7話
『パォン!』
俺達は銃声に合わせて、右に跳んだ。
二人で掛け合わせたわけでもないのに、
ジャンプの着地点まで全く同じだ。
まあ、俺は体動かせないけど、
ここに跳ぼうと思ってただけ。
『ヨウエイと鎧が意思疎通可能である
ヨウエイと鎧の直感が統一化される』
この能力ってそういうことか・・・。
<次は防御しよう
「うん」
『パォン!』
『カイィィン!』
腕で防ぐ。
全くダメージがない!
今更ながら、腹から出ている3本目の手で、
銃を下にぶれないようにしていることに気づく。
そして3本目の足は、地面に浮かせている。
発砲後の衝撃で体が下がるとき、
この足でバウンドして、衝撃を足に逃がすのだろう。
<よし!今度は攻撃だ!
「わかった」
走るように2歩ジャンプして、銃を持つ奴のそばまで来た。
このベネリM4は、セミオート射撃が可能だ。
つまり発砲したら、自動で次弾が薬室に装填される仕組みだ。
<てい!
銃を向けている奴に、軽いジャブを放つ。
『バチン!』
小気味いい音を立てて、地面に崩れ落ちる。
殺す気はないため、かなり手加減している。
相手が殺す気で来ているが、まあダメージ無いし、良いだろう。
これで、一人倒したから、後二人か。
装弾数は薬室込で大体、7か8発か。
今こいつ、残り何発だろう?
<おりゃ!
そう考えながら、変な生き物の足元を殴る。
地面から石が飛び散り、海水がにじみ出てくる。
腕で体を持ち上げて、再度ファインティングポーズとか言う奴を構える。
地面の下に赤い何かが見えるけど、なんだろうか?
『~~~~~!~~~~~!!』
残り一体が何か言ってる。
何言ってるかわかんないし倒しちゃえ。
俺達は天井までジャンプしてから、天井を殴る。
そうすることで体を、最後の一体にまで飛ぶように押した。
<おりゃああ!
今度は地面だけじゃなく、天井もすごいことになった。
もはや石じゃなく、岩が飛び散ってる。
「鎧さん・・・」
<なに?
奥からまた3体出てきた。
ハハハ!殲滅だぁー!
今テンション上がってるから、
大概のことには答えちゃうよ!
「このままだとこの島、潰れない?」
<・・・あー。うん。そうかも
俺達は控えめに戦うため、残ったやつらはデコピンで片付けた。
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変な生き物を全て片付けた俺達は、洞窟の奥へと進む。
「さっきも思ったけど、なんだろここ?」
ヨウエイが言う。
確かに、俺のイメージだとこの世界は、西暦1次1800年後半って感じか?
だけど、ここは西暦1次2100年前半って感じだ。
機械全盛期ってやつかな?
そのあとの時代は、北と南の氷が溶けてメタンが大量発生し、
水蒸気の量も限界値を迎えて、
毎日ハリケーンや台風が襲い来る時代だ。
地球の平均気温も50度を迎えて一気に人口が少なくなり、
殆どの機械は使えなくなったらしい。
<うーん・・・なんか未来感あるよね
「う、うん」
そういや、さっきのベネリM4って、西暦1次2000年直前の銃だ。
火薬も使えるってことは、最近作られたのだろうか?
「もうちょっと調べてみよう」
「うん」
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なんだか、暗い部屋で、今まで見たことがないような景色。
頭がクラクラしてくる。
鎧さんの中だから、あまり危機感は感じてないけど、
さっきの武器といい、ここは恐ろしい場所だと思う。
先ほど鎧さんが言ってた
『未来感』
まさにそれだ。
<おっと、ここは娯楽室って感じ?
僕らが入った部屋は、今までと違い明るさがある。
オレンジ色の部屋には、植物や本がある。
他にも・・・これは?
「鎧さん。これって知ってる?」
<お、これ水蒸気テレビじゃん。点くのかな?
「水蒸気テレビ?」
<結露しない板の中に水蒸気の煙を流して
<そこに光を当てることで映像を映す装置だ
「へぇ~?よくわかんない」
<その水蒸気は、上にある専用プランターに流れて
<植物に水分を与えるんだ
<結果的に、水蒸気問題と二酸化炭素問題を解決しようとする
<なかなか良い発明だったな
途中から聞いてなかった。
すいじょーきとかなんとか言われても、意味わかんない。
テレビって物を突つく。
すると、変な煙が出てきた。
すごくでかい騎士が、テレビって小さな箱をつつく姿は、
すごくシュールなんじゃなかろうか?
『ゥの惨劇から10年』
!?急に変な人が箱の中に現れた!
え?なに?なんか人が喋ってる!?
<お、KRのBじゃん。俺のいた世界って将来、
<敵だけ再現したような世界になるんだよね
わ!変なおじさんが
『本日をもって、わが国は終了する』
生まれ変わった!
「鎧さん!なにこれ!」
<西暦1次2018年の特撮番組だよ!
<俺このシリーズ好きなんだよね!
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それは地球外生命体と、4人の男や2人の女が戦う話。
他にも沢山の人が彼らを糾弾し、
最後には応援し、世界を滅ぼす脅威を倒すって話らしい。
<そういや、探偵のWってのもあったな
<お、ブルーレイあるね。しかもBOXじゃん!
「探偵?」
<他にも探偵の特撮番組はあるけど、これは名作だよ。観る?
「うん・・・観たい」
鎧さんを脱いでからおよそ20時間かかったけど、
探偵のWってのを観た。
食糧や飲み物はテレビの横に置いてあったため、
それを口に含めた。
『『さあ、お前の罪を数えろ!』』
『さあ、振り切るぜ!』
『私聞いてない!』
『お前が相棒だと思ってくれてる内は、俺は2度と折れねぇぞ!』
『でも忘れないでくれ。相棒。
君の心に、悪魔と相乗りする勇気が、ある限り』
『そうだった・・・あいつが俺を相棒と呼ぶ限り、
俺は折れない。約束だった・・・』
『これで終わりだ』
「鎧さん!」
<おぉ、どうだった?
「すごかった!やっぱり僕も探偵になりたい!」
僕もあんなふうに・・・鎧さんと二人で一人の探偵になる!
<それは良いけど、ここって本当になんだろう?
?鎧さんが疑問を感じてる。
そんなことより!
僕の知ってる世界と違うし、変身なんて出来る人達だけど、
言葉が同じだからかな、何か大事なことを学んだ気がする。
あの無人島で過ごした日々や、それより前の友達を食べてた日々。
あの時の僕から生まれ変わったのだろうか?
なんだか、行けるところまで行きたくなってきた!
<ともかく、ここから出ようか
「うん」
と答えた瞬間だった。
『ガタン!!』
ドアを蹴られたかのような音だ。
『~~~~~!!!』
まずい、多分あいつらだ!
そっか、気絶させただけだしそりゃいつかは起きてくるよね・・・。
「鎧さん!変身だ!」
<もうやってる
なんだか僕も、あの探偵みたいになった気分。
今の僕は、負ける気がしない!
『パォオン!』
ドアにいくつもの穴があく。
あの武器で撃たれたんだろう。
多分長く持たない。
「行くよ!」
<おう!
そして僕たちは、あの生物たちと再戦するのだった。
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なんだか、ヨウエイのやる気が凄く上がってる。
まあ、11歳なんだから、急に性格が変わることってあるよな。
これはこれでありだろう。
『ゴウゥン!』
ドアが倒れて、奴らが部屋に入ってきた。
さて、適当に相手してやるか。