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鉄塊チートの異世界ジャーニー  作者: くえお
第一部  鉄の勇者のサバイバル
12/214

第12話 かつての日常と新しい日々

目覚めると時計は6:00丁度を示していた。窓の外はすでに明るくなっていた。

ベットを出てリビングへ降りると、鉄一郎がキッチンで弁当を作っているのが見えた。

毎朝、俺の分と娘の分の弁当は鉄一郎が作ってくれている。

「父さん、おはよう!」

優香が死んでから、鉄一郎は家事を進んで手伝ってくれる。

「おう、おはよう。今日もありがとうな。弁当」


7時になると、妹の徹子を起こして、みんなで朝食。

おにぎりと味噌汁。

「学校はどうだ」と徹子に聞くと、「うん、楽しいよ」と答えた。

そんな話をいくつかして、それぞれ時間になると家を出る。


俺はそれを見送ってから、自転車で工場へ向かう。工場へは自転車で15分くらいで着く。


工場に着いて、初めにやるのは火の点検だ。工場の火は年に数度の点検以外は消さない。小さな溶鉱炉だが、数千万はする機械だ。父親が購入して去年ようやく返済が終わった。


俺が工場に着くと、従業員がぞろぞろとやってくる。ここ2年は同じメンバーだ。職人気質で真面目なのが、うちの社員の特徴だ。


皆それぞれ持ち場について、今日の指示書に目を通す。


毎日の光景だった。


午前中俺は主に注文の確認に追われる。どんな注文が来て、納期はいつか。たまに現場の作業も行うが、人手が足りているときは、ほとんど事務仕事に追われる。


小さな工場だから、俺も現場を手伝わないと、回らない、と言うのもある。

息子の作った弁当を食べ、午後は、作業の補助に回る。


夕方6時までそんな感じで作業を続けて、また家に帰る。


国道沿いの坂道をゆっくり自転車で登っていると、犬が国道を横切っているのが見えた。小さなマルチーズで首輪にリードがついている。飼い主が離したのだろうか。

見ると、5歳くらいの女の子が、犬を追いかけて国道に入ろうとしていた。


少女は、丁度俺の反対車線にいて、俺は大声で叫んだが、女の子は気づく様子はない。


俺は無我夢中で駆け出していた。自転車を歩道に乗り捨て、一気に少女のところ走る。


少女を抱えあげた。走り抜けようとしたとき、横にはトラックの影が見えた。

間に合わないと思い、女の子を歩道の方に放り投げた。


その時、最後に気づいたのは、女の子に向かって駆けてくる母親らしい人物。泣きそうな顔で必死に走っている。


とっさの判断で女の子を放り投げたが、頭は打たないように願った。多少の擦り傷くらいは勘弁してくれ。


そこで、激しい衝撃を覚えて、視界がブラックアウトした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


目を覚ますと、小屋の中に寝そべっていた。


右腕がない。肩口が真っ赤に染まっていた。血は止まっているようだ。じっとしていると痛みは感じなかった。肩口だけでなく、全身がススにまみれていた。


俺は仰向けになったまま、小屋の天井を見ていた。

俺が起きたことに気づいたのかクロちゃんがすり寄ってきた。


ああ、俺はここまで何とか逃げてきたのか。

奴らは、魔族は撃退できたのだろうか。俺がまだ生きていると言うことは、奴らも無事ではないと言うことだろう。そうでなければ、今頃殺されているはずだ。


ホッとしたのもつかの間。いつまでもこうしてはいられないと気持ちが焦る。なんとかして、早くこの辺りを離れなければ。重い体を起こして白いコンテナを抱え上げて、小屋を出ようとした。動くと肩に痛みが走る。

そのタイミングで、遠くの方からキーンという音が聞こえてきた。


慌てて小屋から出て、空を見上げると、また隕石のような火球が降ってきている。救援物資に違いない。


火球を見ていると、ドーンと着地音がした。鳥が逃げていく。方向的には、最初に飛び込んだ崖の向こう側に落ちたようだ。

俺は、痛みをこらえながら、そこへ向かった。


右肩が痛い。必死な思いで5分ほど走って、森の中に落ちたコンテナを見つけた。

今度もコンテナは熱々だったが、冷めるまで待っていられない。魔王軍のプレッシャーが、恐ろしかった。


クロちゃんに右腕にくっついてもらい、白いコンテナを開ける。クロちゃんは金属なので、熱いのもへっちゃらのようだ。


箱の中には、手紙とカバンと液体の入った瓶があった。


手紙を読む。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

拝啓 鉄男様


やっと物資を送れました。ちなみにこの文章を書くのは6回目です。あれ以降、5回もトライしていますが、魔王の邪魔が毎度入って、毎回遠くの海に落とされてしまいました。遅くなってすいません。

あなたが襲われたところを見ていました。あの2人の魔人は、まだ生きていますが、損傷がひどく、一旦国に戻るようです。2、3日は時間ができたと思います。

今回は、物資として2つ用意しました。今回は、無限収納カバン(有限)と、ポーションを送ります。ポーションを傷口にかけてください。欠損が治るはずです。3回分はありますので、大事に使ってください。

次回は、魔法アイテムと衣服を送る予定にしています。届くように工夫できそうなので、次回は届くと思います。

「1度に送れ」って思ったかもしれませんが、妨害が激しく、1度に物資を送って失敗したら大変です。万一、敵の手に渡ることを思えば、こうして数度に分けて物資を送らざるを得ないことをご理解ください。

あと捜索の方ですが、アルメニア大陸からあまりに距離があることと、この海域の危険性から、まだ時間がかかりそうです。正確な場所は伝えてありますが、ここは魔王の支配圏ですので、むやみに近づくこともできません。


近いうちに地図を送ります。それまで何とか生き延びてください。そこから、北に1日ほど海岸沿いに北上したところに比較的安全な洞窟があります。そこへ向かうと良いでしょう。匂いに敏感な魔族もいますので、海に入って匂いを落とすと良いでしょう。

では、幸運を祈っています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


女神の励ましに、ちょっと涙が出る。

ポーションはありがたい。早速、瓶を開けて(右腕はクロちゃんのままでも、不自由はないが・・)、クロちゃんに離れてもらう。かさぶたのようになった右肩の傷口にふりかける。

激痛がして俺は叫んだ。アガががががが!

肉が盛り上がり、肉が沸騰するようにボコボコと暴れ、血まみれの腕がゆっくり生えてきた。めちゃクチャグロい。そして、痛い。骨が軋むような激痛と、神経をほじくり返されるような神経痛。

しばらくすると腕は元どおりになっていた。痛くない魔法とかはないのか・・。女神を少し恨んだが、生えてきただけでも奇跡に近い。

せっかくなので瓶を鑑定してみた。


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エンシェントポーション

アイテム 液体 および 水晶の瓶

2/3 

古代の叡智が詰まった幻の薬。エリクサー、エリクシールなどとも呼ばれる奇跡の傷薬で、DNAレベルでの再生を可能にする。骨や筋肉はもちろん、臓器や脳の欠損などにも効果があるが、脳の損傷に伴う記憶欠損は回復しない。

また、死んだものを再生することはできない。

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続いてカバンを確認してみる。

カバンは、30センチくらいのボストンバッグのような形だった。大きく開いてみて中を覗き込む。宇宙のように星が見えた。鑑定してみる。


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無限収納鞄

アイテム 神獣の皮製 収納容量5万トン

限られた容量を収納するカバン。そういう意味では無限ではない。が、5万トンの容量は、巨大客船を収めるくらいの容量なので、無限ではないが、無限に近い収納力という意味で、一般的に無限収納と呼ばれる。細かいことはいいんだよ。

一説には、この宇宙自体が神(絶対神)の無限収納という話もある。

鞄の口を向けて「収納」といえばそこに近いものを大きさに関わらず中に収めることができる。「取り出し」と唱えて名前をいえば、鞄の近くの安全な場所に取り出される。また鞄自体を「小型化」できるので指輪・腕輪のサイズで持ち運ぶことが多い。

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鞄の説明を見て、ちょっと壮大な気持ちになると同時に、これは使えると思った。早速、白いコンテナを収納してみる。今回、2つ目のコンテナをどうするか、ちょっと考えていたので、これ幸い。

鞄の口をコンテナに向けて収納というと、一瞬でコンテナが消えた。取り出し、コンテナと言うと、同じ場所にコンテナが配置された。

もう一度コンテナをしまい、今度は小型化と唱える。

すると鞄がイメージした通りの大きさになり、荷物にもならない。指輪くらいの大きさにして指にはめる。持ち手がゴムのように伸びてフィットする。これは便利だ。


女神の言葉に従い北の洞窟へ向かうことにする。その前に、砂浜へ戻りいくつかやることを済ます。まず、小屋をそのまま収納鞄に入れた。その後、海に入って煤の匂いを落とす。そして岩場で座り、気になっていたことを知識の書で調べる。


まず、ボーゲンと唱えて本を調べてみた。


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ボーゲン

ボーゲン=ボンバンホーゲン 危険度SS

魔族 通称 烈風のボーゲン 食用ギリギリアウト(魂的に)

クロガネテツオの策に負けて、現在敗走中。ブーゲの直属の部下。激怒状態。

クロガネのことを危険に感じており、いち早く排除すべきと思っている。チョコレートが大好物。

スキル 風魔法Lv9

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危険度増えてるじゃん。

続いて相棒も調べてみる

「バーナ」


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バーナビー=バーナビウス 危険度AAA

魔族 通称 大食のバーナビー 食用ギリギリアウト(魂的に)

魔族の中でも力自慢で、攻撃力に自信がある。「3度の飯より飯が好き」と言うのが座右の銘。クロガネドリルに首から上を破壊された後、再生するも力を使いすぎ、敗走。激怒状態。

スキル 剛力 消化

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やっぱり女神が言うようにあいつらは生きていたようだ。追ってこられないほどは痛めつけたようで、なんとか命拾いした。


あいつらは不死身なのだろうか。一応調べてみる。


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魔族

種族名

大きく分けると人類だが、心臓ではなく魔核によって活動する知的生命体。心臓を魔核に入れ替えることで後天的に人族から魔族化するものもいる。

魔核がある限りは死なず、反対に魔核が破壊されれば、即死する。魔核に蓄積された魔力は、身体欠損の補修や魔法を使うことで失われていくが、食事や休養、その他ドレインなどの魔力補給により回復する。通常は魔核は1つだが、上位個体は複数の魔核を有する。

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なるほど。それで死ななかったのね。今度からは魔核までしっかり潰しておこう。


あと気になるのは、ライブメタルと言う言葉だ。


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ライブメタル

生体金属の総称。ライブメタルは、金属であるが、その特徴として、駆動部分を主として体全体が硬軟自在である。固体化した際の硬度はオリハルコンに匹敵すると言われるほど硬い(多少の個体差あり)。種族により多少の違いはあるが、総じて、理不尽とも言える硬さを誇るため、味方にすれば心強いが、敵にすると厄介極まりない。有名なところでは、リビングメイルや、ソードファントム、また一部のゴーレムやスライムがこれに該当する。通常の金属装備に霊が憑依する憑依系ライブメタルと、金属生物であるゴーレムやスライムなどの生体系ライブメタルの2種類が存在する。

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ライブメタルの硬さをあいつは知っていたのか。それであれほど警戒したのか。


クロちゃんありがとう! キミは最高のパートナーだ。


さて、知りたいことも知れたし、北へ向かおう。


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