第40話 クロガネの弱点
「さて、ここで良いですね」
海を見下ろす高台の公園。てっきりギルドの地下で訓練すると思っていたら、なんだか、こんなところへ連れて来られた。
途中、特に会話なし。
緑色の髪の美女は、こちらを振り返ることなく、ズンズン進んでいく。レイアは手に錫杖を持っている。俺は無言でついて行った。そして15分ほど歩いて、公園までやってきた。
「ギルドでやるんじゃないのか」
俺が問いかけると、レイアが呆れた顔をして、「えーっと、昨日、ガーネさんがめちゃくちゃにしたんですよ」と言った。
ああ、そうだった。忘れてた。
「あら、忘れてたんですね」
レイアがため息をつく。
これから長い旅に同行する仲間。正直、どう思っているのかは気になる。
「レイア、さん。あんたは、どう思ってる? ジジイの言うこと。俺と同行するってのはどうだ」
レイアは首をかしげると、困ったような顔をした。
「正直、整理できてないのです。まだ聞いたばかりですし。それに、貴方も、急に言われて困惑しているのではありませんか? まずは、お互いのことを良く知り会いましょう」
と、無理をしたように笑顔を作った。
お互いのこと、ねえ。
「で、訓練はここでやるのか?」
はい、と屈託のない笑顔。
「ジジイから聞いていると思うが。俺はそこそこ強いぞ。こんなところで、大丈夫か?」
周りを見渡すと、カップルやら、子供連れの年寄りとかが散歩している。
「ええ、大丈夫ですよ。全力で」
と微笑む。
「一応、心配しているんだが」
鑑定すると、名前が出た。レイア=カトレーゼ
名前が出るということは、俺より弱い。
「これでも冒険者の先輩ですよ。本気でかかって来てください」
--貴様には明らかな弱点がある--
ジジイがさっきそう言っていた。それがレイアの自信か?
申し訳ないが、その自信を砕かせてもらおう。
レイアが錫杖を構えた。
「行くぞ!」
俺が踏み出したその瞬間。
レイアが指を組み、なにやらぶつぶつ唱える。
魔法か。遅い。
距離を詰めて眼前にクロちゃん刀を突きつけて終わり。
と思ったら、視界が歪んで、地面に倒れていた。
そのまま意識を失い・・・
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目を覚ますと、目に飛び込んでくる青空。
そして覗き込んでくるレイアの顔。
「気づきましたか。ガーネさん」
ガーネさん? ああ、俺ね。
偽名に、まだ慣れない。
「あ、ああ。なにがあった?」
見渡すと公園のベンチで寝ていた。
レイアの膝枕で。
「眠らされ、た、のか」
「おじいさまからの伝言です!
ガーネさん、貴方は直接戦闘は強いけれど、間接魔法への抵抗がほとんどゼロ。
搦め手には為す術もなくやられてしまいます。
私が先ほど使ったのは、睡眠の魔法。これまで状態異常攻撃をしてくる敵がいなくて良かったですね」
というわけで、と言ってレイアが立ち上がった。
「そうです。今日は、間接魔法の抵抗訓練です。コツを教えますから、防げるようになりましょう!」
と笑顔で言った。
確かに、これまで間接攻撃はされていない。
森の中は、女神のコンテナに守られていたし、知識の書で厄介な攻撃をしてくる敵は避けた。
海では、船の上、特段、精神攻撃を仕掛けてくるような魔物はいなかったし、居たとしてもナイトメアが守ってくれていた可能性もある。
それで、弱点に気づくことがなかったというわけか。
「間接魔法に抵抗するためには、慣れと意志が重要です。
何度も同じ状態異常にかかると、耐性ができます。また、強力な意志を用いれば跳ね返せる間接魔法もあります。
まずは、間接魔法の種類を覚えましょう。全部で42種類あります」
よ、よんじゅう、にぃ?
そんなにあるの?
「てことは、全部、やるってこと?」
俺の恐る恐るの問いかけに、レイアは満面の笑顔で「はい!」と答えた。
この女、ドSやあ。嬉しそうやわあ。
「まずは、先ほどの睡眠から始めますね。睡眠にかかったら、即ビンタしますので、眠らないように頑張ってくださいね!」
ビンタ!
「・・・はい・・・」
俺は首肯くことしかできなかった。弱点を克服せねば、やがて魔族にやられるかもしれない。
これは乗り越えなければならない壁。自分にそう言い聞かせて気合を入れた。
「さあ来い! ぐうう」
バチーン!!
「さあこ ぐうう」
バチーン!!
「さ ぐううううう」
バチン!
ひたすら繰り返されるビンタに、周りにいつしかギャラリーができていた。
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「今日はこのくらいにしましょうか」
どのくらいの時間が過ぎたのか。日はまだ高いものの、俺の顔は見るも無残なことになっていた。
触ってみると、ほっぺたと唇が腫れている。
何度叩かれたのか、全く覚えていない。
最終的に、睡眠は、なんとか20秒くらいは耐えられるようになったが、まだまだ抵抗と呼ぶには程遠い。
あと、沈黙とか麻痺とかバインドとかスタンとか、幾つも織り交ぜて状態異常を食らった。
行動阻害系は、一度にまとめて耐性をつけれるから、らしい。
即死はもちろん、一撃アウト。
即死よりは比較的安全な状態異常、痴呆、ウイルス、猛毒、石化、激痛あたりでも、連続して被弾すると、致命傷になる場合があるため、1日数回、回復を確認しながら、個別に行うと言う。
遅延、視覚障害などの幾つかの状態異常は耐性が不可能ということで、訓練はしないらしい。
厳密には、状態異常には、発生対象として、器質性、心因性、環境依存の3パターンがあり、視覚障害などは、いくら鍛えても環境型の攻撃をされると防げない。
環境型のわかりやすい例では、フォグという霧の魔法は、周囲の水蒸気に働きかけ、一面の白く視界を潰す。煙幕は煙で視界を遮る。
これらは耐性では防げない。別の対処が必要となる。
神経に作用するものは耐性値の獲得で防げるが、環境に作用するものは防げないのだ。
ちなみに遅延の環境型は、周囲の時間に干渉する高度な魔法で、対処法も高度な時間魔法が要求される。
訓練の合間に、レイアがそんな知識をいろいろと教えてくれた。
それにしても顔がまだ腫れている。
いくら訓練とはいえ、手加減しろよ、レイアパイセンよお。
ちなみに、俺に殴られて喜ぶ趣味はない。もちろん殴る趣味もない。いたってノーマルである。
「こちらへ、ガーネさん」
遠くで景色を見ていたレイアが俺を呼ぶ。青空と海をバックに、日差しがレイアを照らす。
レイアに促されて、公園の端へ移動する。
そこからはナミートの街が見渡せた。海へと続く街並みは、絶景だった。
すでに日が落ちかけている。
海岸線に建築されている巨大な防衛壁。
茶色の屋根と白い壁が続く美しい街並み。
「私は、ここからの景色が好きで、時々、ここに来るんです。
海が一望できて、人々が活気あふれていて、春になるととても綺麗な赤い花が咲くこの街の景色が」
風が吹く。レイアの緑色の髪がなびく。
「ガーネさん、貴方は、本当にこの世界を救えるのですか」
美女の真剣な眼差し。
「あの防御壁は、やがて来る第一の魔王の軍勢を押しとどめるため、急ピッチで魔道士を総動員して作っています。
でも、私は、あの壁が嫌い。
人々を覆うように影を作っています」
レイアは、悲しい顔をして、そしてまた強い表情で言った。
「もし貴方が、世界を救えるのなら、私は貴方に託します。
一緒に水都を目指しましょう」
俺は、ただ頷くしかできなかった。
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その後、レイアが街を案内してくれた。
道すがら、レイアがこんなことを言った。
「さっき、所長室で出した金属、ヘカトンケイルの一部ですね?」
「ああ」
「なら、ガーネさんは大金持ちですよ。オリハルコンは金に匹敵する値段で取引されます、あれだけの大きさのオリハルコンは、見たことがありません。家を買ってもお釣りがくるんじゃないですか」
と、教えてくれた。
はい、ごめん。あの数十倍はカバンの中にあるんだよ。
内緒にしておこう。
「・・・へ、へえ。ら、ラッキーだなあ。はははは」
困った。
お金を持っていても何に使えば良いか全くわからん。
換金しませんか? と聞いてくるレイアさん。
目が¥マークになっていますよ。
「そ、そうですね。ちょっとくらいなら」
こちらもつい敬語になる。
換金はギルドで行えると言う。明日、換金しましょうと言われた。
そんな雑談をしながら、最初に案内されたのが、武器屋。
「ゴルドーの致命傷」
という名の武器屋。
すごいネーミングセンスである。
「こんにちはゴルドーさん! 今日も見ていきますね!」
レイアが挨拶すると、柔和な雰囲気の店主がこちらに向けて会釈をしてきた。顔見知りのようだ。
店内は広く色々な武器がずらりと並んでいるが、まず目に入ってきたのが、拳銃。
拳銃?
剣と魔法のファンタジーと違うんかああ。
と、心の中で突っ込む。
一番目立つところに、拳銃やライフルが、ずらっと並んでいる。
「拳銃があるのか・・」
とレイアに向かって聞くと横に首を振る。
「拳銃ではないですよ。異世界知識で作られた拳銃は、ご禁制です。これは魔銃です」
「ま、じゅう?」
「魔導線が小型炉を爆発させ、その威力で魔法弾を飛ばす武器ですね。魔力さえ尽きなければ、拳銃と違い弾切れはありません。今の冒険者の主流武器です」
なるほど。しかしこれほどの銃が許されて、なぜ、拳銃はご禁制?
「うーん。説明が難しいんですが、ある種の差別ですね」
「差別? って、拳銃とどういう関係が」
「魔銃は、魔力がないと使えないんですよ。ごく一部、魔力が使えない人が存在します。
スキルレスの人たちですね。
スキルレスの人は国によっては迫害の対象なんです。この国にだって少し差別があります。
ひどい国では、スキルレスを強制労働させているところもまだ残っています。
迫害され不満を持ったスキルレスが、拳銃を持って蜂起されたら困るでしょ?
かつて、ある国でスキルレスの暴動があったんです。迫害している側も、迫害している自覚があるんでしょうね。
だから、魔力を使わず大量殺害ができるような武器は、原則、禁止されているんです」
と、レイアは言いにくそうに言った。
俺には、事情もよく分からんし、軽く頷いておこう。
武器屋を見渡すと、反対側に剣などの直接武器があった。
そちらに近づき、手に持つと、剣が光った。緑色のラインが浮かび上がる。何これ、かっこいい。
これも魔法武器か。
「近接武器は通常、魔法武器が普通です。それは風の魔法剣ですね。切ると同時に風を巻き起こすんです。魔力を込めれば遠く離れたものを切れますよ」
こんな攻撃力が高そうな武器がゴロゴロ売られているのか、異世界は。
俺の表情を察したのか、レイアが付け加える。
「今は、こんな時勢ですからね。
ここに来て急に品揃えが増えてきています。みんな自衛を考えているのでしょう」
一通りの品を見て、店を出る。
結局、クロちゃん刀が最高ということで落ち着いた。
礫の魔法もあるし遠距離武器は不要。ただ、俺が銃を構えても不思議に思われないという情報が手に入ったのはありがたい。
大通りを歩いていると、荷馬車に荷物を大量に積んで移動している家族が何組もいた。
「あれは?」
「避難組ですね。
西へ逃げる人が後を絶たないんです」
とレイアが寂しげに言う。
レイアはぐっと拳を握りしめた。
子供を抱えるようにして遠ざかる人々。
どこへ行くと言うのか。頼れる先はあるのだろうか。
「避難者が多く出ている影響で、街に空き家が目立つようになりました。国境付近は、そんな避難民を狙う盗賊が増えました。日に日に空気が重くなるようです」
遠くで子供がこけた。
それを見ていたレイアが、あ、と短く声をあげるが、母親がすぐ抱え上げて、また子供も歩き出した。
これが、この街の、今の日常なのだろう。
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続いて、レイアと入ったのは、日用雑貨屋だった。薬や服、毛布などいろいろなものが置いてある。
「まず靴を買いませんか?」
あ、全く靴のことを忘れていた。ジャングルの時は葉っぱで靴を作っていたが、今履いているのは、船員の誰かが履いていたお古の革靴。
ボロボロで、スメル・ライク・イカ。そう生臭い。
靴だけじゃなく、足りていない下着やら、ズボンやら、一通り買った。
トニーに貰ったお金の半分ほどが消えた。
買ったものは、そのまま収納カバンに。
あ?
店員が目を丸くしていた。
レイアに引っ張られ、そそくさと店を出る。
「ガーネさん、人前で収納カバンを使わない方がいいです」
「?」
魔法の世界でしょ?
収納くらいみんな使うんでしょ?
「全くもう。常識は習ったって言ってましたよね!?
収納の魔法は大掛かりで、空間に消えるようなもんではないんです。冒険者がもつ収納具は、たとえSランク冒険者でも、これが精一杯」
と言って、風呂敷を見せてきた。
「見てください。収納の風呂敷です。」
風呂敷の上に、錫杖を置く。
そして畳むと、中身が無いように小さくなった。
レイアは風呂敷を親指と人差し指で摘むと、
「重さはなくなりますが、入るのはこの風呂敷の上に乗るものだけ。空間から仕舞ったりできるアイテムはこの世には、そのカバン以外にありません」
え、そんなにレアなの?
「こうやって、取り出すことはできます」
風呂敷に手を突っ込み、錫杖を取り出す。
「だけど、入れるときは、一旦風呂敷を広げないと、入れられないんです」
力説するレイア。緑のふわふわの髪が揺れる。
「もちろん空間魔法のスキルを持つ人は例外です。魔法で簡単に物を仕舞ったりしますからね。
でもそのカバンほど高度な空間魔法を物質に付与するのは、現実的には不可能です。現在、研究中の技術ですが、高度な付与魔法と高度な空間魔法の2種類を持つ人でなければ、実現しない技術なのです」
と説明してくれた。
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街の案内の最後にレイアが食事をご馳走してくれた。
街1番のお気に入りだと言って連れて行ってくれた。
「やあ、レイアちゃん、今日も来てくれたんだね」
ふくよかに肥えた白髪の柔和なコックが、出迎えてくれる。
レイアが来たと聞いて、わざわざ厨房から出てきてくれた。タオルで手を拭きながら、にこやかに微笑んでいる。
店の名は「ありがてい」。翻訳でそう出るんだから、そうなんだろう。
店の名前が気になり、こっそり奇跡の書で調べる。
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ありが亭
ナミート街の飲食店。店主・ジャムオ・ジサン
子豚のきのこ煮込みが名物。新鮮な魚料理も定評がある。
店名の由来は、奥さんの名前がアリガなのと、日本語でありがたいを掛けた二つの意味を持たせている。
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なんかこんがらがってきた。奥さんの発音はアリガなのね。日本語は誰が教えたの?
多分、その辺の裏設定なりバックストーリーなりも、なんかあるんだろう。
テーブルへ通される。夕方前だと言うのに、店は賑わっていた。
店では終始、レイアはご機嫌だった。
「ああ、いい匂い。マスター、いつもの2つね」
と言う。あいよと答えて、ジャムおじさん。もとい、ジサンが厨房へ向かう。
いつもの、でメニューが通るのはかっこいいね。
「どうです、良い街だと思いませんか」
とレイアが微笑んでくる。
「この街に来て4年。最初は怖かったけど、今じゃすっかり第二の故郷です」
「てことは、生まれはここじゃ無い?」
「今回の旅は、私にとっても良い機会なのです。そう、生まれは西の方。スキゾニアの西。マルトって言う小さな村です。
一度、帰ろうと思っています。貴方を送り届けたら」
「じゃあ、あのジジイとは血は繋がってない? 娘とか言ってたが」
「娘のような、です。娘とは一言も言ってないですよ。ギルド長は。
色々ありまして。私のことを守ってくれているんです」
「守って・・・なんか、意味深だな」
「ゴンゲンさん、ギルド長を頼ってこの街に来ました。私のおばあちゃんが、ゴンゲンさんのパーティメンバーだったんです」
「そうか」
「まあ、その話はおいおいしますね。さあ、今日はしっかり食べて、明日も訓練ですよ!」
げえ、
あの訓練、まだ続けるのか。心が折れそうになる。
もうビンタはやめて!
「もうビンタは嫌!」
思わず声に出た。
「あははは」
と、初めてレイアが声をあげて笑った。
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食事はすこぶるおいしかった。名物の豚きのこのグリルと魚のスープ。
ちなみにレイアは俺の倍ほど食べた。かわいい顔して、すごい大食いだった。
満腹のまま、ギルドへ帰り、そこでレイアと別れた。「また明日」と手を振り、俺はギルド指名のホテルへ向かう。
ホテルへ向かう道すがら、物陰から、見たことのある大男が姿を現した。
牛男、パイクロス先輩。
略して牛パイセンである。
懲りないねえ。
「よお、にいちゃん。奇遇だなああ」
ニチャアと笑う。
どうするかねえ。ギルドの中じゃ無いし、戦っても怒られないのかなあ。
またジジイ飛んで来たら困るなあ。
そんなことを考えていると、パイセンが言う。
「昨日は長に邪魔されたが」
あ、長ね。
おさ。ゲオサ、そう言う意味ね。
一つ謎が解けた。
パイセンが指をぼきぼき鳴らしながら「今日は邪魔もねえ。手加減なしで行くぜ」
と、睨んで来た。
背後から、取り巻きが3人、顔を出す。
「へへへ」と下卑た笑い。
「聞いたぜ、金、持ってんだろ」
そう言う話は伝わるのが早いのかしら。
オリハルコンをうっかり見せたのは間違い?
さっき街で尾けられた?
まあ、なんでも良いや。お前に食わせるタンメンはねえ。もとい、お前らにくれてやる金はねえ。
とその時。
「よお、パイクロス。相変わらずだなあ」
ホテルの方から、金色の猿のような男が歩いてきた。
「げ、モーゼルさん。か、帰ってたんすか・・・」
狼狽えるパイセン。
鑑定する。
何かを投げられた。額に当たる。
いて。
「てめえ、いきなり鑑定するたあ、良い度胸だな」
気づかれた? これまで誰も気づかなかったのに?
「す、すんません」
その隙に取り巻きが逃げた。
パイクロスパイセンが冷や汗を流して動けずにいる。
「い、いやあ、生意気な新人が・・」
「うるせえ、死ね」
かわいそうなパイクロス先輩。ボディブローを食らって、崩れ落ちる。
全く動作が見えなった。やばい。
かろうじて見えた鑑定結果。ヤ人族。
ああ、終わった。ここで俺の冒険は終わるのか。
それほどの威圧。ジジイより強い。
なんだよこの街、バケモノの巣かよ。
勇者とか、俺、不要じゃねえ?
ジジイとこの人で勝てるっしょ、人類。
てか、ヤ人て何よ? 魔族じゃねえの?
「ぐえええ」と悶絶するパイクロスパイセン。
野獣がこちらを睨む。
「ジジイから話は聞いてるぜ、お前がクロガネ、いやガーネか」
近づいてきて、ああ、手を伸ばしてくる。
殺される。そう思った次の瞬間。
「よろしくな。俺がお前を水の都まで連れて行ってやるよ」
と、握手してきた。
第二の仲間。野人、モーゼル=ビックスはこうして俺の前に現れた。
状態異常全種類。
眠り、昏睡、気絶、マヒ、宿酔、石化、恐怖、即死、暗闇、無音、無臭、沈黙、無痛、魅了、洗脳、老化、スキル封印、毒、ウイルス、カビ、白痴、凶暴、爆発化、変身、魂縛、かゆみ、発情、部位欠損、無気力、執着、幽体化、激痛、呪い、重力、滑り、軟化、可燃、凍結、風化、筋力弱体、溶解、腐敗。
の全42種。時々新たに追加されます。




