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あれから二年が経った
ブーッ、ブーッ
一人の男子部屋に鳴り響くスマホの音。
「ん・・・・・・、なんだよ。もう朝か」
スマホの目覚まし音を止めて、起き上がる。
眠そうにカーテンを開けると、まぶしい光が目をかすませた。
「講義は、ないのか」
洗面所で顔を洗い歯を磨いた後、キッチンに行って料理の準備をする。
冷蔵庫からは、ソーセージ2つと卵を1つ、春キャベツとトマトを出した。
鼻歌まじりに料理でもしようかと思ったが、女子じゃあるまいしと口を紡ぐ。
「あ、忘れてた」
髪をぐしゃっとしながら足を動かし、戸棚の前で立ち止まる。
「おはよう、滝谷さん」
片手に写真立てを持って、そう言った。
「今日は散歩に行ってくる」
セーラー服を着て、指でピースをつくって微笑んでいる。
その隣にはめんどくさそうな顔をした男がいた。
「いつ見ても、俺って無愛想だな」
クスッと笑って、写真にやさしく触れていた
「滝谷さんが死んでから、二年経ったんだよ。もう大学二年生になりそうだ」
今は冬だ。
「春が近づく季節だよ」
かすんだ、辛そうな声をしぼらせて呟いた。
僕たちの青春は、二年前の冬に終わりを告げた。