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26.キリノ村①の②

①の①の続きです。

26.キリノ村①の②


「いやいやいやいや!! 神はお前だろ!?」

「いいじゃないですか! 戦うのはマリさんですし!」

家の奥、村長の奥さんに案内され客間にクナと二人で入る。

「ていうか、なんで村長も俺が神とか信じるんだよ!? 普通嘘だと思うだろ!?」

「ああ、それは称号の呪いのせいですね」

「は!? 呪い?」

「はい、ただの人間がただの人間を大魔法使い扱いすると、大いなる災いが降り注ぎます。 だから普通人のことを称号持ち、だなんて言う人はいません」

「なんで?」

「呪いだからです」

意味が分からないよ……。

用意された布団に倒れこむ。

なんかものすごく疲れた…….

「また変なことになっちゃうんじゃないか?」

「大丈夫ですよ!!」

「なにがだいじょう……」

クナを見る。

視線を向けた先でクナはニヤリと小さく笑い、まるで恋人に話しかけるようにゆっくり語った。

「マリさんがいると安心します……きっと悪い方向に行ったって、助けてくれるって信じてます。 マリさんは……」

クナの言葉に体が固まる。

クナの表情に心が体内を駆けずり回る。

頭の中は真っ白で、ただ、次の言葉は聞いてみたくて。

気恥ずかしいのに目が離せなくて、勇気の出せない子供のような俺にクナはどんどん顔を近づけてくる。

そのたびにミキサーのようにグルグルエラーで回る頭の回転が早まり、もうショート寸前……。

そして、春風が花びらを揺れ動かすような優しさの乗った声でフッとささやいた。

「わたしの……大好きな彼氏さんですから」

と、その後一間おいてバケツから水が溢れこぼれたようにドタドタと俺から離れたクナは耳まで真っ赤にして顔を隠していた。

「は、恥ずかしいならやるな!」

「は、恥ずかしくなんかないです!! ちょ、ちょっとだけ、その、風邪……かな?」

「しらねぇよ!」

そういう俺は全然平気だったので、ドキドキとかしてませんので。してませんので!


「マ、マリさん、よろしくお願いしますよ!」

「はぁ……なんでこんなことするんだよ……」

「城に乗り込む前に敵の数を減らしますよ! それに魔法の練習にもなります!」

「まぁ、魔法はもっと操れるようになったほうがいいか……」

道中の森の中などで少しだけ魔法の練習をしている。

しかしそれなりに扱えるのはまだ身体強化位で、攻撃魔法を妹のようにかっこよく放てたりはできない。

妹は今何をしているだろう……お兄ちゃんは大変です。


まだお互い違うほうを向いている。

何故違うほうを向いているのにそうだとわかるのかというとそれは俺がちらちらクナのほうを見ていたりいなかったりするわけで……。

「お前は……お前は俺がちゃんと働いたら何をしてくれるんだ?」

「え……じゃ、じゃあ結婚してあげます」

背筋が弾かれるように上体が飛び跳ねる。

「はあっ!?」

「あれ、童貞さんには刺激が強かったですかね?」

クナがからかうような口調で言った。

イラッ

「言ったな……?」

ゆっくりクナのほうを見る。

「え?」

クナは慌ててこちらを見た。

ほんのり朱色に染まった頬に見とれる視線を強がりで押し殺し、子供のような挑発でからかってみる。

「ああ、いいだろう! じゃあ本当に結婚してもらうからな!?」

「え、ええぇっ!? え、えあ、ああ、い、良いですとも? が、頑張ってくださいね!!」

クナはまたプイっとそっぽを向く。

「お、おう……きょ、今日はもう寝るからな! 言い直すなら今のうちだぞ?」

「そ、そんなわけないじゃないですか? わ、私も寝ちゃいますからね!? ほーら寝ますよ? すぐ寝ますよ? あっという間に寝ますよー?」

「……」

「……」

何言ってんだ俺ええええええええええええええ!?!?!?

や、やばい、どどどどどど……。

「マ、マリさん……」

「ひゃいいっ!?」

「……頑張ってくださいね」

「ク、クナと、結婚できるように? え? あ、ああ、が、頑張りまあああああああす!!」

「へ、へぇ!?」

なんかとっても恥ずかしいことを言ってしまった気がするので制御できない睡眠誘導の魔法を爆発させる。

「睡眠の魔法!! 寝る!!」

俺の意識はだんだん遠のき……。

「ちょ、まr……」



次の日、寝過ごして村長に不審な目で見られたのはまた別の話。


(26.キリノ村①の② 了)


キングテレサ姫かわe。

流行りはいつも突然ですよね。

皆さんは誰派でしょうか?

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