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18,アヌス……退治……?

今日も地球は回ってる……熱中症には気を付けてください。

18,アヌス……退治……?


「さて、作戦はこうだ。

俺たち旅の一行は明日からアヌスの弱点探しで聞き込みを開始する。

その間、俺はこっそり抜け出し、アヌスと合流。

二人で説得、クラナ納得。

以上」


「そんなんで納得するのか!?」

俺がとっておきの作戦をアヌスに伝える。

しかしアヌスはそれに納得がいかない様子だ。どうしたのだろう。

「何か問題でも?」

「え、いや、だって俺ものすごく警戒されてるだろ。二人で土下座したってきっとクナは納得しないと思うのだが……」

ちょっとアヌス何言ってるのかわからない。

「大丈夫、クナならきっとわかってくれる。そういうやつだよ」

「大丈夫かなぁ……?」

アヌスはとても心配そうだ。

でも大丈夫!俺がついてる!

「でも大丈夫!俺がついてる!」

「……」

アヌスは黙ってしまった。


あの屋上から数分後。

俺はアヌスの部屋に招かれ、作戦会議をすることになった。

設問はどうやってクナを納得させるのか。

そして俺の思いついた天才的、かつ大胆、かつ完全無欠、かつ……

まあとにかくすごいアイデアをアヌスに話したつもりだったが、どうも納得がいかないようだ。やべぇ!

「ア、アヌス……?」

するとアヌスは力のない空気を笑いとして口からハハっと出した後、けだるそうに、心配そうに言った。

「お前たちは本当に変な集団だな……」

「え? アヌス……?」

「変態だし、天才だし、3人も称号を持っている」

「お、おいアヌス……?」

少しうつむいたアヌスの表情はよく読み取れない。

「めちゃくちゃで、頭がおかしくて、淫らで、犯罪者で……」

「お、おい、どうした……」

するとアヌスの声音が一気に強くなる。

「しかし! 何より全員仲が良いッ!!」

「ひ、ひぇッ!!……え?」

なんかアモスの顔がめっちゃ輝いている。

右手は強く握られ、なにか確信した様子だ。

「信じて、いいんだな?」

「え、作戦のこと?」

「ああ!全部お前に任せた!……頼んだぞ」

最後の“頼んだぞ“には様々な重みが感じられた。

そんなに強く願われちゃあやるっきゃない!!

「ああ! 任せとけ!! 完璧だ!」

その日は高揚した気分のまま部屋に戻って寝た。

部屋に戻る前に廊下ですれ違ったクラナにおやすみ、と言ったら「おやすみ」と優しく返してくれてうれしかった。

明日から作戦開始だ!!

Zzz……。



今日もなんかハチャメチャな一日だったなぁ……。

私はホテルの外の雑貨屋さんで雑誌を買って部屋に戻る。

途中廊下で、今まででも類を見ないほどにハイテンションのお兄ちゃんに「おやすみ」なんて言われてうれしかった。

部屋で買った雑誌を開きのんびり過ごす。

買ったのは、今は流行りのファッションの本。

「たしか……あった!」

私が探していたページ。

タイトルは「たとえ兄でもこれにはぞっこん!!兄さえ殺せる夏服コーデ!」

べつに、断じて、まったく、間違いなく、お兄ちゃんにかわいいなんて言ってもらえたら嬉しいとかそういうんじゃなくて、今の流行が気になっただけ。

「へぇ~、今はこんなのが……え!?この水着露出度高っ!こんなにしないとお兄ちゃん見てくれないのかなぁ……」

見ると雑誌には可愛い女の子が紐との区別がつかないくらいギリギリの水着でエッチなポーズをとっている。


夢中で見入っていると、隣から声が聞こえた。

「ふむふむ、クナはお兄ちゃんが大好きなのね……」

「え!?べ、別に!??わ、私はお兄ちゃんなんかどうでもいいっていうか?なんとも……思って……思ってないし!」

「むー」

ベットで寝ながら読んでいた私にソラが添い寝していたことには驚いた。

「きゃあっ!! なんであんたがここにいんのよ!?」

「私たち相部屋じゃない……」

「え?、そうだっけ?」

「もう……」

えー、ソラと相部屋……お兄ちゃんとが良かっ

「クラナ本音漏れてるよ」

「え、私は何も言って……ないし」

なんだか体が熱い。


雑誌を閉じてソラと談笑する。

昼間エキサイトなソラは実は夜おとなしかったりする。不気味なものね。

「ねぇね、クラナ、恋バナしようよ」

「え!? こ、恋バナ!? べ、別に語るような恋は一度も……」

「いましてんじゃん」

「は、はぁ!? わ、私はお兄ちゃんにこ、ここ、こここ恋なんて……してないんだからね!」

「誰も兄貴のことって言ってないじゃん……むー」

「へ!? な、なな……」

や、やばい!頭真っ白!

「それで、お兄ちゃんさんはどんな人なの?」

「お、お兄ちゃんは……べ、別に?気にしてないし?そんなに語ることはないし?で、でも、しいて言うなら、いっつものんびり絵描いてたりお母さんの手伝いしてるだけだけど?優しくて、いろんなことを教えてくれて、魔法の特訓に付き合ってくれて、かっこよくて、たまにかっこよくて、でも結構かっこよくて……ほんのすこしかっこいいときもあって……」

するとソラはゴミを見るような目で私を見てきた。なんか変なこと言ったかな?

「ブラコン……」

「なっ!!ブ、ブラコンなんかじゃないわよ!」

「でも、お兄ちゃんのこと好きなんでしょ?」

「え?、ひゃえ!? べ、別に好きとかそういうのは……」

「でも最近女神さまが来ちゃってあんまりかまってもらえないんだ」


ばちん……バチンッ!!

私の中で何かがはじけ飛ぶ感覚がした。

なんか頭の中にあの女の嫌な姿が浮かんでくる。

次々、印刷機から次々紙が出てくるように女の姿が思い浮かぶ!

魔インターネットの画像検索で無限に画像が見つかるように女の嫌な姿が無限に見つかる!!

「そうよ!! あの嫌味ったらしい泥棒猫のせいで!私のお兄ちゃんとの日常がああああああ!!!」

(ソラ)(「女神様ナイス!」)

「ああああ!!腹立って来た!ソラは恋バナないの!?」

「え、そっから私の話に行くの!?」

「そうよ!!自分の話をしたってイライラするだけだわ!!あの女のせいでお兄ちゃんにとって私はネタキャラ、とかサブキャラみたいに扱われているし!! 最近ほとんどしゃべれなかったし!!! 妹といえば小説とかじゃ基本正ヒロインなのよ!?なのになんであの女がああああ!!」

「ちょっとクラナが何言っているのかよくわからないけど、おちつこ?私の話もするから……」

「き、聞かせなさいよ」

ソラの恋……気になる。


ソラは顔の色を変えて話を始めた。

「私の初恋はね……」

「うんうん」

ほんの少しソラのほっぺが赤くなる。

変態のソラだけど、おとなしい夜は、ほんの少しかわいい。

私が見ない間、普段は結構ちゃんと乙女しているんだなぁ……。

「幼稚園の頃なんだぁ~」

ソラの顔が満面の笑みに染まる。

ほんのり赤くて、少しだけ恥ずかしそうに、でもなにか我慢できないように幸せいっぱいの顔だ。

かわいいな♪

「その子はね、と~てもかわいかったの!」

かわいい♪

「いっつも私と遊んでくれてね」

「うんうん」

かわいい♪

「二人でお風呂に入ったこともあるのよ?」

「お、おふ……」

「その子はとっても魔法が上手で」

かわいい♪

「運動神経も抜群で」

かわいい♪

「頭もよくて」

「なにその完璧超人?そんな子保育園にいたっけ?」

かわいい♪

「その子のことを考えると胸が熱くなって」

おとめだぁ~かわいい♪

「その熱くなった胸をこっそりあの子とハグしたときに押し付けてみたり……」

かわいい♪……え?

「あの子なら隅々まで見てみたい! 唇は唇で、足は足を絡めて、胸は胸で感じあいたい……脇の下、横乳、へそ、うなじ。腰、耳、下の穴……隅々まで舐めまわしたい!」

かわ……ん?

「ソ、ソラ……?」

「クラナ……」

なんかソラが真顔になる。

ソラが真顔になるときは次の瞬間私が被害に遭う時だ。

一瞬の沈黙の後、ソラは言い放った。

「クラナ……いまからでも……始めちゃおっか?」

「ヒェっ……」

「クラナ♡」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

慌てて部屋から逃げ出して構える。

きっとソラも追いかけてくるはずだ。

「ちょっとうるさいわよ……」

廊下には、いつもと対称と言ってもいいほど暗く沈んだクナがいて驚いた。

しかし今はソラだ。あんなのと一緒に寝られない。


「クラナああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

扉を、運動会でゴールテープを切るように両手を広げてたたき開けてきたソラに捕縛の呪文をかける。

「かのものは悪しき存在故わが身の健康と貞操のためにソラを捕縛せよ!」

ちなみに呪文とは邪炎である私の能力の1つ、世界の影と熱に言葉でお願いして魔法のようなことができるというもの。

まぁ、称号持ちとか力のある魔法使いなら結構誰でもできちゃうけどね。

呪文により廊下の影がロープに姿を変え、ソラが勝手に縛られる。

ついでに口も縛られる。

「ん!! んなな!! んんな!!」

「はぁ、あんたはベットに置いといてあげるから、しっかり反省しなさい」

「んんー!」

「今日はもう寝るわよ……」

「んんー!」

ぐるぐる巻きのソラをベットに倒し、寝ることにする。

なんか今日はいつもより疲れたかも……。



(18,アヌス……退治……? 了)


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