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鉄塊チートの異世界ジャーニー  作者: くえお
第二部  鉄の勇者、大陸をゆく
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第76話 教皇即位式


神聖教国ザイオン。その首都オルベリオンは、湖に面した街で、水都と呼ばれる。白い円錐型の8つの塔を持つベリオン大聖堂を中心に、水上に築かれた宗教都市である。


古く、水上にあった神託の祠を目当てに多くの人々が訪れ、祠を護るように壁が作られ、屋根が作られ、装飾が施され、結界のための塔が作られ、現在のような形になった。


まるで、極上の絹糸で作られたレースのような大聖堂の外観は、清涼感と神秘性に富み、多くの女神教徒の信仰心を掻き立ててきた。


今、大聖堂へ向かう聖ガイナウス大通りには、大勢の群衆が押し寄せていた。

広い道の真ん中に、真っ赤な絨毯が敷かれ、その真ん中を一人の老人が進んでいく。


老人の後には、数名の高司祭、その後ろには、十数名の巫女、そしてその後ろに、数百人の司教が続く。


鈴の音と、笛の音が、おごそかに響く。


先頭の老人の頭には、何も載っていない。純白の司祭服の上に、金糸で刺繍された肩に羽織る前掛けのような服カズラを着ている。


続く隊列の各自それぞれ、木の枝や、笛や、お盆や、上戸などを手に持って、老人の後に続く。


一歩歩き、とまり、反対の足を出す。

独特の行進が続く。


群衆は、新たなる教皇の姿を一目見ようと、世界各地から駆けつけた人々。

中にも涙を流す人も少なからずいて、道には人があふれていた。


白い鎧を着た騎士が道に並び、押しかける群衆を留めている。

皆、前に進みたいと思いつつも、神聖な儀式への敬意は忘れず、騎士たちから少し離れて隊列を見守る。


およそ3時間かけて隊列は全員、大聖堂の中へ入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


神聖天使の間と呼ばれる大広間にて、儀式の最後、戴冠の儀が行われていた。


大広間には、神聖教の幹部たちが一堂に集まっている。地方の有力な司祭たちも、今日はこの街にやってきていた。

皆パレードに参加し、この広間に並んでいる。

数百名の司祭や巫女がこの部屋で、新たなる教皇の頭に、その印が掲げられるのを待っていた。


融和派を掲げるエルクリウスに対して、女神派の残党の見る目は冷たい。

だが、この場では、政争も一時休戦。

熱狂的な歓迎の声の中、式は進む。


女神の代行者となる“清めの巫女“が、新たなる皇帝となるエルクリウスの白髪の頭に、黄金でできたカボチャのような冠を載せる。


目を閉じて頭の上に冠が乗るのを待つ老人。

きらびやかな宝石が散りばめられた教皇の宝冠をいただき、エルクリウスは立ち上がり、信徒を振り返り宣言した。


「ここに教皇は受け継がれた。余、エルクリウスが女神の代弁者として、この混迷の時代に終わりを告げる。今こそ宣言する。新たなる勇者を導き、光の世界へと群衆を導かん」


両手を挙げるエルクリウス。

わーー、という喧騒。歓喜の声と、喝采。


「諸君! 偽勇者は、魔王と手を結び、いま、このオルベリオンへ攻め入ろうとしておる!

偽勇者を倒し、女神様をお救いする事こそ、我らに課せられた使命なのだ」


わーー、という歓声。


「女神様から、新たなる神託が下った。真なる勇者が現れる。それは、クロガネなる偽勇者ではなく、また強制召喚により現れたカイトなる破滅の勇者ではない。

ローランド! ここへ!」


「はっ、神聖騎士ローランド、参ります」


長身、美麗な光り輝くオーラをまとった男が、列から前に出て、教皇の前にひざまづいた。


ローランドは、世界有数の戦力。神聖教国最強の戦士である。

先のヨーラス陥落に際しては、一人でも多くの人民を救うため、単騎でヨーラス大陸を駆け回った。

多勢に無勢。流石に戦線を回復するまでは至らなかったが、ローランドが居たからこそ、数十万人の規模で命を救えた、とも言える。


ヨーラス陥落と共に前教皇の崩御を知り、最速でオルベリオンに戻ってきた。

新たなる脅威に備えるべく、今、こうして式に参列していた。


「光の槍ローランドがその勇者を探し、育て上げる。その勇者は左腕に聖なる羽の痣がある。間も無く、この世界に訪れると神託で告げられた。

これで我々は救われる。新たな勇者に栄光あれ!」


わーーーーと大歓声。


集団の少し後ろ。

若く、美しい少女、ウイユベールはその様子を見ていた。

そして、心の中で思っていた。


なんという茶番。


ウイユベールの目が光る。

途端に、霧が立ち込める。


その霧はウイユベールにしか見えない。

なんでも見通すはずの神の眼が、全く使えない。


このままでは、人類は終わってしまう。

ウイユベールは焦っていた。


「・・・女神様、どうかお救いを」

小さく呟き、心に決めた。散々迷ったが、いよいよ限界が来た。


この街を抜け出そうと。


女神の勇者を探し出さねば。世界は終わる。

ウイユベールはそう確信していた。


ここで第二部は完結となります。


第3部は、しばらくの後、9月中には再開予定です。(第4部執筆完了のタイミングで3部の投稿を始める予定です)お手数でなければ、ブックマークの登録、ついでのご評価、ご感想など、是非ともお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 混迷を窮める人族勢力 最後に出て来た少女が救いの鍵と成るのか? 三部に超期待! [一言] 執筆お疲れさまです。 作品の助力になればと、れびゅーを思案中ですが 文章作成力が皆無で…… それだ…
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