも知れない。


 とは言っても前世ではスキルや魔法は保有している人自体が希少で大概はお伽噺に出てくるものが基本だったから今みたいに日常生活にまで魔法やスキルが浸透しているなんて思っても見なかったけれど。


 そして、今の住居は片田舎の僻地で少し質素な家だ。小さな庭がありそこには小さな林檎の木があり、まだ夏だと言うのに既に実をつけている。


 凄く気になる。食べてみたい。クッ……この幼い身体がすごく憎いっ!


 なんて考えることが出来るくらいには心が落ち着いたけれど俺は急がないといけない。彼女を探し出して告白の返事をする。


 そうでもしないと俺は前世でのけじめがつけられないように思ったから。


 それに彼女はこの新しい命で愛し合える人に出会うかもしれないし、俺が彼女を見つけ出したときには既に結ばれているかもしれない。


 ……その時は素直に祝福しよう。


 まぁ、目標は決まった。まずは彼女を探し出すことだ。


 次は、あのゴミみてぇな駄神をぶん殴る。いくら俺たちが蟻のようでも、あの言葉は許せない。


 最後は、この2つ目の命を全うすること。せっかく生まれ変わったんだ、今度こそ大切なものくらい守りきれるような人生、いや龍人生を送ろう。


 そのためには今は丈夫な体と知識を蓄えないといけない。


 「アルドちゃ〜ん、ご飯だよ〜」


 丁度食事の時間のようなので美味しくたくさん食べなければ!


 「うんうん〜、アルドちゃんもお腹空いてたんだねぇ。今あげるからねぇ〜」


 そう言って出された食事はお粥だった。


 あ、そうか。俺今は三歳児だった。お粥……お粥か……仕方ない、うん、決してお肉を期待してたわけじゃ無いのだ決して。


 いただきますっ!


 《ユニークスキル『吸収(ドレイン)』が発動しました。摂取物からの養分を無駄なく吸収されます》


 「!?」


 な、なんだこの声?吸収?こんな現象前世には無かっ……いや、スキルを持つ人が聞くっていうシステムアナウンスだろうか?


 過去のスキル保有者はみんな揃って「スキルを得たときには何者かの声が聞こえた」と話していたらしい。


 そして、スキルを手に入れた瞬間から自分自身のステータスが見えるようになるらしい。


 「すてぇぁたぁしゅぅ」


 うまく喋れない。三歳児の体舐めてた。でも、ステータスの表示は成功したみたいだ。


 ふむふむ……ん?あれ、鑑定がある。確かこれはお伽噺の英雄の一人の持ってたスキルだ。効果は確か物の本質を見抜くことだったはず。このスキルで英雄様は敵の弱点や正体を見破ることが出来ていたんだな。


 じゃああの林檎を鑑定!


 『豊満の果実』


 え?これだけ?ってぎゃあああっ!頭が割れるっ!痛いぃっ!なんでっ……あ、これは魔力枯渇ってやつかっ!痛ってぇえぇぇぇええっ!


 ………

 ……

 …


 …………はっ!ここは、ベッドの上か?


 どうやら鑑定の反動で気を失っていたようだ。まだ頭はじんじんしている。うん、暫く鑑定は使わないようにしよう。


 でも、ユニークスキルって何だったんだろう?鑑定で気を取られてたけどこの世界なら普通なのか?


 まあ、そういったことは育っていけば教えてくれるだろう。この両親(バカップル)が。


 そんなわけだから今はとにかく成長するために子供(ガキ)らしく食って寝て遊び回っていかないと。幼少期の体力は後に大きな影響を与えるし、多分。


 そうと決まればまずは家を探索だーっ!


           ※


 Side アルテミナ


 ここのところアルドちゃんが凄く活発になってる。それはもう、ちょっと目を離しただけでベッドから脱走して家のあちこちを動き回るものだからベッドに戻すのも一苦労。


 誰に似たんでしょうね?私は多分違う。母さんは私を育てるまでに三人の兄姉を育て上げていて、私のことは大人しかった子だと本人からも聞いている。


 じゃあ、ルイス()?そんなわけが無さそう、ルイスは元は病弱で歩き回ることは出来なかったらしいし……。


 うーん……やっぱり誰に似たのか……。


 あっ、またいない。今度は何処に……ってなんだ、中庭ねそこならルイスも居るし任せてもいいわね。


 「ルイスー!アルドちゃんがそっちに行ったわー!よろしくねー!」


 「任せてくれー!」


 さて、そろそろアルドちゃんも4才。龍人の特性に目覚める時期だから気を張らないとね。上手く制御の仕方を教えるのが一番大変だって母さんもしみじみ言ってたから頑張らないと。


 ……そういえば何時もベッドを抜け出すのにあの子、何故か危ないものとかには近づかないのよね。


 察しているのか、分かっているのか……。


 「まあ、あの子ならきっと強い子に育つよルイス」


 病気にも負けない位には強く育ってね。愛しのアルド。

結城 蓮です。


ゆっくりしてるので定期は期待しないでください。

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