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夕日の沈む足下で  作者: 久保ゆう
4/12

夏がちかづく

何日か過ぎて、僕は学校の生活に慣れた。

もう夏が近づいてきている。当たり前だが友達はつくっていない。


ある朝、僕は眠たい身体を起こして、朝食を作ってテレビを見ながらゆっくり過ごしていた。


「今日も晴れか」


僕は密かに喜んでいた。運動競技の中で一番得意な陸上をやるんだからな。


はりきって制服に着替えていた。


陸上競技以外はできないから、これで成績を上げておこう。


オール5をとるんだ。兄さんに負けないんだ。



電車に乗ると、ラッシュで息が上がっていた。

きつすぎる、もっと早い時間に家を出るべきだった。

1つ前の駅に着くと、人は流れるように車内から出る。

そして今度は倍の人が入ってきた。


「ん、きっつ」


「あっ!」


同じ学校の制服を着ている、女子。確か同じクラスの、滝谷春奈だっけ。

トンッと僕の胸に飛び込んでくる。


「ご、ごめんなさ・・・・・・って、あなた」


「ラッシュだし、仕方ない」


茶色の髪に、青い瞳。

ていうか女子特有の匂いってこのことか。香水ではないな、でも良いにおいがする。

・・・・・・俺の変態。


「渡辺君、だよね」


高校に入って、初めて名前を呼ばれた。


「いつも何読んでるの?」


僕は何も言わなかった、答える気もない。



「なんで、わざと人を避けるのよ」




僕は気がつくと、彼女を見ていた。



「あ、着いちゃった。また話そうね?」



僕は駅のホームで立ち尽くしていた。


誰かに、あんなことを言われるのは初めてだったんだ。

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