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11,新しすぎる朝。はぁ、。

11,新しすぎる朝。はぁ、。


「ん、んん......」

はぁ、朝だ。

今日も異世界でゆったりと魔法の勉強をしよう。


俺は立ち上がり、カーテンをスライドして暗い部屋に日の光を注ぐ。


「そういや昨日いつ寝たんだっけ......?」


重い体とずきずき痛む頭が記憶に暗幕を下ろす。

昨日、クナとファルシスおじいちゃんが喧嘩してた日。

その日の記憶がない、飛んでいる。


「ま、いっか......」


暗かった部屋に目を向ける。


世界観に似合わない大量の酒缶、プラスチックのパック、変なマントに変な布。

死んでいるおじいちゃんと俺の布団で寝ている女の人がいた。クナだ。


「......は?」


-----------------------------------------------


死んでいると思われたおじいちゃんの顔に日光が射したとき、「ん、んお......」と重々しい声とともにおじいちゃんが起床した。

なんとそのおじいちゃんはファルシスさんだったのだ!! 知ってた。

俺はファルシスさんに一言。

「なにやってんすか?」

「んお?、少年、おはよう。 昨日は楽しかったなぁ」

昨日......?

「昨日......ですか?」

おじいちゃんは小首をかしげる。

「なんだ、忘れてしまったのか? 君はものすごかったのだがなぁ、おかげで久しぶりに興奮してしまったよ」

「へ......?」

「いやはや、まさか少年があんな大胆なことをするとはなぁ、昨日は本当に気持ちが良かった」

そう言うじいさんの顔はほんの少し朱に染まっていた。

「へ、? あ、え?俺? じいさんと......?」


じいさんと、やったか......!?

死亡フラグじゃねえええええええええかあああああああああああああぁぁぁぁっっっっ!!!!


「うおおおおおおおいいいいっっっっ!!!まじかよ、俺!? ほんきか!?俺!? このじいさんと......!?!? うっそだろお前!!」

「うるさいぞ少年......何を騒いでおる?」

てめええええええええええっっっっ!!

「んっ、くっ.....」

あぁ、く、クナが起きた!!

「うおおおおおおおおおおいいいいぃぃぃぃっっっっ!! クナ!? クナ!?おいおいっ!? 俺何もないよね!? 大丈夫だよね!? 既成事実とかないよねえええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇっっ」

俺は寝起きのクナの襟元をつかみ必死に問いただす。

「んもぉ......マリさんは朝から激しいですよぉ......はいっ、朝のちゅー」

クナが唇をつき出してきたので、クナのおでこを抑え布団に押し付ける。

「まじか、まじか俺......なんてことを......」

「はははっ少年、君は愉快だなぁ、ほら、まだまだ楽しもうじゃないか」

「るせえっ!!じじい!! ちょっと黙ってろっ!!」

すると顔の赤いファルシスおじいちゃんはしゅんとした。可愛くねーよ。


「ん、んなぁ~ まりしゃん、苦しいでしゅー」

右手で押さえつけている変態の頭から音がする。

「はぁ、まじどうしよお......ぬああぁぁっっ!?!?」

顔の向きをじじいからクナへと向け直す。

そこには「ぬあー」とじたばた暴れるせいで胸元が大きくはだけた女神様がいた。

テレビでモザイクがかかる部分が見えそうだったので急いで手を離す。そして、部屋の隅に頭を向けて目をつむった。


おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい。


「ふぁー、疲れた、てっええぇぇっっ!?!?」

なんだろう、見てないからわかんないけど、多分クナは自分の姿に驚いている。

さすがに申し訳ないことしたな、と

「み、みみみみみ、みてないですっっ!!」

目を閉じて、顔は部屋の角、ほこりとかよくたまるばしょに向けて必死に弁解を図る。


体感1分、実際は20秒、音でわかった。

クナは少しだけ自分の服を上げ、辺りを見渡したあと、てくてくと俺の背中にまで歩いてくる。

や、やばい、クナでも怒ったかなぁ......?

俺が初期微動のごとく細かい震えに身を預けていると、突然柔らかい感触が背中についた。

その感触は俺の肩甲骨全体を覆うように広がり、首もとには細い腕が巻かれる。

こ、こここ、これ、クナに後ろから抱きつかれている......?

その体温は明らかに高く、少しだけ呼吸が乱れているようだった。

俺の震えは自然と収まる。

無音静寂の部屋に矢のように細く、しかし苺のように甘い声が響く。

「マ、マリさんは、お、おっぱい、好きですか?」

大好きです!!とは言わず、

「き、きききき、き、きらいではないです!!」

「そ、そうですか、触って、みても、よ、よかったんですよ......?」

へ?、この人何言ってんの?痴女?痴女か。

「お、おまえ、何言って......?」

俺の目を塞ぐ俺の手のひらを俺は少しだけどかしたときに俺の背中が少しだけ揺れたときに、俺は俺は、やっばい、落ち着くんだ俺ッッ!!

俺の背中が少しだけ揺れたときに、べったりくっついていたクナの胸を圧迫するように刺激してしまった。

クナの消え入りそうな上ずった声が漏れる。

「あっ、はずゅかしい~~!!」

う、うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっっっ!!

こ、心が乗っ取られてまう!!やっばい!! 激しく冒涜的!!激しく暴力的!!

もし俺が童貞じゃなければ死んでいたな、あぶねえあぶねえ。童貞だから死にかけてんだろおおおおおおおおおおおおおおおお」

緊急離脱!!


「う、うおおっ!!は、恥ずかしいならやめろおおっっ!!」

心に注がれる謎の感情の水位をこれ以上あげてはならない!!ちょっと大袈裟に驚いて切り抜けるッッ!!

「べ、別に良いじゃないですか......付き合ってるんだし......」

ん?なんて?え?最後の最後の「付き合っているんだし」の部分が良く聞こえなかったがそれはもしかしてもしかすると「付き合っているんだし」と言ったのか?んん......?

「んなぁっ!? つ、付き合ってる!? なんでそんなことになっているんだ!?」

「だって、昨日マリさんが私に、好きだー! 付き合ってくれー!!って、言って......おじいちゃんも許してくれて......」

クナはたこさんのように顔を茹で上がらせて語る。

弱々しい声に、すくめた肩が可愛らしくて仕方がない。

ぶっちゃけ今すぐ抱きつきたい衝動に大いに駆られたがこいつはクナだ。変態だ。


「まじこいつ何言って......あああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

「どうしました?」

「お、俺、もしかして昨日酒のんでなかった?」

「いっぱい飲んでました」

それだあああああ。

昨日ファルシスさんが部屋に突然入ってきて酒勧められて、この世界じゃ俺二十歳だからって飲みまくったんだ。

そこにクナが来て、なんかファルシスさんにおされてコクっちまったんだ。


まじかよ、俺。やっべぇ、俺。

「......zzz」

クッソ、ファルシスさん寝てるし、殴りてぇ......!!


だから朝からクナが発情してんだ。

確かにクナは俺のストライクゾーンにストレイツでド直球なんだが、変態だ。

てか、もうそんなことは置いといて、ど、どうしよう。

クナはまだ、まだまだ物足りないようすだ。

床にべたりと座り、太ももと太ももをこ擦り合わせてもじもじしている。

もういっそのこと抱きついていいんじゃないかなー?かわいすぎるよー。とか考えてしまう。


クナは小さな口を小さく開く。

「あ、あの、マリさ----」

だ、誰かッッ!!タシュケテッッ!!


その時だった。

「ご飯よ~」

風を切るように、周りの音が遠慮してその声だけを俺たちに届かせたように母さんの声が響いた。


「「へ?」」

俺とクナは二人揃って間抜けな声を出す。

き、来た!!


「ご、ご飯ッッ! 飯だ! く、クナ、いくぞッッ!!」

するとクナは駄々をこねる子供のように嫌そうに「え~」と一言。

しかしツッコんでいる暇はない!!

「お、俺は先に行ってるからな!! 速く来いよ!!」

そう言って光の速さで部屋を出た。



なんてこった......はぁ、。




(11,新しすぎる朝。はぁ、。 了)


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