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鉄塊チートの異世界ジャーニー  作者: くえお
第一部  鉄の勇者のサバイバル
23/214

第22話 海の旅(晴天航路)

あぢーーー。


日差しは絶好調。気温は最高潮。

雲一つすらない空。海に飛び込んで涼もうとしても、日焼けに塩が染みて痛い。


薄い鉄で作った日よけ。だが、効果なし。暑い。暑すぎる。鎧など着てられない。


海。海。見渡す限り、海。


「おら、休んでんじゃねえぞ。魚くん」

「ヒッ、は、はい」


鎖に繋がれたツナミ君は、鋭意、動力源の最中。


水魔法とその泳ぎで、船を牽引してくれています。魔力節約できてありがたい。


即席で作った鉄の首輪と鎖でくくっている。裏切って逃げ出さないように、夜、俺が寝ているときは、ナイトメアが目を光らせてツナミくんを見張っている。


ツナミくんは魚顔に不満を滲ませながらも、諦めてお手伝いしてくれた。


ツナミくんを捕まえてその後5日。

船旅7日目。蒼天航路は晴天航路。

一番の敵は退屈です。


「にしても、何の変化もない」


もう、疲れた。


海、デカすぎる。海。


暇つぶしに、生前、テレビで見たサバイバル知識は役に立っている。


海水をくみ上げ、密閉して熱すると、水と塩に分離する。鉄でツボのような容器を作り、屋根の部分から外に水を流す通路を作って、日光に当てるだけ。

1日もすれば、水が溜まっている。塩も取れて嬉しい限り。


あと、海上では何気に食事が困る。

魚は釣れるようになったが、火が無い。


困っていると、ナイトメアが、着火できるという。

目からビームが出ました。初期装備だそうです。

ドクロライダーといい、目からビーム流行ってんのかね。


さておき。


途中、海の魔物がたまに出現。だが、返り討ち。そして食料に。

海にも色々な魔物がいる。

長い触手をこっそり伸ばして麻痺させようと狙ってくるクラゲ。

夜の闇に光を浮かべる巨大なチョウチンアンコウ。

海の上を走るうろこのあるパンダ。

海面から直角に水面を突き刺す海トカゲ。

集団で襲いかかるイワシ(肉食)。

ヒレが鋼鉄のように硬い船よりもでかいウミガメ。

etc.


とはいえ、ほとんどの時間は、穏やかな海。暇で暇で仕方がないので、魔将軍ツナミくんと遊ぶ。


ツナミ君に尋問した。

最初はツンだったが、ちょっと強めにお願いしたら、いろいろ教えてくれた。

まず。魔王軍は俺の居場所は把握していないとのこと。ツナミくんは手柄を独り占めしようと欲をかき、誰にも告げずに抜け出してきたらしい。

ツナミ君のスタンドプレイのおかげで助かったとも言える。

魚の痕跡を追い、俺を一人で倒し、他の魔将軍の鼻を明かそうと考えたという。


俺を見つけた方法については、ツナミ君は、イルカとお話しできるんだって。イルカに大鎧鮫探させて、片っ端から沈めていったらしい。うん、野蛮だね。


ツナミ君は色々、情報をくれた。魔王軍はそもそも烏合の衆らしく、力関係と損得で成り立っている。仁義や御恩と奉公のようなことは一切ないらしい。新しい魔王誕生すると、基本魔族は言うことを聞く。そこには力関係による服従のみがあり、尊敬とか、そんなものはないらしい。

なので、敬語とか、尊敬とかはなく、魔王が没落したらまたてんでバラバラに暮らすと言う。


これまで俺を追ってきたのは、第二の魔王の部下たち。

第一と第三の魔王とは連携をせず、それぞれ支配地域から出張るようなことはない。基本的に魔王がお互いを助け合うようなことは無いらしい。

第二魔王の部下は、12人の将軍が統括していて、それぞれ方面と役割がある。

ボーゲンは将軍だが、バーナと言った太っちょの方は将軍ではないらしい。

現在、ロックスが死んで11人になったが、すぐに補填されるとのこと。

人材は足りているようだ。

魔族の中で上位12人が将軍を名乗るが、番号は入ったもの順。

ロックスが欠番になったら、その後から繰り上がりで、ボーゲンは自動的に十番に昇格しているらしい。

ただ席次1番は絶対的に強いらしく、不動らしい。瞬殺のマグナリアと言う名前だそうだ。ツナミ君も戦闘自体は見たことがないが、相手は全て瞬殺らしい。

恐ろしいね。できたら戦いたくない。


魔王について。

第二の魔王は城に籠って、指示を飛ばすのと、遠距離での呪術が得意らしく、女神を常に呪っていると言う。


汚濁の魔王、汚辱の魔王、不潔の魔王と言う複数の異名を持つ第二魔王。名前はプーゲ=ンビリア。とにかく汚いらしい。

性格も、見た目も、そして能力も。


能力は腐敗。


全てを腐らせることができるため、誰も近寄りたがらないほど恐れられている。敬われてはいないがその命令は絶対のようで、太っちょバーナビウスのような荒くれ者も、しぶしぶ言うことは聞く。


腐らせる能力、ね。どうやって戦う? わからん。イメージが湧かん。

鉄も腐らせるのかね?


魔王の目的は、邪神の復活。魔族は人類とは価値観が違うらしく、破壊と殺戮が大好き。

心の底から大好きすぎて、敵がいないと死ぬほどらしい。

うさぎは寂しいと死ぬというが、魔族は敵がいないと死ぬ。なので、人類がいないと魔族同士で殺し合いを始めるが、そこまでは考えは及ばす、ひとまず人類を滅亡させることに躍起になっている。

邪神さえ復活すれば、人間は殺したい放題。夢のような世界が実現すると、魔族は誰もが信じているらしい。本能らしい。


遠くを見つめながら、水平線をぼんやり見つめていると、背後に気配を感じた。


振り返ると、水面にピエロが浮かんでいる。左右二つに別れた帽子。白塗りの顔、紫色のダボダボのシルクのような光沢のある服。少年のような背格好。

そして、死神の鎌。


「やあ、やっと見つけたよ、勇者君」


ピエロはうやうやしくお辞儀した。上目遣いでニヤついていた。


「うさぎは寂しいと死ぬ」というのは嘘だと、最近知った。

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