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鉄塊チートの異世界ジャーニー  作者: くえお
第一部  鉄の勇者のサバイバル
24/214

第23話 道化 危険度SSSS

「やあ、やっと見つけたよ、勇者君」


お辞儀するピエロから殺気はない。が、俺は冷水を浴びせられたような寒気を感じた。

こいつ、ヘカトンケイルより強い。

右手をピエロに向けて攻撃態勢を整えようとしたら、ピエロは消えて、次の瞬間背後にいた。


「驚かせちゃったかな。僕は君に危害を加えるつもりはないよ、今はね」


慌てて振り向くと、首筋に鎌が添えられていた。


「あ、僕、瞬間移動が使えるんだ、君が鉄塊チートだとすると、僕は空間転移チートってやつぅ、きゃはは」


冷や汗が止まらない。瞬間移動だと。マジチートじゃねえか。


「僕の名前は、クレイジークラウン。狂気の道化師さ。よかったらその本で調べてみなよ。危害を加えたりしないから、さ。その方が話早いでしょ」


自分から名乗るとか。知識の本のことも知っている?

鑑定をするが名前が出ない。「人類」とだけ書いてある。人類? 魔族じゃないのか?


まるで心を読んだかのようにピエロが言う。

「なーに、僕は第三の魔王の使いでね。魔王を手伝うのが魔族だけって、そんなことは無いよ。僕は人間だけど、魔王と一緒にこの世界を壊すつもりだよ」


人間にも魔王側のやつがいても、確かにおかしくは無いが。瞬間移動とか反則じゃ無い?


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

クレイジークラウン 危険度 SSSS

人類 通称 気狂いピエロ 食用不可(魂的に) 

正体不明のピエロ。能力詳細不明。

第三の魔王の腹心で、世界中を飛び回り様々な工作を行っている。

世界最強の一角。

スキル 瞬間移動LV?

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


決して警戒を崩さず、知識の書に目を通したが・・・。


なんかコメントもやたら薄い。


が、危険度SSSS!?


危険度が突き抜けている。


「第三の魔王からの伝言だよー。レブロンの街で会いたい、だって。探すの苦労したよー。こんな大海のど真ん中。見渡す限り海でしょ。女神の情報を頼りに大陸の方も探したけど、せっかく行ってもいないんだもん」


ケラケラ笑う。


顔を近づけてくるピエロに、

「近いんだよ!」

イラっとして殴ろうとしたが、空を切る。


「おっと、当たらないよ。親父にも殴られたことないんだよね、なんて」


水面に逃げたピエロはニタニタ笑うと、

「せっかく会えたし。

そうだ、いい事思い付いた。


ちょっと腕試しするね、死なないでね!」


といって、まるでバットの素振りをするように鎌を振った。


「ちょ、なんだ!?」

慌てる俺を尻目に、楽しそうなピエロ。


するとボートの真上の空中に丸く黒い穴が空いた。

次の瞬間、空から海が落ちてきた。ものすごい勢いの水流。一気に水中に押し込まれる。


自分が移動するだけじゃないのか? 空間を切り取って自由に繋げられる?


水中で鉄のボートを変形させて、鉄のロープ数十本作り、それを触手のように伸ばす。ピノコたちを回収、鉄を丸めて小さい潜水艦を作る。


濁流から離脱して、そのまま水面へ飛び出す。

水面に出たら、またボートへ変形して、ピエロを視界に捕捉。

ピエロに向けて槍を作り、鉄の鉉に引っ掛けて弓矢のように飛ばす。猛スピードで飛び出す槍を見て、ニヤリと笑うピエロ。姿がかき消え、背後から声がした。


「いいね、いいよ。ナイスだね」


振り向きざまに拳を振るうと、頬にクリーンヒット。だが、その頬は、ツナミ君の頬だった。


くそ、瞬間的に誰かと体を入れ替えられるのか? 右足に激痛。


ボートをすり抜けて鎌が足を切っていた。2センチくらい切り込まれた。痛い。

船は無傷。


「ぐ!」たまらずうめき声をあげるが、倒れている暇はない。


「ははは!」


と笑い声がして、上空を見ると、鎌を大きく振りかぶるピエロがいた。


あ、やばい。と思ったら、次の瞬間、俺の横を風がそよいだ。


ズパンという音がして、海が切れた。


水平線まで続く線になって、海底まで届いている剣の軌道。飛ぶ剣戟とかそんな生易しいものじゃない。


見渡す限り空間がえぐり取られていた。

こんなん、どないやって避けるんや。


切り裂かれた海が、津波のような勢いで元に戻る。船が揺れる。


「あー、ストレス発散できたっと」


カラッとした声に、空を見上げると、ピエロは浮かんだまま笑っていた。

その鎌の先に、人がぶら下がっていた。

ツナミ君だった。


「この子はもらっていくね。汚辱の部下のやつ、嫌いなんだ、僕」


「ちょ、待て、お前は、一体、なんだ!? 何をしに来たんだ。俺を殺しに来たんじゃないのか?」

「だーかーらー、伝言したじゃん、殺すつもりないって言ったでしょ、さっきのは、ほんのお遊び。第三の魔王、レブロンだよ、忘れないで。

まだまだお兄さんは僕には敵わないけど、伸びしろはありそうだし。あ、僕、別にバトルジャンキーじゃないよ。イタズラとか、おちょくるのは好きだけど。負けるの嫌いだし」


と楽しそうにいうと、「じゃあね」と言って、消えた。


水平線まで見渡せる青い空。穏やかな海。

改めて思い知った。

この世界ヤバイな、と。


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