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アリサ- 第3章  作者: 稔~minoru
9/11

アリサ 3/9

3月吉日、桜の蕾が生まれた頃、高校の卒業式が行われた。

ショーとアリサ。京子たちが県立大学に決まった。

毎日、ショーはアリサの家に来ている。レストランインファントで、スタッフとして。アリサも、大きなお腹で働いている。

そんなアリサを頼もしく見ている、アリサママ。

ショーは、アリサを、お腹の子供をと、よけい、気をつかっている。

「大丈夫だから。」

ショーママが言うが、心配で心配で、パパらしくアリサのフォローに回っている。

レイコ。まだ赤ちゃんの首が落ち着かないので、赤ちゃんの籠に入れられて、インファントに来ていた。

ショーママとレイコママ。アリサママに構われて、喜んでいる、女の赤ちゃん。

レイコは、この時ばかりと、アケミにシズカにと、話を聞いてもらっている。

そして、高校最後の日。

式の前に、ママさん達が、アリサと仲間達をカメラで撮っている。

マタニティドレスに、制服を着たアリサ。

「もう少しで会えるの。」

汗をぬぐって言う、アリサ。

体育館で、中々と、学園長の話を聞いた、学生達。

ママ、パパは、感動している。

アリサを見る、仲間達。

神妙に聞いているアリサとショーを見て、黙った。

「卒業生のお言葉。」

スピーカーから流れる。

「海渡アリサ。鈴木ショー。」

例年では、ひとりだが、今年、アリサとショーのふたりになった。

父兄の中には、何故女の子がと言う人もいたが、出席順と言われ、納得した。

アリサとショー。

「…、この日を迎え、……。」

祝詞を述べる。

「卒業生代表、……。」

学園長に渡したショーとアリサ、ショーが先に降りて、アリサをサポートする。

「アリサ。」

「大丈夫よ。もう少しだから。」

汗が流れている。

座るとき、アリサが崩れた。

「痛い!」

ショーの腕に爪を立てる、アリサ。

ざわめく卒業式会場。

先生達が、アリサのところにきた。

「男の人、先生、遠慮して下さい。」

ストレッチャーが、会場に入る。

病院のドクター、ナースが、アリサのこと心配で、卒業式に来ている。

「ストレッチャーに。」

言う、ドクター。

ショーがアリサを、お姫様抱っこして、ストレッチャーに乗せる。

周りの女子学生達が、黄色悲鳴を。

「保健室に。」

言う、ドクター。保健の先生とドクター、ナース達が、アリサを見ている。

「ここで産みます。」

ドクターが決定した。

「アリサちゃんの身体、赤ちゃんを産む準備に入っています。」

卒業生が、在校生が、教室にいる。

父兄も、誰も帰らない。

ショーとアリサママ、ショーママ、アケミが、服を着換えて保健室に入った。

アケミの持って入ったカメラから、音声が教室に流れていく。

苦しい中、ショーはアリサの手を握ることしか出来ないのか、と、思った。

アリサママが、ショーを見て、

「ショーがそばにいることが、アリサの力になるのよ。」

汗を拭く、ショー。

「ショー。」

陣痛の中、口を濡らすアリサ。

保健室の中、誰かが言った。

「ショー君。結婚は?」

アリサが、薄目で見ている。

「まだです。」

ショーが。

「えぇ~!」

みんながショーを見た。

「赤ちゃん、父無し子にするの!」

怒るドクター。

アリサママが教会のシスター牧師にスマホしている。

「産まれた?」

シスター牧師が来て、ひと言目の言葉。

「まだ。」

みんなが首を振った。

「そう、じゃ、結婚式を挙げるね。」

シスター牧師の言葉に傾ける、ショーとアリサ。

陣痛の波が短くなっている。

シスターの言葉が教室に流れる。

ひとりで聞くもの。

好きな人とふたりで聞いている人々。

仲間が集まって、手を握っている人達。

ショーママが、結婚証明書をパパとカオルに渡した。

「すぐ走って。産まれる前に。」

ママの気迫に驚いたふたりが、市役所に走った。

レイコが、赤ちゃんとレイコママ、ユキコと来た。

「どうなの?」

アリサの仲間に聞く、レイコ。

まだ、産まれないのと、聞いたレイコ。

「アリサ。かわいそう。」

「こんなに苦しんでいるなんて。」

女の子達が言った。

「これも、お母さんになる為の儀式よ。」

レイコが、赤ちゃんにおっぱいを飲ませながら言った。

「かわいい。」

集まる、女の子達。

女の子にほっぺたを突かれながら、元気に飲み続ける、赤ちゃん。

納得する、女の子達。

教室で、廊下で、誰ひとり帰らない、学生達。

スピーカーを見ている。

いつも、ツッパッている学生達。

「なんで、ここにいるのよ!」

「終わったンだから、帰ろう!」

言う、学生が。

言うだけで、動かない学生。

「なんでいるのかな?」

夕日を見ながら、口走った。

「もう少しよ。」

「頑張って!」

スピーカーから聞こえる。

そして……。

産声を上げる、赤ん坊の声が。

教室に響いた。

ドクターが言った。

「元気な赤ん坊。」

「アリサ、ママに、おめでとう。」

「抱く?」

うなずく、アリサ。

ドクターがアリサのお腹に赤ちゃんを置いた。

「おはよう。私の赤ちゃん。」

「パパ、抱っこして上げて。」

ショーは、アリサに置かれた赤ちゃんを撫でながら、言った。

「産まれてくれて、ありがとう。」

「……。」

「よかった。」

ふたりで話す、イヤ、産まれた赤ちゃんと、親子3人で話す、アリサとショーがいる。

「なにを聞いているのかな。」

産まれたばかりの我が娘を触りながら、ショーとアリサが。

短くて、長い時を過ごす、3人。

アケミが、ママが、カメラにスマホに収めている。

アリサママが、ショーママが、レイコが、赤ちゃんを抱いている。

パパが、カオルが、抱きたいと、窓ガラスを叩く。

レイコが意地悪して、満身の笑顔で答えた。

アケミの腕によって、編集される、カメラ。

「京子さん。いる?」

担任の教師が、保健室から出て、探した。

「アリサさんが呼んでいるの。」

枕を背もたれにしている、アリサ。

「京子。」

「赤ちゃん、抱いて。」

言う、アリサ。

「いいの。」

うなずく、アリサが。

「ウン。ありがとう。」

抱いてほしいからと、危ない手で、赤ちゃんを京子にと、渡す。

ドクターが、介助して、京子が抱いた、アリサの赤ちゃん。

初めて抱いた、赤ちゃん。

「小さい。」

「こんなに小さいなんて…。」

泣きながら、話す、京子。

「京子の赤ちゃんも、抱かせてね。」

うなずく、京子。

保健室の外では、京子のママが、パパが泣いている。

スピーカーから流れる声に、泣き出す、学生達。

「なんでこんなに、出るンだよ!」

「涙じゃないぞ!」

言う、学生も。

保健室の廊下に集まった、教師の皆さん。

「今日の卒業式。1番、思い出に残るね。」

学園長が話をした。

「どうして?」

学園長を見る、学生達。

「卒業式に、結婚式に、あの子が産まれたのだから。」

「すごい!」

感動する、学生が。

「でも、ショーとアリサ。子供になんて言うのかな?」

「誕生日が、パパとママの結婚記念日で、高校の卒業式なんて…。」

言った女子学生を、みんなが見た。

「どうしたの?」

「なんでもない!」

「親が悪かったのよ。って、言うかもね。」

マイクが、聞いている。

教室で廊下で笑う人達。

赤ちゃんは、産衣を着て、アリサと病院に行くことになった。

アリサと赤ちゃんと、スマホに収めている。

アリサと3ショット、撮る学生が、卒業式の前に並んだ姿の写真を撮りたいと、言う。

アリサを真ん中にして、並ぶ仲間達。

「今日一日で、ひとり増えたね。」

「スイカのお腹が、へっこんだ。」

からかう、仲間。

ナースが、車イスを持って来た。

「初めてなの。」

アリサが座って、赤ちゃんを抱いた。

保健室で、廊下でアリサとショーにお祝いの言葉をかける学生達。

ショーが、ゆっくりと車イスを押す。

「ありがとう。」

いう、アリサとショー。

アリサママが、ショーパパ、ママが、後ろについて歩く。

学園長に、教頭に、教師に、お礼をいう、パパが、ママさん達が。

スマホで撮る学生達。

病院の自動車に乗り込む、アリサとショー。

「この子にこんなに祝ってくれて、ありがとう。」

アリサが、ショーが、お礼を言った。

大歓声が上がった。

それにビックリして、泣き出す、赤ちゃん。

学校を出た自動車をいつまでも見送る、学生達だった。



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