君の心を繋ぐ私
涙がおさまったのは
皆が部活へと ばらけ始めた頃だった
『帰ろ…』
鞄に教科書を入れる
机をまさぐる手に
コツッと何かが当たる。
「?」
そっと出す
あ…
加藤君から借りた本
表紙には
[お前じゃない]
と黒く書かれていた
まるで
私に語るよう…
すばやく それをしまい
教室をあとにした
部活が終わり
いつものメンバーと帰る
私は真由奈に
「コノ本
加藤君に返しといて」
と言って本を渡した
借りたのは昨日だが読み終わっていた
真由奈が
なかなか受け取らない
「真由奈?」
「いやー…あのぉ」
「?」
「自分で返すべきじゃない?」
あまりに真由奈がしぶるので
何かあるのでは?
と思い考えた。
『加藤君が真由奈に告った?』
ありえる
私は
きっと そうだと思って
『真由奈に何かした?』
とメールを送った。
しかし
答えはNO。
じゃあ
一体 何があったの?
気にはなったが
何も言わなかった。
私の中で
加藤君が真由奈を好きなのは
確信となっていたから…
でも
違かったの?
違かったのネ。
知らなかった。
知りたく…なかった
「ねぇ真由奈お願〜い」
私はしつこく
真由奈にお願いした
真由奈と加藤君の間に
恋愛という感情があるなら
是非とも
見たい
「ダメだって」
しかし
真由奈もしぶとい
「どうしたの?」
割って入ったのは
真由奈と加藤君と同じ部活の
青木さん
「真由奈が加藤君に
本返してくれないのぉ」
青木さんに
加勢してもらおうと
甘い声を出した
「だって加藤だよ!?」
「あーそれは
自分で行くべきじゃない?」
2人が顔を見合わせ
ニヤリとする
「え?
直接渡さないと
加藤君 怒るの?」
彼女達は
何も言わなかった
もう渡してはくれないと思って
私は
しぶしぶ加藤君のトコロへ
行った
加藤君の教室の前に行くと
加藤君と同じクラスの友達がいた
私は
「加藤君に渡しといて♪」
と
本を渡した
「OKー」
友達は
教室に入って
加藤君のトコロに行く
『コレ』
と言って友達が
本を渡す
『?』
と私の友達を見る
すると
『由紀[ユキ]が』
そう言って私を指さす
加藤君は
私を見る
加藤君♪
そう口パクで言って
手を大きく振った
私は
すぐ目線を外した
彼がどんな顔をしてたか
私は
見てなかった
きっと
見てても
気付かなかった
私は未だに
アイツから
心を引き離せてない。
だから、
加藤君という人間を
真っ直ぐ見つめれない
そう…
私は思ってた