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夕日の沈む足下で  作者: 久保ゆう
8/12

僕の気持ち

予行は無事終わり、明日のための準備をしたら帰った。


「冬樹! 行くよ」


僕の手をひいて、学校を出た。



「あの二人付き合ってるのかな? ・・・・・・春奈?」


「ん、わからないけど、違うと思うよ?」


「んー、でも最近よく二人で出かけてるとか噂あるのに」


「噂だから本当かはわからないでしょ。私達も帰ろう?」


「そうだね」



このとき、春奈は嫌な顔をしていた。



「自転車登校?」


「そうだよ。はい、貸すから私を乗せて」


「白石さんの家、わからないよ」


「私がナビ約やるからさ! ね?」


ね?って言われても困るな、とか思いながらも彼女の自転車に腰をかけた。

すると勢いよく後ろに座ってきたからびっくりして体勢を崩しかけた。


「危ないよ! もう、体感鈍ってるんじゃないの?」


「余計なお世話だよ」


ゆっくりこぎ始めた。早くこがないと不安定だと学んだ僕は、少し早めにこいだ。


「お、身体は覚えるの上手」


「まるで僕のことバカって言ってるように聞こえるけど」


「違うの?」


僕はため息しか出なかった。でもそれ以上は言わなかった。

こっちに集中しないと事故りそうなんだよ。自転車乗るの久しぶりだし、ましてや二人乗りなんてしない。これ規則的に大丈夫だったっけ?


「校門出たら、左曲がってね。あ! 春奈と玲那! 明日頑張ろうね!」


言われたとおり左に曲がった。僕は前だけ見ていた、後ろは向けないから。


「ばいばーい!」


「またね! ・・・・・・」


春奈は、今度は微妙な顔をしていた。


「二人乗りとか、青春ね~」


「と、友達でもしてるよ!」


春奈は、二人が付き合っているという噂を信じたくなかった。



「ここ」


なんとかついた。学校から二〇分くらいのとこだった。

羨ましい、僕は家から学校まで電車を使って四〇分かかる。

大学は家から近いとこにしたいな。


「よーっし、イケメンにしてあげるから覚悟しててよね」


「あ、あんまり痛いことはしないで」


覚悟を決めて、美容院に入る。


十分くらいで終わった。


「これ本当に僕?」


兄さんに少し似ている。兄弟なのに似てないと思っていたのは、このボサボサの髪型のせいか。

人を避けるために前が見えないくらい前髪を伸ばしていたけど、それを眉毛に少しかかる程度に切って髪を整えただけでよくなった。


「後ろはサラサラのほうがいいかな。よし、やるよ~」


「僕は人を避けたいから前髪を伸ばしてたんだ」


「避けてたら逆に人から見られるよ。普通にしてればいいじゃない」


正論だ。だから白石さんと少し関わってみた。

そうしたら噂は少しされるけど、前ほどではなくなった。

僕たちがただの友達だということを認識してくれたのか、最近は普通に話せている。


「かっこいいじゃん。目元がはっきり見えるし」


よく褒めてくれる。少しだけ嬉しかった。


「ありがとう」


僕は鏡越しじゃなくて、ちゃんと白石さんの目を見て伝えた。


「ん、いいよ。本当に私の彼氏にならない?」


「冗談だろ」


「またそれ~? なってくれたら嬉しいんだけどな」


「僕みたいな内向的な人じゃなくて、もっとスポーツマン狙ったら良い」


「私内向的な人が好きなんだけど。まだ惚れてはないけど」


「惚れてないってことは好きじゃないってことだよ。ただの友達でいいじゃん」


「まあ、そうね。そのほうが楽しいよね」


そうだよ、ただの知り合いっていうのが一番いい付き合いだ。

もし僕が白石さんと付き合って、いつか別れるとしよう。別れた後、僕たちは面と向かって友達のように付き合うことが出来るだろうか。白石さんが出来たとしても僕は出来ない。


「お礼は、他でする」


「じゃあひとつ」


「もう? 早いな」


「簡単なことよ。誰にでもできる」



次の日の、文化祭__。



「え、わ、渡辺君?」


「目元はっきり見えてかっこいいんだけど」


「彩花がやったの!?」


「そうだよ、どうよ。かっこよくしてあげたわよ」


上から目線で言われたけど、僕は怒ってはいなかった。

ただ普通になれて嬉しかった。これで近所の人に比べられることも、少しはなくなるかなと思った。

自分から変わっていけばいいんだ、と気付かされる。


「ねえ、二人って付き合ってるの?」


「ないよ、一生ない」


僕は断然否定した。

白石さんのおかげで、他の人とも少しだけ話せるようになった。

でも関わりすぎないようにした。男子の視線が怖いからだ。

比べられるのも嫌だけど、虐められるのも嫌だ。

できるだけ交友関係は片手で数えられる数にしておこう。


教室のドアを開け、「おはようー」と滝谷さんが入ってきた。

周りの人が「渡辺君、髪切ったんだよ」と僕に視線を向けるように言う。

彼女は僕のことを見てすごく驚いていた。でもすぐに視線をそらし、女子と一緒にメイド服に着替えていった。


「ぼ、僕、着替え行くから」


女子に囲まれるのは慣れていない。

トイレに行ってすぐに着替えた。そして制服を持って教室に戻り、鞄にしまって、空き教室に置きに行った。その空き教室にメイド服に着替え終わっていた滝谷さんとその友達がいた。

でもなんだか様子がおかしかった。仲良く話しているようには見えない。

僕はジッとその様子を眺めていた。すると滝谷さんは僕の視線に気付き、無視するように視線をすぐ戻した。

ああ、これは、前に言っていたやつか。

滝谷さんは男子に人気だから女子に目をつけられやすい、という話。あれは本当だったのか。

僕は、その教室を出ようと思った。逃げようとしたんだ。でも足が動かなかった。

見た目だけじゃなくて、中身も変えないといけないと、心のどこかで思っていたからだ。

僕は拳を握りしめて、一息ついてから、あの女子の塊に入っていった。


「あ? 誰、あんた」


「かっこいい・・・・・・」


怖かった、ギャルみたいだった。


「そ、その子の、友達」


声が震えていたけれど、しっかり言えた。

滝谷さんは僕のことを見て驚いていた。


「友達? どうせこの子のこと好きなんでしょ。私は彼氏をとられてムカついてんの、邪魔しないで」


とられた、という言葉には間違いがある。多分、告白されただけだろう。

滝谷さんにだって彼氏はいる、僕の兄さんだ。


「浮気するほうが悪いだろ。滝谷さんは、告白されただけだ」


ギャルたちは、確かに、という顔をして滝谷さんを見る。


「ごめん、八つ当たりみたいなことした。何もしてないのにせめてごめん」


意外と素直なギャルだった。言えば分かってくれる人達なんだな。安心した。

ギャルたちは

すぐに教室を出て行った。

僕も安心したら教室を出ようとすると、腕を掴まれて引き留められる。


「あ、ありがとう」


顔を真っ赤いして、恥ずかしそうに言った。

意外なことをする僕に驚いたんだろうな。

僕は「ううん」と言ってすぐ自分の教室に戻った。


「冬樹、午前回れる?」


白石さん、あ、いや彩花にそう言われた。


「回れる」


昨日、僕は自分の髪型を変えてもらった代わりに一つだけ彼女の要望を聞いた。

そうしたら僕に、名前で呼んでほしかったみたいだった。

ちゃん、も、さん、もつけない、ただの呼び捨てで。

僕は緊張したけど、家でずっと練習していたら少しだけ慣れた。


「彩花って甘い物好き?」


僕は名前で呼んでみるために、意味のない質問をした。


「大好き! 隣のクラスがスイーツ出すんだよね、行こう?」


「うん」



教室内がザワザワした。


「彩花って、言った?」


名前で呼んだだけでそんな大げさにならなくても言い気がする。

そういう年頃なんだろうな。


「友達なんだから、名前くらいいいんじゃない?」


春奈はそう言って場を和ませた。


「まあそうだよね。みんな言い合うもんね」


「そうそう」


春奈は昨日のように、少しだけ焦っている。

その様子を冬樹は、見ていなかった。



そして文化祭が始まった。


「全部まわろう」


「昨日回ってないところだけでいいじゃん」


「わかってないな~、楽しみたいでしょ! お化け屋敷行こ」


僕は適当に返事をした。お化け屋敷とか久しぶりだ。

暗いところは好きだし、きにしないけど。


お化け屋敷の次は、輪投げや人探しゲーム、体育館に行ってダンス部の鑑賞をした。

そしてシフトが入る前に、スイーツを食べに行った。


「ん~、美味しい!」


「そうだね」


「あれ、冬樹じゃん」


僕は驚いて咳込みをした。兄さんがいた。


「な、なんで兄さんが?」


僕は招待券を渡していない、来てほしくないからだ。


「春奈にもらったよ」


「え、春奈の付き合ってるあのイケメンって冬樹のお兄さんだったの?」


「!」


心臓の鼓動が速くなった、今度は何を思われるんだろう。


「そうだったんだ。兄弟そろって顔整ってて羨ましい」


「え?」


予想外だ。滝谷さんのときもそうだったけど、女子はあんまり差別化しないのかな。

すごく安心した。


「髪切ったんだな。かっこいいじゃん。彼女?」


「違うよ、ただの友達」


兄さんはびっくりしていた。僕に友達ができて嬉しいんだろうな。


「よかった。じゃあ俺、これから春奈とデートだから」


兄さんは何も思わないでそう言ってるんだろうけど、僕には嫌味に聞こえた。

そして僕の教室に向かった。


「かっこいい」


いろんな人が学校に来ていたが、他の人よりもかっこよかった。

本当に、他人までも目を惹かせる。

僕たちはスイーツを堪能したらシフトに入った。

昨日よりも凄い人が来ていて大変だった。

今頃兄さんと滝谷さんは楽しく回ってるんだろうなと考えると、嫉妬した。

僕が兄さんだったらよかったなと思った。

滝谷さんは年上が好みで面食いという話を聞いてはいたが、本当なんだな。

僕なんか、相手にしてくれるわけないってわかってるのに、夏まで彼女に関わった。

僕は彼女のことが気になっていると言ったけど、それ以上だった。気になり過ぎていた。

多分、花火大会の日、いや、その前から、いつからかはわからないけど、彼女のことが、好きだった。

今でもそうなのかもしれない。

僕が滝谷さんに友達だと思ってない、と言ったのは、友達以上の気持ちを抱いていたからなんだろう。

友達だったのは、最初だけだったのかもしれない。

なんて、考えてみたけど・・・・・・。


「冬樹、ケチャップとって!」


「ん」


恋なんてしたことなかったから、これが本当に恋なのかあわからなかった。

確信が持てないままでいた。

相談出来る人がいないから、僕はこの気持ちを恋と名付けるには早すぎる。


「彩花」


僕は彩花に相談をしようと思った。

酷く思われようと関係ない。

でもこの気持ちが本当に恋だったら僕はどうするつもりだろう。

兄さんから滝谷さんを奪うのか?いや、そんなことできるもんか。

滝谷さんが悲しむだけだ。二人を傷つけてどうするんだ。

この気持ちの意味を知ったって、意味がない。

意味ないんだ。


「いや、なんでもない。頑張ろう」


「うん!」


なら、聞く必要はないな。知らなくていい。

鍵をかけて、心の奥に閉まっておこう。いつか忘れるだろう。

それよりも僕が今できることをすればいいんだ。




文化祭は、あっという間に終わった。

後夜祭が校庭で始まっていたが、僕は興味がないから教室でその様子を見ていた。

全員出ないといけないっていうのが嫌だよな。教室の中からでも校庭は見えるから、行かなくても良い。

でも今校内にいるのは僕だけだろうな。

外を眺めていると、自分のクラスの生徒を見つけた。


あ、彩花だ。友達と楽しそうにしている。

なんだ、友達いるじゃん。友達少ないとか言ってたけど僕に気を遣うための嘘かな。

そして一つだけ気になっていたことがある。彼女だけが見つからない。


「ここにいたんだね」


びっくりして声の聞こえるほうを見ると、教室のドアの近くに滝谷さんがいた。

ああ、だから校庭にいなかったのか、と納得した。


「行かないの? もう始まってるよ」


彼女は僕の前の席に座った。


「行かない」


それよりなんでまた僕に話しかけてきた。もう何ヶ月も話していないし、僕は滝谷さんに友達だと思ったことはない、と酷いことを言ったのに。


「なんで話しかけてきたのかって、思ってるでしょ」


図星だったから、目線を彼女に向けた。

滝谷さんは真顔だった。

いつも笑っているから驚いて、ずっとその目を見ていた。

初めて見る、彼女の顔だ。


「ふふっ、やっぱり?」


唖然としていた僕を見て、またいつものように笑った。

少し怖かった。


「あの花火大会の日から、二ヶ月以上も話してなかったもんね」


あの日、滝谷さんは僕に聞いた。兄さんと付き合っても、自分といつものように遊んでくれるか、と。

僕はその質問にわざと答えなかった。答えたくないからだ。

いいよって言ったって、兄さんに悪い。いやだとも言いたくなかった。

だって彼女との日々はいつも楽しかったから、終わらせたくないんだ。


「あなたも寂しいって思ってるのかと思ったら、最近ずっと彩花と楽しそうに話してる」


「彩花とは恋愛とかの関係じゃない」


「わかってるよ!」


僕は、またびっくりした。こんな大きな声出されるのは初めてだ。

今日は初めてと驚きが多いな。

彼女はハッとしたように我に返り、悪そうな顔を見せた。


「ご、ごめん」


僕は「ううん」と視線を下に向けて言った。

なんか様子がおかしかった。

文化祭準備期間も、注意力が欠けていたのを僕は気付いていた。ていうかわかりやすかった。

ドアに頭をぶつけたり、お皿を落としそうになったり。みんなに心配されるくらい。

僕も少しだけ心配した。兄さんと何かあったのかなと疑った。


「兄さんと、何かあったの?」


無意識に聞いていた。僕は途中で聞いて良かったかな、と焦ったが、滝谷さんは平気そうだった。


「何もないよ、順調だよ」


席から立ち上がって、窓に背中をつけた。

その笑顔に嘘はなかったから、ムカついた。

そのせいだろう、僕は立ち上がって、彼女の目の前に立った。そして逃げられないように壁に両手を当てて彼女を囲んだ。これがよくいう壁ドンってやつだと実感した。

滝谷さんは目を見開いて驚いていた。


「な、何?」


驚きを隠さないためか、僕に余裕を見せているのか、それはわからないけどずっと微笑んでいた。

こんなにも真剣な顔をしている僕の目を、見てくれなかった。


「僕の目、見て」


そう言っても、恥ずかしそうにしていて全然見てくれない。

なんでだろう、そんなに僕の顔見たくないかな。


「渡辺君、変だよ」


よく言われる。


「滝谷さんが変だよ。準備期間中だって、注意力が欠けてた。何かあったなら、言えばいい」


そういうと、滝谷さんから微笑みが消えた。

髪でよく目元が見えないけど、僕に言えないことがあるというのはすぐにわかった。

もしかしたら僕が原因なのかもしれない。

だけど何かした覚えはない。花火大会のことでは、ないと思う。

だって最近は、僕はずっと彩花と話していたし、滝谷さんと話してはいなかった。

今朝滝谷さんを助けたときが、一番まともに話した時間だった。

ん、待てよ。

僕はずっと、彩花といた?


「も、しかして・・・・・・、ヤキモチ妬いたの?」


滝谷さんはピクッと肩を動かした。

そうなのか。


「僕がずっと、彩花といるから。ヤキモチ妬いたの?」


やっと、僕の顔を見た。顔を真っ赤にしていた。

僕は恥ずかしくなって、彼女につられて顔を赤くさせた。


「そうだよ! わ、悪い?」


負けずと言い返してくる。


「彩花のこと可愛いって言ったり! 二人共名前で、呼び捨てで呼び合ったりして! 昨日の帰りだって、二人で仲良く自転車乗っちゃって! 文化祭だって二人で回ってる! みんな付き合ってるんじゃないかって噂してるんだもん!」


意外だった。そんなこと思ってたんだ。


「私が! 私が一番最初の友達なのに・・・・・・」


泣きそうな、苦しそうな声だった。

そして最後に言った言葉が、僕の理性をぶっ壊した。

何故か愛おしく思えて、僕は彼女を抱きしめていた。

何が起きているのかわからなかった。

僕は何をしてるんだろう。こんなことしてはいけないのに。

もしかして、本当に僕は滝谷さんに・・・・・・。


「バカじゃないの、兄さんと付き合ってるくせに、嫉妬なんてするなよ」


嬉しかった。


「僕だって、兄さんに嫉妬してるよ。ムカついたりもした」


僕が兄さんだったらいいのにって、考えていた。


「ふふっ、バカじゃないの? 彼女持ちの男に嫉妬したんだ」


僕と同じような言い方をして、言い返してくる。

どっちもどっちだ。僕はクスッと笑った。


「そうだよ、僕よりも先に兄さんに出会って、兄さんに恋してるのが嫌だった」


これが恋なんだ。僕は、滝谷春奈が好きだ。


「僕が先に滝谷さんと出会っていれば、もっと違う付き合い方ができたのかな」


「私は、裕樹の次にあなたに出会えてよかったよ。じゃないと、ヤキモチ妬いてくれなかったでしょ」


意地悪なことを言う。僕は、笑いがこみあげてきた。

確かにそうだ、と思った。

あの入学式の日をきっかけに、始まったんだ。

人を避ける僕を、滝谷さんが気になってくれたから。

しつこかった滝谷さんに、僕が今まで付き合ってきたから。

だから今、こうして好きな人を抱き、抱かれるんだ。


「やっと私のことみてくれて嬉しい」


彼氏がいるくせに、と思ったけど、それよりも嬉しさがこみあげてきた。

まるでずっと僕に見てほしかったでも言っているようだ。

僕は滝谷さんに出会えてよかった。


抱きしめていた手を緩めると、彼女もゆっくり離れた。


「ご、ごめん。よく考えたら僕だめなことしてる」


「なんで? いいじゃない、友達でしょ」


前にもそんなことを言われたけど、今は前みたいな気持ちにはならなかった。

友達だから、いいんだよな。


「そう、だな」


友達だから、今の楽しい関係が続くんだ。

今の関係に感謝しなきゃな。


「冬休み空けておいてね?」


「うん。ていうか、いつでも暇だし」


「あははっ、本当に友達いないのね」


「さ、最近は、努力してるつもり」


「だから髪切ったの?」


僕は照れくさそうに、「ん、まあ」と言った。滝谷さんはいつものようにニヤニヤしてバカにしてきたりはするけど、全てがどうでも良く思えて、一緒にいるだけで幸せだった。

恋って凄いなと思った。


心の奥に閉まっていた気持ちは、誰に聞かずとも自分で気づけた。

恋だ。これが恋なんだ。


とてもきもちよかっった。


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