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鉄塊チートの異世界ジャーニー  作者: くえお
第一部  鉄の勇者のサバイバル
18/214

第17話 クロガネVS 魔王軍(500体)

女神の物資、ヘカトンケイルと色々あったから、皆さんも忘れているかもしれないが、前話の最初で俺はこう言った。


―――――――――――

あれから3日過ぎた。昼はドラゴンを探しレベル上げ、夜は洞窟でひっそりと眠る。

いよいよ脱出の目処がついた。新しいスキルが目覚めたのだ。

―――――――――――


そう俺は新しいスキルに目覚めている。(ヘカトンケイルには通用しないスキルだったが)


今の操鉄術のステータスはこんな感じ。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 スキル 分類 オリジナル 総合 聖魔武補特

 説明:鉄を自在に操るスキル。レベルに応じてできる事と操れる鉄の量が増える。

    オリジナルスキルのため、取得済み以上の情報は不明。心象スキル。

 状態 レベル6 15201/500000

    『精錬』『錬成』『礫』『鉄収集』『硬化』『組み立て』new『直接操作』

    精錬 鉄の純度を高める

    錬成 鉄の形を変える

    礫  鉄を生み出し飛ばす

    鉄収集 周囲から鉄を集める

    硬化 鉄をさらに硬くする

    組み立て 複数の部品を組み立てる

    直接操作 直接触れている鉄を動かせる

    レベルアップ条件 使用回数と経験値

    扱える質量 5tまでの鉄

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


スキルレベル5で『組み立て』そしてスキルレベル6で『直接操作』を手に入れた。

組み立ては、その名の通り、いくつかの鉄のパーツを組み立てて繋げることができる。そして直接操作は繋がっている鉄なら、自在に動かせるというスキルだ。

しかも扱える量は5トン!


ということでこんなことができるようになりました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺を取り囲む魔王軍。奴らは空を自在に飛べるらしい。

気づいてからも、空から次々と地面に降り立ってくる。


槍を構えた者、剣を手にした者、鎧を被った者と様々。

容姿は、紫色のミノタウロス、紺色のオーク、と言った感じのものが多い。共通しているのは、角が生えていること、肌の色が悪いことくらい。まるでどこかの宇宙戦艦の敵のような青い色をしている。


統率されているのか、誰も声を上げない。すごい数だ。いつぞやの暴走族に絡まれた記憶が蘇る。あの時の雑魚とは比べ物にならない、魔族の軍隊。威圧感が全く違う。

俺の正面から、1人、少し体の大きい筋骨隆々の魔族が現れた。こいつらのボスのようだ。鎧が少し上等に見える。


「貴様が女神の勇者か。ふん、聞いていた通り弱そうだ。よくボーゲンに勝てたな。見よ、この軍勢を。さすがに単騎で我が軍団を相手に抵抗はせんだろうな。話は不要。大人しくついてこい」


多勢に無勢。こいつらは魔王軍の精鋭なのだろうか。それとも雑兵なのか。よく分からない。


が、以前の俺とは違う。ボスからの威圧感も、ボーゲンほどは感じない。俺が強くなったのか、ヘカトンケイルで感覚が麻痺したのか、こいつが、こいつらが弱いのか、それは分からないが。


さて、ヤりますか。負ける気はしなかった。


扱える鉄の質量が上がったことで、新しい武器が作れる。

5トンの鉄塊を無限鞄から取り出す。

そして、それを変形させる。巨大なチェーンソーと、それに繋がるワイヤー。


チェーンソーは、チーーーーーーーーンンンという、鉄の擦れる唸りを上げてヤイバを回転させる。エンジン不要だから、爆音はしない。電気モーター音のような金属の擦れる音だけがする。


俺が念じると、それはまるで巨大な蛇のようにウネリ、魔王軍をなぎ払った。


そう、こんなことができるようになりました。モデルは寄生●ね。


!!


ボスが目を見開き、後ろへ飛びのく。


「殺せ! もはや手加減は不要だ。勇者を殺すのだ! 生きて捉える必要なない!!!」


ボスの号令。

雄叫びを上げて魔王軍が殺到してきた。

うねる俺のチェーンソー、胴体のワイヤーはいばらのように鉄条網の棘が飛び出し、魔王軍を切り裂いていく。流石にトン単位の鉄塊を支えることはできないので、腕の先は地面に突き刺して支点にしている。

背後から俺を狙う魔法の気配を感じて、そちらに鉄の一部を集め、巨大な盾を作る。ボゴーンという音と衝撃。しかし、俺には届かない。


乱戦になり、右手のクロちゃん刀で近くの敵を切り裂きながら、左手を鞭のように振るう。

敵の位置は手に取るように分かった。背後の気配も全て把握できる。俺、今、ゾーン突入してる。いや、気配察知のスキルか、てへ。

全てが遅く感じ、魔王軍を血に染めていく。フハハ、弱い、弱いぞ魔王軍!!!


「畳み掛けろ! 相手は一人だ!!」

ボスが叫んでいる。


戦いの最中に鑑定を発動すると、面白いことに気づいた。

敵の名前が全員わかるのだ。ボボ、サルタン、トノト、ホホイ。

ボーゲンの時は、名前は表示されなかった。推測するに、自分との力量、もしくは魔力量が関係している、とかか?

仮にそうだとしたら、自分より弱い敵は名前がわかる、ということになる。


敵の猛攻を掻い潜りながら、ボスを視界に据える。鑑定したら名前が見えた。

ロクシオン・ロックスボルト。と書いてある。

ということは、こいつは俺より弱いということになる。

名前は分かったが、さすがに今すぐ知識の書を調べるほどの余裕はない。


魔王軍はざっと見て100人以上はいた。

休む間も無く動き続け、50人くらいを倒し伏せた時、急に息が切れてきた。やばい、まさかの魔力切れか・・・。


俺は急いで、鞄の中から、生のフナムシを取り出して貪り食った。

一瞬でMPは回復。ふう、なんとか持ち直した。

が、これは、ジリ貧かもしれない。相手はまだ見た目に全然減っていない。


「下がれ!」とボスが言うと、俺の周りの雑兵どもが、距離を開けた。

次の瞬間、50センチほどの大きさの雷をまとった岩が、飛んできた。


鉄の巨大盾で防ぐ、が、ガキンと言う音に続いて、バリバリと言う感電に、俺の体は一瞬で痺れた。


ビリビリビリビリ!!!!!


雷か。しくじった。

直接受けたら、そりゃ感電するわな、とか思っていたら、雑兵の槍が俺の腕の付け根を貫いた。痛えええええ。神の衣仕事しろ!!!


「うおおおおおお!」

一気に勢い付いた魔王軍が、俺へ武器を向けてくる。痺れて思ったように体が動かない。肩の血が指先まで流れる。これは、やばい。

やばいやばい死ぬ死ねる!


次の瞬間だった。


無限鞄が内側からこじ開けられ、そいつは飛び出してきた!!!!


長い髪をなびかせた、無機質な人形。そう、ヘカトンケイルの腹から助け出された人形だった。


「マスター認証完了。敵対反応確認。マスター保護を優先、殲滅を開始します」


飛び出した人形。それはまるで黒い稲妻。達人の墨絵のように、火の明かりに照らされた夜の草原を切り裂いていった。

黒い髪がまるで流れるように、闇夜を駆け抜ける。

指先がまるでナイフのように、魔族を切り裂いていく。金属の鎧がまるで紙切れのようだ。

踊るように回転しながら、駆け抜けるそばから、魔王軍に血の雨が降る。


四肢が、関節が異常な方向に曲がり、奇妙な姿勢から奇妙な姿勢へ。それはまるで、暗黒の死の舞踊を見ている気分になった。美しくさえある。


人形は、どうやら俺を守ってくれているようだ。敵を次々殲滅していく。


魔王軍は一瞬呆気にとられたが、さすがと言うべきか、本来の目的を思い出したらしく、人形に対処しつつ、残りは俺に向かって再び武器を振り下ろしてきた。


が、この一瞬で、俺は持ち直した。痺れから回復したのだ。

神の衣のおかげだったのだろうか。痺れはすぐに取れた。神の衣がなければ、そのまま焼け焦げていたかもしれない。サンキュー女神。

「かかってこい、クソ野郎ども!」咆哮と共に、チェーンソーを薙ぎ払う。

敵の前列一列、胴体が泣き別れる。唸るチェーンソー。

戦いながら、チェーンソーをもう一つ増やす。

チェーンソーが2つ並んだハサミのような頭を持つ巨大な蛇が、魔王軍を飲み込んでいく。


俺の攻撃の隙間を縫うように、人形が踊っている。

魔王軍は混乱の極みにあった。


「貴様ら、態勢を立て直せ、円陣、距離をとって包囲。魔法にて殲滅しろ」


ボス、ロクシオン・ロックスボルトが指示を飛ばす。敵の動きは素早い。俺たちの間合いから遠ざかる。これは深追いできない。人形と分断されると厄介だ。


「来い!」俺が叫ぶと、人形は音もなく俺の背後に付いた。


魔王軍は指示に従い俺から距離を取り一斉に魔法攻撃を狙っている。


咄嗟に防御に専念すべく、巨大な鉄の繭を作り、魔法の衝撃に備える。隙間のない鉄の繭、真の暗闇。さながらトーチカのような、5トンの鉄の要塞を一瞬で築き上げる。


次の瞬間、爆発音、振動、衝撃が俺たちを襲った。四方からの滅多打ちのようだ。

「グっっっ!」

鉄を維持することが難しいほどの猛攻。


どうやら選択を誤ったかも知れない。敵の攻撃が凄まじいとはいえ、これでは次の手が打てない。防戦一方だ。

これは、手が出せない・・・

「このままじゃジリ貧だ」


そういえば忘れていた。女神のコンテナなら、魔法障壁を作れる。と思い、無限収納カバンから、コンテナを取り出した。

しかし、これまで薄っすら光を発していた女神のコンテナから魔力が失われている。そういえば、手紙で書いてあった。女神の力が弱まったことで、バリアの力も失せているようだった。


次に頭に浮かんだのは、さっき使った神の初級魔法。

次の瞬間、その考えは捨て去る。

あんな魔法、もう使えない。仮に、今唱えたら、この鉄の中が大爆発を起こすだろうし、よしんば撃てたとしても、威力が強すぎる上に、包囲する敵には今ひとつ効果にかける。直線上にドラゴンでもいたら、怒り狂うドラゴンに報復されるかもしれない。うん、封印しよう、初級魔法は。封印だ。


あらゆる可能性を考えつつ、俺はじっと耐えた。

闇の中、1分ほど、魔法攻撃の蹂躙に鉄の繭で耐えていた。

背中のポケットからピノコが飛び出してきた。

気配で分かった。

「お兄たん。アタチに任せてホチイの」

おい、ピノコ。危ないからキミは隠れてなさい。と思ったが。

「あたちだって戦えるんだからね」とプンスカ、叩いてきた。


「分かった、分かった、どうすれば良い?」

「ちょっと離れたところまで、穴を掘ってくだちゃい」

10センチくらいの大きさの穴を、鉄をドリルにして掘り進む。

掘ったあと、鉄を管のようにして、ピノコを通す。


外の様子はわからない。小さく、か弱いピノコを外に出して大丈夫なのか。

「頼む、敵に見つからないでくれ」と念じていると、次第に鉄の繭への衝撃が小さくなっていった。


外の様子が全くわからない。繭の一部を薄くして、外が見えるように穴を開けてみた。暗がりで、外ははっきりとは見えない。隙間からでも魔法をぶつけられると目が潰れるかもしれないので、顔を近づける根性はない。だが、音は聞こえてくる。グアアあとか、貴様どこを撃っている、とか、やめろやめろとか、へへへへへへとか。阿鼻叫喚と言うのだろうか、叫び声が響き渡っている。

相変わらず爆発音は続くが、鉄のバリアへ衝撃はほとんど無くなっていた。何が起こっていると言うのか。


しかし、これはなんだか、チャンスのように感じる。

「行くぞ」

俺は小声で人形に声をかけた。

下に向かって人が通れる穴を掘る。

地面をどんどん掘り下げていく。もうすでに、地表から数メートル掘り下げた。掻き出した土は、頭上のドームに廃棄。

鉄の蓋を作り、土を掘り下げ、鉄の蓋で止めてを繰り返し、空間を下に移動させていく。

繭はトンネルの進行に合わせて、どんどん内側から薄くしていく。


地面へ鉄を移すと、薄くなった繭は魔法の衝撃でベコベコと凹み出すが、その頃には俺たちは、地面の中をゆっくり進んでいる。


十メートルほど下に下ったら、今度は、横に掘る。

2メートルほどの大きさの、ドリル(トンネルシールド?)で掘って、鉄の内壁を張り、通り過ぎたら埋めていく作業。


10分ほどで20メートルくらいは進んだと思う。

続いて、ゆっくり上に掘りすすめる。下った時とは逆の方法。どんどん下に土を移動させていく。

余裕ブッこいていると、息苦しくなってきた。空気が薄い。

地下の密閉空間に長くはいられない。

一度地上から酸素を取り込む必要がある。

息が苦しい。空気穴を優先して地上まで掘る。


流石にMPが切れてきたので、いつものようにフナムシ補給。

へへん、カバンにはまだまだフナムシ、生のまま入れてるもんねえー。


やがて地表の近くまで来た。ゆっくり上に向かって掘り進み、地面に3センチほどの穴を開ける。

プハーと深呼吸。

この大きさなら簡単には見つからないだろう


穴に目を近づけ、上を覗くと、星空が見えた。兵士が上を走っていく。

穴をまたいで走り去る。

どうやら、魔王軍は何かから逃げ惑っているようだ。


すると、上の穴から、ピノコが落ちてきた。よく見つけられたと思う。


「ピノコ、何をしたんだ!?」

えへへとピノコが照れ臭そうに笑った。

「ピノコはスゴイのです! 混乱の粉を振りまいてきてやったのです」

おお? そんな特技が?

「よく戻ってこれたな」

と言うと、ピノコは小さな手に握った黒い糸を見せた。

「クロちゃんとずっと糸で繋がってるです」

ほう、そうだったのか。なにこの子、頭いいの? もしかして。地中でも繋がれるの? すごいね。


小さな穴から地面の様子を見ていると、次第に混乱は収まってきたようだ。

「勇者はどこだ! 探せ!」と大声で叫ぶ声が聞こえた。

さて、どうすべきか。

殲滅か、撤退か。俺は選ばねばならない。

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