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アリサ- 第3章  作者: 稔~minoru
1/11

アリサ3/1

作品は、原稿用紙は、完成しています。

何年か、本箱の中で寝ていた、アリサとショーの物語。

16歳。高校1年に知った、アリサとショー。

ふたりが、話を書いてくれました。

そして、高校3年に、アリサの身体に新しい命が生まれました。

この作品を読んでいただいた皆様、アリサとショーを暖かく見て下さい。

アリサとショー達は、3年になった。

夏休みも終わって、海水浴客も、少なくなった。

でも、土日は、まだ混む海水浴場。

学校では、実力テストが終わって、上位成績者の発表が終わった数日後、ショーは、教室に入って来た。

「おはようさん。」

黒く焼けた顔で、アリサに挨拶をする。

「ショー!!」

アリサはショーの腕を取って、教室を出た。

見送った、教室の学生達。

女子トイレに入ったアリサとショー。

「ねぇ! 今からショーと話しあるの!」

「だから、出ていって!」

カガミの前の女の子達、アリサの顔を見て、出て行った。

アリサのただならぬ姿に、巻き込まれたくないと。

ドアをおもいっきり、力強く、叩いて、開けた、アリサ。

ドアが、音をたてて鳴いた。

ドアと壁の間に挟まった、女の子。

鼻をさすって、涙が流れた。

逃げ出すことに失敗した娘が、ドアに持たれて聞いている。

「ショー。出来たみたい!」

「なにが?」

トイレの中に響く、アリサとショー。

「なに?これ?」 

ドアを開けられない、女の子達。

「鈍いな! 私、泣いちゃうぞ!」

「もしかして?」

「そう。そのもしかなの。」

「アリサ! やった!!」

「キャー! 目が回る!」

「で! 男の子? 女の子?」

「ショー。気がはやい!」

「私の中に、命が出来たの。ショーと私の。」

「で!」

「後、6ヶ月ぐらいかかるよ。」

「今日、帰り、一緒に来て。」

「OK!」

言う、アリサとショーが強張った。

トイレのドアがゆっくりと開いた。

女子学生が、見ている。

「うふふふふ……。」

アリサの遊び仲間が、手を猫にして、見ている。

「ミァ!」

「待ちなさい!」

ドアを開けて、走るミァ。

「待ちなさい!」

「待て! ミァ!」

いつも、アリサとショーが朝のストレッチしている。そこに参加している、ミァ。

足が速い。

「待ちなさい。」

ミァが、校庭に逃げようと、階段を降りた。

教室に急ぐ学生達に、ぶつかって、アリサとショーに捕まった、ミァ。

アリサとショーの怖い顔に迫られて、約束させられた、ミァ。

トイレのドアが、ふたつ開いた。

「いった?」

「行った!」

「きいた?」

「聞いた~!」

「アリサに子供が出来たって!」

「男の子かな?」

「女の子!」

「これって!」

「大ニュース!!!」

トイレから走る、女子学生ふたり。

「もういいでしょう!」

「ぜったいいわないから。」

「ダメ! ミァ。ニュースメーカーだから。」

「ミス、スピーカー!!」

ショーが、怒っている。

教室に入った、アリサとショー。

仲間から、拍手がおこった。

「おめでとう!」

「なにが?」

教室を見る、アリサとショー。ミァ。

抱きつかれる、アリサ。

「ショー。おめでとう。」

誰かが、誰もが、ショーの背中を。

「アリサ!おめでとう!」

「いつ、生まれたの?」

「ねぇ。男の子?女の子?」

他のクラスの女の子達も来ている。

「どうして、知っているの?」

「みんな、知っているよ!」

座っている、ふたり。手を振って。

「ア リ サ。」

笑っている。

「カオリ。シズカ。」

ミァと同じ、アリサの遊び仲間。

「トイレで大はしゃぎだったね!」

「キャー!目が回る~。」

シズカに顔を近づける、アリサ。

「で! 男の子? 女の子子?」

「シズカ! もう一度、小学校に行きなさいよ。」

ひきつって笑う、シズカにカオリ。

「昨日の今日で、生まれる訳ないでしょう!!」

「今、心臓が動いているのよ。」

「って、卒業式、終わった後だな。」

「えっ?」

「なんだ!」

ショーから離れた、人達。

倒れる、ショー。

いくつものモミジで、背中じゅう真っ赤になっている。

「みんな!やりすぎ!」

怒るアリサに、誰がしたんだと、聞く学生が。

「鈴木君! 海渡さん! すぐ、職員室に来なさい!!!」

スピーカーが、壊れるぐらいの声が響いた。

「ショー。大丈夫?」

アリサが怒っている。

「大丈夫。行こうか!」

アリサとショーが職員室に歩いた。

クラスの仲間が、学生達が続いてくる。

職員室に入ったアリサとショー。その後に、学生達が続いて入った。

「ここは職員室ですよ!」

教頭先生が、ヒステリックに叫んでいる。

「だから? 私達、日記を取りに来たんです。」

言う、女子学生が。誰かが、窓を開けた。

教師が、にらんでいる。

教頭のうなる声が、学校に流れた。

ドアを閉めようとする、教師達。ドアを開けて、職員室に入った学生達。

教頭と担当、アリサとショーの間に、マイクを置いた学生が。

教師がにらんで怒る声が、学校中に流れた。

「海渡さん。あなた。お腹に子供が、に、妊娠したと、言ったそうですね!」

教頭が、言った。

「ハイ。俺の子供です。」

ショーが答えた。

手をつなぎながら。

笑って話す、アリサとショー。

「で、いつ、病院に!」

「今日、学校の帰りに行きます。」

「ショー。大丈夫?」

アリサが聞いた。

「えっ? なにが?」

「産婦人科。女の人ばっかりよ。」

「そうなの? でも、1番若いのはアリサだし。」

「ほかの人に色目使ったら、ダメよ。」

と、教頭の前で、ふたりの世界に入っていったアリサとショー。

「いいかげんにしなさい!!」

机を叩いた、教頭。

「キャ!」

「オオコワ!!」

机から、手が離れない、教頭。

ショーに抱きついた、アリサ。

「で! いつ、おろすの!!」

「えっ?」

「えっ?!」

アリサが、ショーが。

「なにを?」

ショーが質問した。

「そのなかの子です。」

「病院に行くんでしょう。」

「なんで、おろさないといけないのですか?」

ショーが聞いた。

教師が聞く。

「産むつもりなの?」

「ハイ。」

「ハイ!」

ショーが、アリサが、言った。

職員室が、静まり返った。

職員室にいる、教師に学生が、アリサとショーを見る。

教室の学生達は、スピーカーからの声を聞いて、顔を見回した。

「あなたがたねえ!」

教頭が、怒り出した。

「学生でしょ。高校生でしょ!」

「育てられるの?」

「生活できるの!」

「なぜ? 学生だからですか?」

「なぜ、おろせと、命令するのですか?」

ショーが怒った。

「私は教師よ! 多くの事を見てきた。」

「子供を産んだ学生もいる。」

「でも、生きる事が、子供を育てる事が、大変なのよ!」

「私達、親に話します。」

「それでダメなら、ふたりで働きながら、育てます。」

「そんな事、うまくいくと思っているの?」

にらみつける、教頭。

「俺は、アリサに産んでもらいたい。」

「アリサに、人殺しなんかさせたくない!」

ショーが言った。

ショーを見る、教師達に学生達。

「何言っているの! 今なら、法律では人殺しにならないは!」

「命を宿した時から、アリサのお腹に俺との子供がいるんです。」

「アリサに、ママに、子供殺しをさせたくないし、子供をおろすって事は、母親も傷つける事でしょう。」

「身体も、心も。」

ショーが言った。

「ショー、よく言った!」

「アリサが選んだ人だ!」

「おふくろ!」

「ママ!」

「どうして?」

「アリサちゃんのバックアップは、私達ふたりがするから。」

ショーママが言った。

「ママさん。」

ショーを指さして迫る、ふたりのママ。

「ショー! アリサちゃんを泣かしたら、承知しないから!」

「わかった! 孫をきちんと育てんのよ!」

汗が落ちた。

「ショー、ガンバッテ!」

アリサがショーの背中を押した。

「ハイ! ママさん。おふくろ。」

「と、言うことだから、アリサちゃん、私達の孫を産んでもらいます。」

教頭の机を平手で叩いた、ふたりのママさん。

そして、固い握手を。

その中、ひとりの女の子が叫んだ。

「何故、なぜ、そうなるのよ!」

京子が泣き崩れた。

「私の時は、先生も、ママも、アキラも、おろせ、おろせと言っていたのに!」

「アリサの時は、産めなんて!」

泣き続ける、京子。みんなが見ている。

そして、みんなが知っている、京子の秘密。

アリサママが京子を抱いた。

「私も病院に行ったの。」

「ママが先生に言ったの。」

「『高校生なんです。今すぐ、中絶してください。』」

「心も痛かった。身体も……。」 

「なのに、アキラ。ほかの女と、話して、遊んで…。」

「私。生きたかった。産みたかった。」

「なのに…。なのに……。」

アリサママが京子の背中をゆっくりと、ゆっくりと、さすっている。

「私もアリサみたいに強くなりたい。」

言う、京子。

アリサを見る。

その先に、制服から見え隠れする、バラのタトゥーが。

アリサママを突き飛ばして、アリサの左腕にしがみついた。

「タトゥー! そうね。アリサが強いのは、タトゥーを入れたから!」

「やめなさい。一生後悔するはよ。」

教頭が止めた。

「だから!」

机のハサミを持って教頭に迫った。

「だから!」

教師達に刃物を向ける京子。

「誰か! 止めて!」

アリサが手を握った。

耳元でつぶやいた。

「本当?」

「ウン。でも、今日じゃないよ。」

「彫り師のじっちゃん。今日はいないから。」

「聞いて見る。」

「いつがいいか。」

「ハイ。」

「だから、京子もタトゥーを入れるって事、調べて、よく考えて。」

「ウン!」

抱きついた、京子。

「誰か、やめさせなさい。」

成り行きを見ていた教師達が、止めようとした。




「でも、先生。アリサ止めなかったら、どうなっていたか考えた?」

ミァが、仲間たちと見ている。

「京子。あれからずっとヘンだったのよ。」

「クラスから離れて、アキラも、京子に話ししなくて。」

「誰も近づかない。」

「誰も話ししない。」

「先生も、京子から、逃げていたのでしょう!」

「怖いものを見るような目で、京子を見て!」

「もしかして、京子、崖に立っていたかも。」


「京子!どんな気持ちで、学校に来ていたと、考えたこと、ありますか?」

「アリサが、京子と話ししなかったら、どうなっていたか?」

「先生も、経験あると思います。」

「子供がいなくなったときの気持ちが。」

「アリサのレストランで助けを求める人。」

「教会の人になっているかも。」

誰かが、言った。

「教会?」

聞いた、教頭。

知っているものは、黙っている。

「何があるの?」

「骨です。」

「崖から飛びこんだ人の、自殺した人の遺骨。」

「京子が、その中のひとりにならないようにと、いつも、見ていたんです。」

「子供を殺すということは、それだけ大きな問題なんです。」

「学生だからと言って、簡単にいわないでください。」



それから、毎日、タトゥーの話ばっかりする京子。

昼休み、アリサとショーの所で、お弁当を開いた、京子達。

アリサの中に新しい命があることを知ったクラスメイトは、アリサの仲間たちは、アリサと、弁当を食べるようになった。

教師達も、何人か、教室に来て、食べている。

ある日、京子に聞いた。

「京子。あんた。金、有るの?」

「えっ?」

「タトゥー。高いよ。」

「それに、針で入れるので、痛いよ。」

アリサが言った。

「アリサ。したんでしょう。タトゥー。」

アリサを見る、京子。

「ローン。通るかな。」

京子を見る、アリサ。

「あんたねぇ!」

「学割は?」

みんなが京子を見ている。

「学割なんてあるの?」

教師が、真面目に聞いた。

「ないない。」

「じっちゃん。腕ひとつで生きてきた人だから。」

「ローンなんか、できないよ。」

「学割なんかないし。」

「第一、学生で入れる人って、いないよ。」

アリサが言った。

アリサを見る、クラスメイトに、アリサの仲間たち。

「アリサ! 入れたのに?」

「ン? 私は、入れたかったの。」

「いつも、見ているから。」

「アリサ。いくらかかった?」

アリサの仲間が、聞いた。

「いわない!」

「値段なんか、ないよ。」

「それって、問題よね!」

教師が言った。。

「いろいろあるみたいよ。」

「どんな絵柄か? 」

「何回も、書いて、ダメになっているから。」

「墨の色は? 全身か、腕だけか?」

「ヤのつく人達が来るぐらいの有名人なんだから。」

「かかるよ。何ヶ月も。」

「よく知っているのね。」

教師が嫌味を言った。

「ウン。お得意様だから。」

ショーを見るアリサ。

「よく、弁当、持っていくから。」

「お菓子。もらって帰るの。」

笑う、アリサ。

「菓子箱に、小金色の菓子が入っているんだけど、子供の頃は、袋のお菓子が、好きだった。」

みんなが見ている。

「だって、あれって、ものすごく固いのよ。」

「美味しくないし!」

「じっちゃんも、姉ちゃんも、笑うし。」

アリサの話を聞く、学生達。

「それに、饅頭、たくさんもらえたし。」

「じゃ。アリサの家の饅頭って。」

聞く、シズカ。

「名店の和菓子屋さんのよ。」

「美味いんだよ。アリサのお茶休憩。」

「でしょう。ショー。」

「スーパーの菓子、食べられなくなる。」

なぜか、タトゥーから、和菓子になった話。

「と言うことだから、ローンも、カードもダメだから。」

京子に言った、アリサ。







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