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23,移り変わり

23、移り変わり


「ふむ、拉致とな……」

爆発の跡、街の床の上、腰を下ろして話し合う。

「はい、マリとクナがユウウェイに連れていかれてしまったようです」

もう敵兵はいない。

一転、静まり返った街の中、お互いなぜここにいるのかよくわかっていない。

「それで君は本当はクナの味方で、二人を助けたいというのじゃな」

「はい……」

黒いソラと同じく黒いファルシスさんがゆっくり顔を見合わせる。

再びこちらを向いて二人同時に言った。

「そうですか、では二人を助けに行きましょう」

「信用できるわけないじゃろおおおお!? 馬鹿なのか? おぬしバカなのかゲラゲラプギャハグホォッグホォ……え?」

「ソラ……?」

ソラはいつもの様な色の無い顔でそうですか、とだけ言って納得した。

ファルシスさんは爆笑した。

「わかってくれるのですか……!」

アヌスが感動に両手を強く握りしめる。

ソラは暑くて苦しくて不快そうな顔で言った。

「まあ、クラナが言うのならアヌスは味方だったんでしょう、それより女神さまとクラナ(兄)が心配です。 どこへ行けばユウウェイへ行けますか?」


皆が静まる。

「本当に信用できるの?」

ソラに問いた。

「うん」

「うんって、私がアヌスに騙されてるかもしれないんだよ?」

「そうなの?」

「え……いや、そうじゃない……けどさ、そんな簡単に信じちゃって、なんで……」

するとソラが「うっしょ」と立ち上がり、私の目を見て言った。

「私はクラナの親友で幼馴染で恋人で夫婦で一番わかってる人だから……」

ソラが言葉に詰まる。

日の光が彼女の背中に降り注ぎ、顔は影がかかってよく見えない。

そんなソラはスッと手を私のほうへ伸ばす。

私はその手をつかんで立ち上がった。

「だから……なに?」

「だから……えーと……クラナが変な時はわかるし、嘘つかないことも知ってるの!」

同じ目線に立った時、ソラの顔の影はカーテンが開かれるように横に消えていった。

私の目を見るソラの視線もそれと一緒に横に消える。

らしくもなく、ソラの顔が赤く染まっていた。


「ぷっ……あははははははは!」

なんとなく体の力が抜ける。

同時に笑い声が体の内側から湧いてきた。

「な、なに笑ってるのよ」

「い、いや、ソラって真っ白だったり真っ黒だったり面白いなって!」

「な、なにそれ!?」

「ほら、今はこんなに真っ赤だし」

「ううっ……」

ソラはまた顔を反らしてしまった。

だけど一言。

「ありがとっ!」

ソラは、いつものように真っ白な顔を、いつもと違って綺麗な色の可愛い笑顔で言った。

「ふふ、はやく助けに行こ!」



「いい友情ですね」

「ああ、わしも若いころは親友がいたものじゃ、今は何処にいるのやら、わからんがのぉ」

「……また会えると良いですね」

「……ああ」


アヌスとファルシスさんが二人そろってゆっくりと立ち上がる。

アヌスは重低音の声で話を切り出した。

「私に、考えがあります」


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「跋扈の、娘えええっ!?」

クナがおわれているというのに大声で騒ぐ。

少女の顔に自分の顔を近づけて「マジで!?」と聞いた。

「うん……そうなんだ、あはは……あんまりお父さんのこと好きじゃないけどね」

若干と引いたように少女は一歩下がってうなずいた。

「怖いから嫌いなのか?」

「うんー、まあ、いろいろあって……」

「何があったんですか?」

「うんー、まあ、よくある話なんだけど、お父さんとお母さんがけんかして今別居しているんだ、私はお父さんが悪いと思ってるから、お母さんについてきて、住んでいたあの城を出たんだよ」

少女は遠くに見える城を指さした。

城は黒い霧にうっすら覆われ、雷のようなものがとぐろを巻いていた。

「あそこに住んでいたのか……何があったんだ?」

「いやー、お父さんがお母さんのプリンを食べちゃってさー、激怒したお母さんが家を出て、お父さんがもっともっと怒って、城の周りに霧なんてかけて、雷流して、腹いせに戦争頑張ってる、っていうわけなんだよね」

「え、それで最近ユウウェイの他国侵攻が活発なんですか?」

「うんー」

「ひでえ理由だな……」

「王にとって戦争は遊びと言うことです、さあ、止めに行きますよ」

クナが「おー!」と拳を天空に掲げ、すたすたと歩きだした。

俺と少女はクナを追いかける。

「お、おい、どうやって止めるんだよ」

「マリさんが倒しちゃってください」

「ちょ、あ、危ないよ、お父さんはすっごく強いんだよ、それこそ七代魔とかしか太刀打ちできないよ!」

「大丈夫です!」

クナが立ち止まり、俺の手を掴み、さっきのように空に掲げた。

「七代魔頂点、称号は神!(かっこいい)の私がいます!戦うのはマリさんですが!」

「勝手だなぁ……」

「え、お、お姉ちゃんが女神様なの!?」

「はい!!」

「じゃ、じゃあ、本当に止められるかも……」

少女が俯いて考え込む。

「任せてください!」

少女はクナを見上げて目を合わせてから、ゆっくりとお辞儀した。

「……お願いします、戦争を……お父さんを止めてあげてください」

クナは一瞬驚き、キメ顔になって自信満々に叫んだ。

「任せてくださいっ!」


「あ、ちなみに私の名前は、レッド・ルシファルス・ジベンゾ・D・ルルです」

「Oh……ルルでいいか? 俺はマリ、女みたいだけど名前はマリだ」

「私はクナです、お父さんの素晴らしいセンスの光るかっこいい名前ですね!」

「そうでしょ! お父さんは嫌だけど名前は気に入っているんだ!」

「マジか……」



(移り変わり 了)


最近秋風が強いですよね。 ○○な秋とよくありますが、皆さんの秋は何でしょう。 僕はアニメとラノベですね。 しかし、やりすぎには十二分に注意して、平成最後の秋も楽しくいきましょう。

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