第14話 ドラゴンメソッドボーナスタイム
方針が決まった。
収納から白いコンテナを取り出すと、それを抱えて、洞窟から外へ出る。
ピノコも連れて行くが、「外ではあんまり騒ぐな」と釘を刺した。
来た道を戻り、さっきのドラゴンを探す。
ドラゴンの痕跡を見つけ、跡を追う。
気配察知のおかげか、ほどなくしてドラゴンを見つけた。マッドドラゴンは、のんびり水を飲んでいる。
俺からの距離は大体50メートルほど離れている。
方針とは、そう、ドラゴンを利用したスキル上げである。
なんにせよ、スキルを上げないと、何も解決しない。力をつけないと、この大陸からも出られない、魔族にも勝てない。
緊張しながらドラゴンに狙いを定める。
俺が考えたことは、こうだ。強い敵にスキルを使うと経験値が溜まるのならば、非致死性の攻撃、ダメージを与えないスキルならば、どんどんポイントゲットするんじゃないか。そう、名付けて、「ドラゴンコツコツガンガンスキルage大作戦」である。
位置についた俺は、斜め上めがけて礫を放つ。放物線を描く礫は、ドラゴンまで届かない。もう少し上にして礫を放つと、コツンとドラゴンの尻尾に当たった。
恐る恐る反応を見る。逃げる準備は万端である。
分厚いドラゴンの外皮からすれば、礫など砂の一粒にも等しいだろうと思いやってみたが、全く気づく様子がない!
知識の書を見ると
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操鉄術lv2(700/1000)
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と、1発当てただけで、50もスキルが上がっていた。
俺は、興奮した。これは、えげつないレベリングを見つけた!
ポコポコぶつけていく。あっという間に、操鉄術はレベル3になった。
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操鉄術
スキル 分類 オリジナル 総合 聖魔武補特
説明:鉄を自在に操るスキル。レベルに応じてできる事と操れる鉄の量が増える。
オリジナルスキルのため、取得済み以上の情報は不明。心象スキル。
状態 レベル3 50/5000
『精錬』『錬成』『礫』new『鉄収集』
精錬 鉄の純度を高める
錬成 鉄の形を変える
礫 鉄を生み出し飛ばす
鉄収集 周囲から鉄を集める
レベルアップ条件 使用回数と経験値
扱える質量 50kgまでの鉄
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ついにレベル3が解放された。
さらに知識の書でアーツを調べてみる。
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鉄収集
鉄を収集するアーツ。礫のように魔力で発生させるのではなく、砂鉄など自然にある鉄を集めてくる。無から有を作るという意味では礫の方が優秀だが、量を集めるという意味では、収集の方が優秀。1回あたりの礫の製造質量はおよそ500グラムだが、同じ魔力量で収集は周囲から5Kgの鉄を集めることが可能。
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なるほど、早速、鉄を集めてみよう。外なので警戒は怠らず。
ドラゴンは遠くでのんびり水を飲み続けている。
鉄収集と心で唱えると、手の周りに周囲から砂鉄が集まってきてボール状になった。集まった鉄は収納鞄に入れる。
鉄収集。なるほど便利だ。よし、この調子でレベルを上げよう。
再び、レベリング再開。ドラゴンにどんどん礫をぶつけていく。
10分ほど続けると、魔力が少なくなってきた感じがしたので、一旦洞窟に戻ることにした。緊張が続き、正直、かなり精神力が削られる気がしたからだ。
洞窟に戻り、大量のフナムシを捕まえ、熊を探して火をつけ、洞窟の中に焚き火を置いて、フナムシを焼いて食べる。
魔力が回復したので、再度ドラゴンへチャレンジ。
ドラゴンに礫を投げること30分。
あっという間にスキルレベルが上がった。
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操鉄術
スキル 分類 オリジナル 総合 聖魔武補特
説明:鉄を自在に操るスキル。レベルに応じてできる事と操れる鉄の量が増える。
オリジナルスキルのため、取得済み以上の情報は不明。心象スキル。
状態 レベル4 200/10000
『精錬』『錬成』『礫』『鉄収集』new『硬化』
精錬 鉄の純度を高める
錬成 鉄の形を変える
礫 鉄を生み出し飛ばす
鉄収集 周囲から鉄を集める
硬化 鉄をさらに硬くする
レベルアップ条件 使用回数と経験値
扱える質量 100kgまでの鉄
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硬化
物質を硬くするアーツ。硬化を使えば生身の拳ですら岩を砕く。もともと硬い鉄ならば、岩など軽々切り裂き、ダイヤモンドすら切り裂くことも不可能ではない。
錬成には柔らかくする効果があるが、素材の硬度以上に硬くする効果はない。硬化(LV1)で変化した物質の硬度は3倍程度に向上するとされる。
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ふむ。鉄はそもそも硬いから、使いどころが微妙だなあ。切れ味もクロちゃん刀に不満はないし。正直そう思ったが・・・。
いや、待てよ、そういうことか。
先ほど収集で集めた鉄を錬成で思いっきり薄く鉄を引き延ばす。普通なら、この薄さなら、ベコベコするはずだが、これを硬化すれば・・・
カッチカチで薄い!
これは、いろいろな用途が考えられる。薄くて軽くて硬い。
鉄だけで兜を作ろうものなら、10Kgくらいの重さになるが、この薄さなら、500グラムくらいで済む。
布と同じくらいの重さで、鎧も兜も作れる。これは破格の性能だ。
ドラゴンから一旦離れ、物陰に隠れながら、あたりの鉄を収集、錬成で薄く引き伸ばして丸めて、硬化で硬くする。
すると、なんということでしょう。
めちゃクチャかっこいい、鎧兜ができた。
いくら薄い鉄板といえ、フルアーマーは動きを阻害する。どちらかというと、今はレンジャーのような装備の方が向いていると考え、急所を守る装備、頭頂を守る兜と、チェストプレートと、ガントレットを装備した。
急所が守られるだけで、すごく心強い。
下半身はまだ葉っぱの腰巻きだったので、薄い鉄を鱗状にいっぱい作って針金で編んだスケイルメイルの腰装備を作った。ジャラジャラ音がしないように、針金をきっちり縛り上げた。
最後に脛に鉄板を針金でくくりつけ即席のレギンスを作る。これでほぼ全身の急所を守ることができるようになった。
一旦ドラゴンのスキル上げは中断。
装備の実証実験として、トカゲを探し出して、あえて攻撃させてみたところ、あの強力な爪もガントレットで弾き返すことができた。即席でガントレットに鉄で作った爪を錬成して付与、格闘戦でトカゲと戦う。
もはや負ける要素がほぼ無いと言えるほど、鎧の効果は抜群だった。いや、バツギュンだった。
動きにくいと感じる関節部分を微調整しながら、見た目もかっこよく整えていく。
背中にクロちゃんとピノコが搭載できるようにポケットをつけた。
魔王軍の影に怯えながら、わずかながら光明が見えてきた。
夜も迫ってきて、ドラゴンも見失ったので、今日は洞窟へ戻り、クロちゃんに包まれるようにして眠った。




