表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリサ- 第3章  作者: 稔~minoru
10/11

アリサ 4/1

4月。

青空の中、桜の花咲く、その日。

アリサとショーは、大学の入学式に来ていた。

アリサの持っている籠に、赤ん坊が寝ている。


退院してから、アリサとショーは、インファントでいた。

レストランで、赤ちゃん用の籠におとなしく、入っている、ふたりの子。

おとなしくしていると思えば、泣き出す、我が子。

18歳の新米ママとパパが、よって来る。

それを見ている、お客さん達。

「この店で、また赤ん坊の声を聞くとは。」

目を細めて言う人も。

「今度はどっちだ。」

パパがお尻をかいだ。

「臭!」

奥に連れて行く、パパ。

少しして、アリサを呼ぶ声が。

「タオルくれ!」

笑うに笑えない、お客さん。

いつ起こされるかと、アリサもショーも、疲れている。

モーニングに来る、ショーママとレイコ、籠に寝ている赤ちゃん。

ふたりを見ている、ショーママとアリサママ、そして、レイコママ。

アリサママのママが、孫を見に来る。レイコのママも同じで、来ている。

3人のおばあちゃんと、ふたりのひいおばあちゃんに任せて、アリサ、ショー、レイコが2階に上がった。

その間も、アリサの仲間達が来て、赤ちゃんと遊んでいる。

「私のときはね。」

赤ん坊の苦労を話す、おばあちゃん達。

「そうなんだ。」

聞きながら、赤ちゃんからオシッコをかけられる女の子たち。

「あんたもかけたのよ。ママに。」

ママさん達から言われた、アリサの仲間達。

「赤ちゃんって、ミルク飲んで、ウンチして、大きくなるのよ。」

笑う、お客さん達。

「笑っているけど、あなた達だって、赤ちゃんの時は、飲んで、ウンチして、ママをパパを困らせて大きくなったのよ。」

「帰ったら、聞いてみなさい。ママに。」

言う、おばあちゃん達。

「ひとりではたいへんなことだけど、アリサちゃん、赤ちゃん、みんなに大事にされていいわね。」

言うママさんに、子供たちが、

「おままごとしているみたい。」

赤ちゃんにと、女の子たちがミルクを飲ませている。

「遅いね。」

「飲んでいるのかな?」

哺乳瓶を上げてみる女の子たち。

赤ちゃんが、突然おっぱいなくなったので、泣き出した。

笑って見ている、ママさん達。

「遅いね。」

「疲れた。」

誰かが飲みやすくするために、哺乳瓶の蓋を緩めた。

緩め過ぎた。

赤ちゃんの顔にかかるミルク。

「ハイ、ハイ。」

おばあちゃん達が、赤ちゃんの顔を拭いている。

女の子たちは、硬くなっている。

笑って話す、おばあちゃん達。

「みんなするのよ。」

「また、ミルクお願いね。」

喜ぶ、子供たち。


そして、迎えた入学式。

アリサママが、ショーママが、一緒に来ている。

アケミが、カメラをまわしている。

京子たちも加わって、桜の並木道を歩いている。

多くの学生とともに。

赤ちゃん連れた人が、スーツ姿で、歩いている。

誰かな、言う声が聞こえる。

ショーが、桜をちぎって、赤ちゃんに見せた。

見えているのかして、笑っている。

私も。と、仲間達が、籠に入れた。

「まるで、桜のお姫様みたい。」

アリサが手を叩くと、笑う赤ちゃん。

大学講堂に入ったアリサたち。

赤ちゃんをおばあちゃん達に預ける。

学長からの祝いの言葉。

その後、名前が呼ばれた。

呼ばれた学生は、立っている。

「…、海渡アリサさん。」

アリサが呼ばれて立った。

「…、海渡ショー君。」

周りがざわつく中、ショーがアリサの横に並んだ。

「名字換えたんだ。」

仲間の中から、聞こえる。

式も終わりに近づいたとき、赤ちゃんの泣き声が響いた。

慌てて、走る、アリサとショー。

何故、赤ちゃんが。

誰の赤ちゃん?

聞こえる中、アリサが、おっぱいを飲ませている。

おばあちゃん達、シートで目隠しをしている。

「飲んでる。飲んでる。」

アリサママが言う。

「君。」

と、来た、大学関係者。

講堂のみんなが見ている。

「赤ちゃんなんか連れて来て。」

「この子。私達の子供です。」

服を整えたアリサとショーが言った。

ショーに抱かれて、背中を叩かれる、赤ちゃん。

「しかし、今日は大学の入学式ですよ。」

「ハイ。先ほど、学長から、名前呼ばれました。」

「海渡アリサです。」

「海渡ショーです。」

笑うふたり。

「この子が、海渡エリカです。」

ショーが言った。

「私達、高校の卒業式の日に、結婚して、エリカが産まれたのです。」

静まり返った講堂。

「私が、姉です。」

レイコが、ショーの頭をクシャクシャにして言った。

赤ちゃんを抱いた人が。

「そして、私達があの子のおばあちゃん達です。」

3人のおばあちゃんが元気いっぱいに挨拶した。

「私がこの子のおばさんなんです。」

カメラを持った女の人が、挨拶した。

「あなた、海渡アケミさん!」

関係者のひとりが、叫んだ。

「久しぶり。先生。」

「妹夫婦、エリカ共々、よろしく。」

挨拶した、アケミ。

周りから、聞こえてくる。

なんで、卒業式が、結婚式で、赤ちゃんの産まれた日なの。

ざわつく会場の中、笑う人々が。

「さすが、アケミちゃんの妹なら、してもおかしくない。」

「なんでお姉ちゃんの妹ならって?」

「何したの? アケミさん。」

みんながアケミを見ている。

「な、何もしていない!」

言うアケミに、関係者は笑った。

「アケミさんのお母さんは?」

聞く人が。

「私です。」

「久しぶり。」

「先生!」

「あなたが赤ちゃんを連れて、授業受けに来たときは、ビックリしたけれど。」

「そうなんだ。」

「私、あんたのオムツ換えたんだよ。」

アケミを見る、関係者。

「先生。目が怖い。」

「そうか! あの時の赤ん坊がな。」

「抱いたときに、オシッコかけた女の子がな。」

学校長が来て言った。

学校長も加わっての話。

多くの人達が、話を聞いている。

その中、学校長に怒る人がいる。

「早く入学式を済ませて下さい。」

「みんなが帰れません。」

「それから、海渡アリサさん。」

「ハイ。」

「あなたのお母さまやお姉さまみたいに、学校にゴタゴタ持ち込まないで下さい。」

アリサは、ママとアケミを見た。

「ハイ!」

言うと、離れた、女の人。

「お姉ちゃん。なにしたの?」

目を泳がす、アケミ。

入学式。休暇が入ったが、終わった。

アリサはエリカを抱っこして、ママさん達と歩いている。

楽しい学校生活を送れそうだと思いながら。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ