図書室は君の場所? 違うよね?
『図書室に来てね(・ω・)ノ』
早朝からメールを加藤君に送る。
返信はこなかった。
ガラッ
いつもより早く、
走ってきた私は
珍しく1番に図書室に着いた。
すばやく受け付けに入る。
慣れた手つきで受け付けを行う。
初めてやったとは自分でも思えないほどだ。
『あれ、この本さっきも誰か借りてたな…』
たくさんの本を眺めると
どれも読みたくなる。
「返します。」
低い声に顔を上げる。
加藤君だった。
『本当に来たんだ。ってか、いつも図書室にいますもんね』
図書室の空気では
どうもテンションが上がらない。
『加藤君…こんな本読んでんだ…』
パラリとめくる
そして バンッ と閉じる。
首のあたりを嫌な汗が這う。
加藤君が返した本は歴史の漫画本だった。
加藤君は歴史が好き。
私は歴史が大っ嫌い。
私は、眉間にシワを寄せつつも
その本を借りる
ピッ
読む気がうせる
図書室の空気が
その気持ちを盛り上げる。
右を見ても
左を見ても
あるのは本ばかり。
無機質にも程がある
図書室は なんて冷たい場所なんだ…
加藤君は、いつもこんな所にいるのか…
不思議とコノ場所が嫌いになれない。
温もりなんてない
冷たさなんてない
まさに無の空間。
放課が終わって
すぐ図書室を出る。
あの無機質な所から出る。
下校――――
いつものメンバーで下校する。
すると
加藤君と同じ部活の子が
おもむろに鞄を覗く。
「どうしたの?」
「…加藤から本借りてたのに
返すの忘れてた」
サラリと真由奈[マユナ]が言うので
私は思わず
「なんて羨ましい!!」
と大声で言ってしまった
慌てて口を塞ぎ
周りを見る
右よし!
左よし!
加藤君いない!!
ほっ と胸をなでおろす
「加藤、言えば貸してくれるよ?」
そりゃ アンタだからだよ
とか心の奥で無意識に思う。
真由奈の可愛い顔を見て
溜め息をつく。
「試しに聞いてみたら?」
その試しってのが1番勇気いるんだよなー
「そうだねー」
メールしてみるか…
『加藤君、なんか本貸してヾ(*'-'*)』
加藤君は
あっさりOKしてくれた。
しかし
メールの文からして
やや嫌々なのが分かる。
こんなんで本当に平気だろうか?
そんなの考えたトコロで分かる訳がない。
明日が来るのを
ひたすら待とう
それしか出来ない。
私は無力だ