1話 転生したらしい
時は現在戦争の時。
ありとあらゆる国家を魔族を世界を巻き込んだ大戦争。
その中威風堂々たる姿にて佇む者1人。
「さて、始まったな……頼むぜ相棒!」
彼の者はそう笑みを浮かべつつ、その戦火に身を投じた―――
※
なんの面白味もない人生だった。
この死は私にとって確定していたこと、だから覚悟はできていた。
不思議と遠くなる意識に恐怖を覚えることはなかった。
感情は今までの人生でとうに消え去っていた。
昔から体の弱すぎた私は生まれてこの方一度も自分の足で歩いた事すらない。
あったのはただ、暇を紛らわせる大量の書物と薬の投与だけ。
私の死因は一般人から見たらとても可笑しいだろう。
心残りは殆ど無い。あるとすれば―――いや、もう死ぬ身だから関係ない。
この時間は走馬灯らしく、死に直面した人間が生き延びるために見るものだと聞いたことがあるけれど、そんなのは本当に直面しないと分かりようがないって分かった。
なら私はせめてこの人生を諦めていた分、ありもしない来世を願いたい。
―――どうか、来世は人に頼られて、楽しく生きられる命がほしい―――
「…………ぁ…………ぇ…………ぅ…………」
まともな声も出ないや…………ああ、もう意識が保てないな…………………………
こうして私のとても親不孝で白紙同然の人生が幕を下ろした。
※
『―――』
…………う……ん…………。
なにかの音で目が覚めた。
………ここは…………?
なにか、私のいる所の外みたいな所で音が聴こえた。
この音は…………幼い産まれたての人の子?
『―――!』
今度ははっきり聴こえた。間違いない。
でも、疑問が1つある。いや、本当はもっと沢山ありそうだけど。
私…………生きてる?
意識と記憶はある。でもここは記憶にない。
暗く、でも明るい。そして飴細工みたいに壊れそうなまだ不安定な場所。
多分視覚はある。でも、それだけ。
特に何もできないからじっとしていると……
《こんにちは○✕△□さん》
名前を呼ばれた気がする。名前を聞き取れなかったけど多分私に発した言葉だと思う。
《今回、貴方の願望により『転生』を行わせていただきました。意識を手放していた貴方に希望を聞き出す時間が尽きてしまった為ランダムに『転生』を実行しました》
まさか生まれ変わったなんて……じゃあ、この赤ちゃんが私?
《貴方の種族をお伝えします》
謎の声はそう言って何かを表示させました。
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種族 能力
スキルナンバー42658―――『吸収』
効果:あらゆるものに対して自身(この場合所有者を指す)に取り込む。
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ああ(察し)、つまり私らしく人ではないスキルに転生したらしい。
もしかしたら未練の『異世界転生』に関しているからこうなったのかな。
そして吸収の持ち主はこの赤ちゃんと言う事らしい。
そして謎の声によると私を救ったのはこの子でこの子が私を作らなかったら私は消滅していたらしい。
スキルの使命は創造主を助けて存在をかけて守り抜くことらしい。
最後に謎の声は私が赤ちゃんの視覚を通して外界を見れるようにしてからそれきり聞こえなくなった。
私の新しいスキル生が始まったみたい。
結城 蓮です。
3作目です。残りの2つもよろしくおねがいします。
今回はガチ転生です。1から始めていく系にしていこうと思います。
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また次回会いましょう。