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テンダリスドール  作者: 比嘉 江志
第1章 回生
3/9

第3話 隠匿の世界

第3話です。次あたりからバトルが出てきます。

僕がサニの家に来てから、約5日が経った。

まず、カンギスとシグレにしばらく帰れないと伝えた。


それから4日間はずっとこの世界のことをユキアツに聞いていた。

それから、ユキアツ自身の事も。


彼は地球では普通の高校生で、気がつくとこちらに居たらしい。

ここに来てからは、この村で情報収集に明け暮れたという。


活動を始めてから2年が過ぎ去った頃、彼はサニに自分の正体を知られてしまった。

サニはもともとアルカの感知に優れていた。


だが、サニは彼を庇い、情報収集の手助けをした。


このときのサニの感情はわからないが、恐らく、2年を共に過ごした彼はサニにとって悪ではなかったのだろう。


彼はその後も情報収集を続け、この村を出た。

脱出の理由やそのときの詳細な記録は残っていない。



彼に直接聞いても、

「答えは君が見つけるんだ。」

とだけ言う。


「まぁ、ざっとこのくらいが彼について聞いたことかな。」

サニに貰った自分の日記に記録を取り終え、次に世界についての情報をまとめる。


・世界には3つの国がある

・1つは侵略国家

・1つは開発国家

・1つは中立国家


この村の属する国は中立国家のウドーという。

基本的に自ら攻撃はせず、伝統的なカルマの力で防衛を為す国。


・カルマという力が存在する

・カルマは主に身体能力の強化に使われる

・体外の物体に使っても効果が薄い

・体力・精神力によって効果が大幅に増減する

・アルカと呼ばれるエネルギー源が尽きればしばらく使えない


・世界の大きさはおよそ地球の1/2

・世界地図が存在する

・この村には無い


「これで得た情報は全てか。」


重要なのは、世界地図が存在する、という点だ。

全体像が把握できるかできないか、道がわかるかわからないか、というのは大きな違いだ。


だか、何故そんな便利な物がこの村には無いのだろう。

サニなら何か知っているかもしれない。


「サニ、僕は世界地図が見たいんだけど、この村にはなんで無いの?」

「そんなもん必要無いからだよ。」

「?????」

「と、普通の大人は答えるだろうね。」


「えーっと?じゃあサニはなんでだと思うの?」

「ヨウよ、お前ウドーがどんな国かは知ってるだろう?」

「もちろん。簡単に言うと守秘的国家だ・・よ・・・・な・・。」


「わかったようだな。」

「ウドーはこの国の民を外に出したく無いのか!?」

「そうだ。」


「ん?そうするとユキアツはどうやって世界地図を手に入れたんだ?」

「それは・・・。」

「サニ?」


約1分半、だろうか。

サニはその場で硬直したまま考えていた。

だが、ゆっくり、ゆっくりと彼女自身の心を整える様に口を開く。


「ウドーには、それぞれの村に機密情報を記録してある地下倉庫がある。」

「ユキアツはそこに侵入し、地図を奪って脱走したのさ。」


「・・・・なるほど・・。」

「サニ、心配してくれたなら、ありがとう。」

「お前もそうしてしまうのかい。」


「残念だけど、今はそれ以外の方法は思いつかない、それに、ユキアツと同じ道を通った方が安心だ。」


「しかし、それではこの村に帰って来れなくなるぞ。」

「その時は、必ず少しでも君に会いに帰って来る。」

「・・・・・・。」


サニの沈黙はすぐに破られた。

「信じようか。お前を。ユキアツは、戻っては来なかったが。」

「・・・そうなのか・・。」


痛烈な感情が痛々しいほど伝わってくる。

「僕は必ず戻ってくるよ、サニ。」

「何か言ったか?」

「いや、別に。」


「ただ、地下に入るには鍵が必要だし、強引に入るには相当に強いカルマが必要だぞ。」

「鍵の場所は?」

「ウドーの軍兵が守っている、そいつが何処に居るかはわからん。」


「カルマを磨くしかない、か。」

「そう言ってもなぁ、どうしたらいいのか。」

「こやつに聞けば良いさ。」

と言ってサニが指した先には、1人の少女がいた。


「彼女は?」

「自己紹介しな。」

「はい。3年程前から、サニ様の身の回りの世話をしております。シアンと申します。」


「あぁ、そうかシアン、僕はタキって言うんだ、ヨウって呼んでも良いよ。」

「存じ上げております。」

「で、僕はどうすれば良いんだろうか。」


「まずは今の段階でどのくらい使えるか、ですが、とりあえず今日はもう遅いですし、休みましょう。」


言われてみれば、既に時計は23時を回っている。


「そっか。じゃあ明日の朝にここに来れば良いかな?」

「えぇ、そうしましょう。明日のために、今日はゆっくり休んでくださいね。」


そんなこんなで、明日からカルマの修行とやらが始まるわけだ。

優しそうな子で良かったが、どうなることやら。


まぁ明日になれば全てわかるのだ。

今日はもう寝よう。

もう幾度目かもわからない不安、好奇心のセットを心にしまって明日に望むことにした。


いかがだったでしょうか。

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