アリサ 3/8
1月の土曜日、レストランインファントにモーニングを食べに来た、カップルが、止まった。
ドアには臨時休業の紙が。
「何かあったのかな。」
店の中から、子供達のにぎやかな声と、女の人の怒る声が聞こえる。
ドアに手をかけた。
「あら、いらっしゃい。」
スタッフのお姉さん達が、子供たちを相手にしながら迎えてくれた。
「今日、休みですか?」
カップルの女の人が聞いた。
「ママさん、体悪いのですか?」
「ある意味ではね。」
子供たちにおにぎりを食べさせているお姉さんが言った。
顔を見て笑う、お姉さん達。
「今日、明日、アリサちゃんとショー君のテストなの。」
「アリサちゃん。あの身体でしょう。」
「アケミは大丈夫なんだけど、ママが、上がって、昨日も、皿割ったの。」
「3枚も。」
笑う、お姉さん達。
「ってことは?」
「アリサちゃんの付き添い。」
笑う、お姉さんに子供たち。
「じゃあ、行こうか。」
言う、カップルが。
「店、開けないけど、ゆっくりして行って。」
「ただし、ジュースは、コンビニでね。」
お姉さん達が言った。
「いいのですか?」
うなずく、お姉さんと子供たち。
大学の入試試験。
会場の県立大学には、多くの学生と、ママ、パパが来ていた。
赤いハッチバックが、校門についた。
アリサとショーを見つけた、京子たち。
「おはよう。」
挨拶をする。
ショーママは近くのパーキングにと、入れに行った。
マタニティドレスのアリサ。多くの学生達の注目の的である。
ショーとアリサを囲んで、大学に入った学生達。
アリサの赤ちゃん日記を見ている女の子達は、指を指して言っている。
アリサママとショーママ。
「アリサちゃん。何かあったらショーに言うのよ。」
「ハイ。ママ。ママさん。」
笑う、アリサ。
「俺には!」
「ショー君は大丈夫よ。」
「アリサちゃん。泣かしたら解っているね!」
「ハ、ハイ。」
「ママさん。プレッシャー。」
「大丈夫よ。一発合格するから。」
「頑張れー!」
手を振る、ふたり。
京子ママも、仲間達のママさん、パパも、振っている。
「ママの方が心配。」
誰かが言った。
「どこの親も同じよ。」
御守りを見せる女の子。
10個ぐらいついている。
「合格の御守りと、安産祈願の御守り。」
アリサが見せた。
「ネェ、あなた、海渡アリサさん。」
声をかけた女の子が。
「ホンモノに会えた。」
「同じ高校生なんだ。」
集まる、学生達。
ガードマンが、試験官が駆けつける中。
「合格するぞ!」
「アリサさんと大学生活送るわよ!」
気合い入れる、学生達。
夕方、大学の校門にママ達が並んでいた。
付き添いの家族と帰る学生達。
アリサたちを見つけたママさん達。
「どうだった?」
聞きながら、インファントに走った。
インファントでは、子供たちが遊びつかれて寝ている。
スタッフのお姉さん達が、何人もの常連客が、華を咲かしていた。
「たいへんね。」
アリサママ達が見ている。
「モーニングにと来たんだけど、弁当買って居座っちゃつた。」
言う、カップルのお姉さん。
「お客さん、たくさん来たよ。」
子供がママと話している。
「アリサちゃんとショー君の話ししたら、他に行ったの。」
スタッフのお姉さん。
「その中、この人達、駄弁りに来たのよ。」
「デートなのに?」
笑う、アリサママ。
「朝のデートに居座っちゃつた。」
言う、カップルに、夫婦。子供を連れたパパさんママさん達。
「で、どうだったの?」
聞く、お客さんが。笑って答える、ショーにアリサ。
雑貨店、インファントで、試験問題を見直す、学生達。
「明日も、臨時休業にしますか?」
アケミがママに言っている。
アリサたちの叫び声が聞こえる。
ママさん達の差し入れを食べたショーたち。
明日、またと、帰った。
「アリサ。うちで預かろうか?」
アリサママとショーママが話している。
アケミと、店で寝泊まりしているスタッフのお姉さん達を残して、アリサがママとショー君家に行った。
「どうだった?」
レイコさんが、大きいお腹で迎えてくれた。
レイコママに、レイコの姉のユキコも来ている。
3人のママに看取れる、ふたりの妊婦。
圧倒されたショーが、何か手伝うことないかと、聞いている。
「ショーはアリサちゃんと、明日の勉強!」
レイコにカオルに、見守られている。
晩ごはん、レイコにアリサは、よく食べる。
ショーパパ、カオルが、驚いている。
「いつもの倍かな?」
言うふたりに、そこまでじゃあない。と怒るアリサとレイコ。
「でも、産まれたら、ダイエットしないと、いけないね。」
言う、レイコ。
子供がいるのに、モデルのようなママさん達。
アリサも、毎日見ている。
怪獣の巣から、秘密基地に上がった、ショーの部屋。
机には、ショーがベッドの中で読んでいる本の山がある。
ペットボトルにお茶を入れて、ベッドに入ったふたり。
夜中、体を揺さぶってショーを起こした、アリサ。
「部屋の外が騒がしいの。」
アリサが言った。
カオルの部屋から、ママたちが出てきた。
「産まれそうなのよ。レイコさん。」
ゆっくりと1階のリビングに降りた、レイコ。
カオル、レイコママとユキコさんに付き添われて、病院に向かった。
「大丈夫?」
見守ったアリサが聞いた。
「大丈夫よ。それより、アリサとショーが心配。」
「早く寝なさい。」
言ってくれる、ママさんふたり。
朝、会場に、アケミ姉が来ている。
ふたりを送った、アリサママとショーママ。
「あと、お願い。」
ショーママが病院に走った。
アリサ達が試験会場から出てきたその足で、病院に走った。
何台もの、自動車が、病院の駐車場を占領している。
アリサに京子、仲間の女の子が、ガラス越しに、レイコの赤ちゃんを見ている。
「かわいい。」
目がトロける女の子たち。
ドクターが、かわいいだろうと、後ろから言った。
あの赤ん坊が、18年経ったら、また赤ちゃんを産むんだから、言う、ドクターに笑う、ナースのお姉さん達。
「不思議よね。」
ナースのお姉さんが。
「私が取り上げた子が、子供を産むなんて。」
ドクターが、ため息をついた。
「年も取るはずよね。」
ナースが。
「言ってはダメ!」
ナースのお姉さん達に突っ込みを受けたナース。
レイコママに花束を持っていったアリサ達。
ドクターに、ナースに、花束渡すだけと言われたのに、華が咲いて、ドクターから、ストップがかかった。
「今日、産んだところだから、ママ、休み取らないとダメなの。」
言われて、病院を後にした、アリサ達。
アリサの赤ちゃん日記には、大学試験の事と、ショーがおじさんになったこと
が書かれた。
アリサとショー、赤ちゃんの写真を載せて。
その何日か後、赤ちゃん日記に、レイコママの怒りの言葉が。
レイコが病院に走ったというのに、レイコパパは、着るものを探し回って、レイコが帰るまで、片づけなかった。
レイコの兄さんは、モーニングを、食べてから、病院に来た。
兄さんの恋人さん、呆れて、怒っている。
ママさん達は、いつものことだから、慣れなさい、との、アドレスが。
レイコさん。子供を連れて、実家に帰ったとき、すぐに、ショーの家に行ったと、書いている。
家が、ママさん達、鳥肌が立ったと話が載っている。
読んだ、学生のママさん達から、励ましの言葉がたくさん届いた。




